虚用叢

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【スクフェス2】スターチャレンジの部員育成ボーナス計算式

 スクフェス2、スターチャレンジイベントの覚書。

 部員育成ボーナスについて、イベントページ内遊び方より「加入している部員のレベルや特技レベルに応じてスコアにボーナス」との記述あり。具体的なボーナス計算方法についての記載はなし。

 加入している部員  k について、レベルを  n_k \left(1 \leq n_k \leq 100\right)、特技レベルを  m_k \left(1 \leq m_k \leq 9\right) と表す。このときの部員育成ボーナス  B\left(\alpha, \beta\right) [ \% ] を、2個のパラメータ  \alpha \beta を用いて、次の式で回帰する。

 B\left(\alpha, \beta\right) = \Sigma_k \left(\alpha n_k m_k + \beta n_k\right) \tag{1}

 0.01\leq B \leq 21.43のデータにおいて、次の値を得た。

 \alpha = 7.40 \times 10^{-5} ,\, \beta = 6.67 \times 10^{-4} \tag{2}

ここで、 B は少数第3位を切り捨てる。式  \left(2\right) を返したとき、完全一致しないデータは見つからなかった。今後のインフレでよほど外挿しない限りは実用に耐えそう(というよりそのときにパラメータを修正すればよい)。

 式  \left(1\right) から明らかなように、部員のレアリティや覚醒の有無は関与しない。 \alpha \ll \beta のため、特技レベル  m_k はレベル  n_k を上げていないと寄与が小さい。 解析としては線型でないのがやっかい。まだ単純な積で良かった。しばらくは  m_k の1次項も入れていたが、動かしているうちに消えた。

 現在、唯一不足している育成素材がゴールド。各レベル上げに必要なゴールドを参照することで、今回の計算式が効率的なボーナス上げの回答を与える。戦力が似たり寄ったりになりがちな本ゲームの都合上、ランキングで頭一つ抜け出す手段である。すでに編成の当落線上にあるようなURに資材を割くよりは、永続的に効果のあるボーナス上げの方が有用であるという立場。

 計算のフォーマットを作っておくのが一番だが、簡易的なゴールド節約育成フローを書いておく。どの手順においても、編成用の余剰を残したうえで、覚醒しない範囲でもれなく育成する。

  1. レベルを 1 から 40 まで上げる。
  2. レベル 40 以上の部員の特技レベルを 2 まで上げる。
  3. レベルを 47 程度(端数調整が面倒でないところで良い)まで上げる。
  4. レベル 47 以上の部員の特技レベルを 3 まで上げる。

 今回のイベントではここまで行い、21.43% までボーナスを伸ばした。これ以上は 100 万のゴールドを使っても 0.1% も上がらなくなってくる。趣味の域。

 イベントについて自戒。育成ボーナスとは別に、継続ボーナスがもったいないからといって、スターレベル上げとポイント稼ぎを後回ししない方が良い。前回はこれで最終盤に疲弊して、ろくに演奏できずに 500 位漏れした。どうせチケットは余るのだから、毎日 10 枚使うつもりで進めるだけ進んでおいた方が良い。また、効率曲を期待しての曲変更は博打である。チケットと各種ボーナスでできる限り進み、どうしても積んだ最終盤に虎の子のゴールドを投げたい。ガチャ産の選抜メンバーなしでも 500 位取りたいね。

2023/10/18

 上り坂を走っている。比喩ではない。文字どおり、住宅街を突っ切る長い直線の11パーセントの勾配のアスファルト、そのうちの70メートルを、2日に1回、5本全力でダッシュしている。いや、さも長年の習慣のように書いたが、始めたのはつい先週のことで、坂の細かいデータはGoogle Mapsで間に合わせただけの些末な事柄で、ただ近所で通いやすくて交通量の少ない都合で選んだ場所というだけであるが、息も絶え絶えに、足が上がらなくなるほど、疲れ果てるという体験を、数年ぶりにしていることは確かである。

 先日、大学の部活のOB戦に参加した。単純な話だが、坂ダッシュを始めたきっかけはこれだけである。コロナの流行が始まった年でもあり、修士2年の時にはろくに練習もできなかったので、じつに3年のブランクとなる。久々に競技をする感覚は懐かしかった。意外と身体が覚えていたり、反対に体力の不足で思うようにいかなかったりした。入学したての出会ったころのように、大会へのプレッシャーとは無縁の、競技そのものの楽しさに夢中になった。調子のいいことに、再会したひと全員に痩せたと言われる身体でも、体力トレーニングさえすれば、現役の学生にも勝てるのではないかとさえ思ったのである。

