虚用叢

見渡すかぎりうつろなくさむら

22年度上半期を振り返る

 私生活ブログでの直近の振り返り記事というと、1年単位で年末に書かれているイメージが強い。わたしもそれにならって冬まで執筆を待とうかとも思ったが、いろいろと変化があったのが年度の切り替わりに集中していること、その時期からきりよく半年経ったことをうけて、いま書く。

労働

 人生で最も大きな変化のひとつが、この春に起きた。週3のパートではあるが、初めて定職に就いたことだ。当初の不安、自信と期待のなさ、無力感は過去のエントリーを読むと鮮明に思い出される。たった半年の間に、自分よりあとに入った4人のうち3人が早々に辞めたり、資格を取ったり、フロアのご利用者の9割が有症状者となったコロナの集団感染に絶望したりと、多くの経験をした。

 学生時代、就活ではピンと来なかった、いや、いまにして思えばまったくつかめていなかった労働観であるが、多少は形成ないし自覚できてきたように思う。わたしにとって労働において大切なのは、第一に収入。どんなきれいごとを並べてもこれがないと始まらない。とはいえ額はあればあるほど良いかと問われると難しくて、最低限無理のない生活が維持できるだけのお金、ようは満足している現在の生活が未来も続くだろう見込みを持つ安心が得られるかが肝であるように思う。労働行きたくないとは夜も朝も思っているが、今日でまた1万手に入るならまあ良いかの精神で歩いている。

 せっかく人生の大半の時間を強制的に消費させられるのだから、趣味かどうかはさておきお金以外の実益は得たいとも思う。ここで言う実益が指すものは幅広く、いかなる業務であっても何の実益も返ってこないなんてことはないが、その価値は人による。

 わたしが得ている実益を挙げると、ひとつは徒歩通勤も含めた運動で、極度の出不精ひきこもり体質には大きな価値がある。コミュニケーション能力、協調性…はそうでもないかも。嚥下体操で滑舌が良くなった気がするのと大きな声が出せるようになったのは地味にうれしいかもしれない(しょぼい?)。もしお金がもっと欲しくなって労働時間を増やすのなら、逆に運動過多になって実害に変わりかねないので、その点でまったく別の職を考えてみたい。

収入と支出

 一番大事だと書いた収入であるが、ボーナスやら残業やらで半年前の予測よりは多い。ただ、支出も昨年度より増えている。年度でかかる奨学金等に0.5倍を掛けて足した4月から9月までの支出が94.1万、給与収入が80.5万、じつに13.6万の赤字となった。ヤクザ価格の介護福祉士実務者研修の今回きりの10万を差し引けば、最低限の収支にはなっているかなという感じ。

 ところで、給与を手取り額で扱う便利さは理解しているつもりだが、社会保障介護保険で生かされている職業人としても、総支給額で考える方が良いじゃんと思う。人並みの所得がない身で恐縮だが、わたしはこれだけ国に納めているぞという主張も大事だし、税金も長い目で見れば収入みたいなものと思う方が健全じゃないだろうか。

2022.4-9の家計

ラブライブ!スーパースター!!

 1月からのアニメ1期の再放送を見て以来、ラブライブ!スーパースター!!のファンである。話題が変わったようでいてやはり引き続きお金の話になるが、娯楽費10万円余りのうち、CD・曲代2.9万、チケ代2.2万、グッズ・書籍代2.1万、アニメBD代1.1万で、実に8.3万円をスパスタが占めている。

 下半期にも3rdライブツアーの大阪の2公演には最低でも行きたいし、アニメ2期BDの残り4巻分、いずれは1期の全6巻もそろえたいと思うと、スマホゲームおよび課金を辞めたことを差し引いてもこの先も家計を圧迫するのは明白である。とはいえあくまで支払い能力とのバランスが問題なのであって、過去の課金含めて娯楽費に後悔はまったくないのだが。初めてのオタクライブ、初めてのアニメ円盤、ラブライブ!スーパースター!!とともに人生を進めている。

 楽しみにしていたアニメ2期は、期待を悪い意味で裏切る面も多かったが、ラブライブ本戦決勝での『未来の音が聴こえる』のステージには大いに満足した。2期では1期東京大会での『Starlight Prologue』のステージが動画などを通じてたびたび回想され、このステージを超えるというメッセージが訴えられていた。そのわりには、2期東京大会での『Sing!Shine!Smile!』ではウィーン・マルガレーテとの対決構図だけが強調されていて不満だった。

 最終話こそスタプロを超える明確な要素を描いてほしいと祈っていたが、そのひとつが広いステージを活かしたフォーメーションだったと感じた。独唱という課題に道というモチーフをオーバーラップさせたスタプロには本当に感動したものだったが、直線の道が横並びするステージおよびフォーメーションは1次元的な表現に止まる。もっとも、これはこれでリモートライブというカメラによる舞台の切り取りと狭いステージの制約を逆転したもので素晴らしい。

 たいして未来の音が聴こえる、このライブには多次元的表現を感じた。広大な決勝ステージを見よといわんばかりの開幕ズームアウト。神宮競技場、その舞台へのあこがれを1期から繰り返し描いてきたからこその感慨がある。いまやアニメの基幹技術ともいえる3DCGだが、使いようによっては一気にダサくなる劇薬でもある。ラブライブ!シリーズはさすがその辺りをよく心得ているのか、スパスタのライブ映像でもじつに巧みだと思わされる。ズーム含む主張の強いカメラワークはダサさと紙一重だが、スローテンポな曲調に合わせた激しすぎないカメラワークが、それをうまく回避している。

 1期ED『未来は風のように』と比べ、タイトルのポエティックさが落ちた感は否めないけれども、音楽と歌そのものを大事にしてきた結ヶ丘、Liella!、澁谷かのんらしさの直球勝負で来たということだろう。Aメロのテン、テン、テンと一拍ずつ優しく弾むギターとピアノの音、最後方のセンターに立つ葉月恋がひらりひらりと舞い、さながらステージの同心円のように波紋が広がっていく様を幻視した。このときカメラはメロディを歌う千砂都、かのん、四季を追いかけるのだが、恋が見切れることなく映り続ける絶妙なフォーメーションとカメラワークで、さらにはこれらの拍のずれが音の重なりまで生んで心地よい。音の広がりと重なり、この多次元的表現がLiella!の2年間の集大成なのか…この時点でわたしはすっかり満ち足りてしまった。

優雅なレンレンに陶酔。

 とはいえ舞台の見せ場はむしろこれから。すでにずいぶんと脱線してしまったが、良いアニメはいくら語っても語り尽くせない。わたしの感想文を読むより、ぜひ実際のアニメを見て1音1フレームをじっくりと味わってほしい。

www.youtube.com

 ちなみに、広いステージと書いたが、もっといえば広すぎる。リオ五輪100mのウサイン・ボルトのスタート20mが2.89秒らしいので、Liella!は陸上競技界のスーパースターにもなれるよ。

 

https://www.afpbb.com/articles/-/3090197

 人に話せるかどうかは別として、わたしの趣味は一人暮らしおよび生活なのではないかとしばしば思う。趣味が一人暮らしって何だよって話だが、いわば自身を対象とした長期的な実験である。一人ひとりの生活に絶対的な解答がない中で、あれこれやって経験を積んで、心地よい、楽しい、効率が良い生活を探究する。その一領域であるのが食だ。

 カレーに何でも突っ込んでみるなど、8年目にしてかなり煮詰まってきている感じがするが、それでもなおこの半年でいくつかアップデートがあった。

 1つ、朝の主食をカルビーのフルグラから直輸入のオートミールに変えた。折りパケ運動と連動したPayPayのキャンペーンの終了を機に、同じくらい手軽でより安い炭水化物を探して行き着いた。最初はカナダ産のものを買っていたが、今月さらに安いリトアニア産のものを発見、圧巻の500g税込134円である。フルグラも十分安いと思っていたが、これは反則である。