 いつまでも来続けるOBとは一般に煙たいものというイメージを持っているが、この競技は練習相手を確保するのにも苦労するようなマイナースポーツなので、その点は心配ないはず(むしろ2年半大学の近くに住み続けていながらにして、フルタイムで働いていないながらにして、勧誘の手伝い一つしなかったのが薄情)。コロナで消滅しなかったのは奇跡的だ。

 昔から爺臭いとよく言われたものだが、ませた子どもに対する冗談めいたそれと違い、いよいよ齢を取ったと自覚するようになった変化は、闘争心の喪失である。ショックを受けるでもなければ、悲観することもない。経済的に自立したことで、親族への負い目もなくなった。最小限の労働と消費活動で、漫然と暮らしている。

 省エネ志向の精神に、肉体も従う。鍛えるなんて維持コストがかさばるだけ、もってのほかだ。いやがおうでも労働で身体を動かすので、すぐさま廃人になる心配もない。

 そんな自分が、坂ダッシュを始めた。肉体はもちろん、精神的な変化は大きい。巷のマッチョイズムに同調する気はさらさらない。繰り返すように、動機はかつて大学で打ち込んだ競技への楽しさの目覚めからである。

 週3とはいえ、ただでさえ嫌な労働に加えて、新たにつらくて苦しいトレーニングが続けられるのかという不安はある。だからこそ、この日記を書いているようなところもある。多種目長時間のプログラムはまず挫折するので、ハードで効率の良い坂ダッシュをメイン種目として選んだ。最も衰えを感じた大腿と臀部を中心に、パワー、最大筋力、筋持久力を筋肥大を伴って複合的に鍛え、代謝系、神経系、精神力にも作用する。坂の長さにはもう少し余裕がある。ラップやインターバルの時間は計っていない。始めたてなので、とりあえず5本全力で走ってへとへとになればオーケーの気持ち。休養として、現状の中1日では疲労が取りきれていないと感じるが、経験上、2、3日休んでも筋肉痛が完全に抜けるということはあまりないので、とりあえず様子見。

 中1日に行うサブ種目として、これもとりあえずで懸垂とハンギングをしている。足腰と同様、競技特性として重要なプル系の筋力である。ノーマルな懸垂を限界まで2セット、その後グリップトレーニングとしてタオルへのぶら下がりを限界秒数の3セット。全力疾走と比べればしんどくはないが、それでも目的がなければいまさら頑張れない。出勤の曜日は固定でないので、シフトと関係なくできるように、毎夕種目を交互に手短に行っていく算段である。

 高校時代の部活のトレーニング日誌を引っ張り出して読んだ。わたしのひとり暮らしの賃貸には、何を思ったのかこういった無駄な遺産が持込まれている。20代後半になった現在の感覚では正気の沙汰でない、10年前のトレーニングの詰込み具合に驚く。もっと休め、もっと寝ろ。自分の代の後に地元開催される国体に向けて強化されていく体制に苦しかった印象が強いが、文面からはそんな記憶より楽しそうに練習をしていると感じた。才能のあったペアには自分の力不足に申し訳ない思いを抱えていたが、励まし合ってつらいトレーニングを乗り越えている様子が伝わってきた。やはり、齢を取った。

 トレーニングと関連があるかは不明だが、自慰をした。下のブログを書いて以降はした記憶がないので、記述と合わせて去年の1月以来になるわけだから、じつに1年9ヶ月ぶりになるらしい。過去に書いたとおり、べつに我慢していたわけではない。懸垂の日、19時を過ぎてすでに眠くなり消灯、翌1時を回ったところで目が覚めた。久しぶりに覚える「なんとなくたい、ようかな」という気分。AVを見るほどの衝動でもない。が、たしかにある。日常の行動の延長で、実行しやすかったのだろう。録画してあった一般アニメ「聖剣学院の魔剣使い」の第2話を再生し、絶頂した。

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 カラダが快感を思い出したからか、翌晩も夢精しかけた(フィニッシュの直前で目覚め、寸止めした)。また明くる日の朝、「豚のレバーは加熱しろ」の第2話では至らず(パンツの見えないクソ回だった)、「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」の第2話で到達した(これもパンツが見えるまでギャグ寄りが続いて冷や汗をかいた)。

 余談になるが、多少の性欲があった昔も、二次、とくにアニメそのものをオカズにすることはほとんどなかった。一般アニメ本編としては「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」が記憶にある唯一であった。嗜好が変化したというよりは、少ない物理的、精神的刺激で満足するようになったと解釈している。

 さて、こんな記録をしているうちに、日が沈んできた。今日も走りに行かなくてはならない。

2023夏アニメ感想

 今回でアニメ感想記事もなんとか4シーズン続けることができました。春の借金を抱えたままモチベーションが落ちてシーズンインしたため、完走本数はこの1年で最も少ないという結果に。とくに旧作の履修が犠牲になりました。その反動で秋はたくさん見られそうです。やっぱり!アニメは!楽しい!