 オートミールの中でもロールドオーツという燕麦を蒸して平たくつぶしたものを選んでいて、ふつうは牛乳やら水やら砂糖やらはちみつやらを加えて食べるらしいのだが、面倒くさいので計量カップでガサっと器に移してそのままモソモソと食べている。おいしい、とわたしは思う。

 主食は主食でも糖質に関していえば、白米よりパスタや小麦粉にコストパフォーマンスで分があるが、単純にご飯が好きなのだよな。ここはこの先も変えなくて良いと思っている。

 2つ、朝の主菜の大豆の水煮を出来合いのものから自分で煮たものにした。一人暮らし3年目くらいからだと思うが、食物繊維量を増やすために1日のうちの1食の主菜を豆にすると思い立ち、その際に選んだのが冷凍のむき枝豆だった。それが6年目くらいで欠品や値上げが続いて、代替として選んだのが水煮大豆。それも今夏、ちょっと値上げがあったり袋の処理が面倒だったりで、自分で作れるんじゃないかと乾燥大豆を買うようになった。北海道産1kg税込495円、たんぱく質率は驚異の0.68g/円である。

 ガス代は多少かかるものの、作るのは思ったより面倒くさくない。沸騰直前の灰汁取りと沸騰後の差し水くらいのもので、他は放っておけば軟らかくなる。なにより水以外調味料も何も加えずただ煮ただけなのにうまいのが良い。わたしは寝るときいつも、明日はまた水煮とオートミールが食えるぞと思って頬を緩めている。しいていえば、片手鍋で豆3カップの5食分ずつしかまとめて作れないので、もっとでかい鍋とそれをそのまま突っ込めるでかい冷蔵庫が欲しい。

 3つ、乾燥わかめと塩昆布の購入を止めた。繊維質を穀類に頼っていると不溶性に偏りがちになるので、バランスを取るために藻類で補っていたが、いまは乾燥ひじき一本になった。これもまあ値上げをうけての再考で、世知辛いね。主に中国からの輸入乾物は3年前からゆうに2倍以上の価格になっている。

 ちなみに塩分役でもあったわかめと昆布だったが、その分塩を振っておけば問題ない。調味料はかれこれ3年は食塩と白胡椒とカレー粉しか買っていない。食べたものは身体を通り抜けるものであり身体から等量出ていくものであるので、味に飽きるとか変化が欲しいとかいう気持ちがわからなくなった。

 かくして本年度上半期の食費は1.4万円/月で、相次ぐ値上げの中でも昨年度からの増額は月500円ほどに収まっている。円安はくそ。

下半期の展望

 おわりに、この先半年の目標でも書いておこうかと思う。基本は現状維持、かならずしも現職場に留まらなくてよいから、働き続けて収入を得る。黒字が理想。

 過去記事に触れると、投資は証券口座を開設したっきりで、自分の中でふたたび気が向くのを待っている。引越しもいまだ検討中で、とりあえずは現住まいの家賃交渉をしており、それ次第なところがある。片付けはけっこう進んで満足。

 また、駅ピアノで50歳から始めたんですよと語るダンディなおじさまや、ギター教室に通い始めたフォロワー、それから葉月恋を見て、ピアノを弾きたいという欲が高まってきた。小中と授業の楽器演奏はてんでだめだったのだが、小学校音楽教諭の母や女性性、集団行動への反骨心ゆえの部分もあったのだと、いまでは思う。なによりピアノの音が好きだし、それを意のままに操れたらどれほど楽しいだろうという憧れがある。

note.com

 家電量販店を巡った感触では、音色の違いはさっぱりだが、打鍵感や見た目はKAWAIとRolandが好きだった。中古の検討含めお金はなんとかなるにしても、集合住宅では音に気を付ける必要があり、これも引越しと関連する。ヘッドフォンをつないだ電子ピアノであっても、ペダル音や打鍵音は響くらしいので。

 まあ半年以内に始めている見込みは低いが、言うだけならタダである。楽天Koboの400円引きクーポンで買った始まりは君の空の楽譜、いつの日か弾けるといいね。