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AIの遺電子

 空想科学の技術や世界観の真新しさよりも、そこから派生する課題やジレンマが、現実を生きる我々にも共通する訓示として投げかけられるタイプの好みのSF。たんに産業ロボットや超高度AIといったあくまで我々とは別物の存在だけでなく、人間と対等な権利を持ったヒューマノイドの存在、これがその視点も合わせて、「わたしだったら」と考えさせられるのが二度おいしい。教育的かつ倫理的で終始安心して見ていられるのに、説教臭くなく機微に富んだエピソードの数々ですさまじいバランス感覚。本筋?であるところの須藤の母のコピー人格探しはまだこれからということで、ぜひとも2期が見たいところだ。

第8話「告白」

 恋とかいう大概の人間が発症するらしい病気になりたい、切実に。もしわたしがヒューマノイドで電脳をいじれるのだったら、人並みに恋して傷つけられたり泣かされたりするのだろうか。ヒューマノイドでは生殖活動につながらないから無駄だと無理に理由づけているサバちゃんの同性への恋愛感情が、どのみち人間であっても生殖活動につながらないのが二重に自己否定をしているようで哀しい。

 エピソードの興味深さはもちろん、ギャグセンスの高さも指折りの本作。正確無比に繰り返される二度言いに対し、こちらも繰り返し描かれる一杯のコーヒーによる心の余裕の補給は、必要なときほどされないという皮肉。「令和ミルクチョコレート」は人生で一番好きなパロディ名称かもしれない。本話中ではないが、作中セリフを改変した円盤CMもツボだった。

 

青のオーケストラ

 2クール目。秋音律子氏の出番が少なくなっていて悲しい。反面小桜ハル氏の萌えぶりが加速していた気がする。青野と佐伯の関係に時間を割いて丁寧に描いていた。第2期制作決定めでたい。

 最後の2話は3年生引退までの集大成といったところ。フルオーケストラの公演で締めるのはオーケストラ部の物語だからごく自然だが、テレビアニメとしてはやはり難しい題材であるという印象が残った。曲目を飛ばさずにやっていくと見ている分にも長いし、作画の体力ももたない。そのための工夫として、演奏者個人のエピソードとオーバーラップをさせていたのだが、これによりどうしても話が散らかってしまう。演奏のわかりやすさとしても、ソロあるいは少数の方が物語を付加して走らせやすい。演奏を魅せるという意味でも、こぼれ話を魅せるという意味でも、どっちつかずだったかなと。ブラスバンドという違いはあるが、作画パワーで突っ走ったユーフォってやっぱりバケモノだわ。

第15話「本音」

 第2クールで最も印象に残っている演奏が、今回の佐伯ソロ。ドボルザーク新世界より」の第二楽章好きだ。合わせでパートリーダーたちが一致団結したのを見学した後だから、余計に夕陽をバックに教室で独り立っての演奏が決まっている。演奏後の眼光の鋭さに惚れた。これからしばらく長い夜が続くという意味で、ストーリー上でも重要な一曲だった。

 

あやかしトライアングル

 万策尽きた冬からのリスタート組。王道少年漫画は大好物なのでこれも面白かった。これまでの名作と異なるのは、主人公が女の子として学校で過ごすがゆえに、メインヒロインも含めた女子グループでの活動と友情が描かれること。男女のいざこざの絡まない花鳥風月4人の親交は見ていて心地よいものであったし、これまで祓忍として孤高に修練を積んできた祭里の新たな人間的成長につながっている点も見逃せない。ニノ曲先輩や画楽といった脇役も良いキャラしていた。

 少なくとも規制の入ったテレビ放送版では、エロ要素はおまけというか、とくに夏の放送に替わって規制でより遊ぶようになってからはギャグとしての印象が強かった。むしろ執拗に隠されるために、かえって限られたパンツに希少価値が備わるという事態。深夜にやっているのだし、この作品でそれはちょっと違うんじゃないかなという気も。

第9話「“彼”との遭遇?」

 開幕の希少価値であるところのルーシーのパンツ。構図が美しい。草むら、ルーシー、林、鉄塔、空と、下から上へ突き抜ける奥行きを見ることができる。未知との遭遇を願ってめいっぱい手を伸ばす彼女には、あまりに高い空だ。この程度の仰角では、いかにスカート丈が短いといえど、カメラから距離のある彼女のパンツは本来見えない。これを描いてしまえるのが絵のすばらしいところである。控えめながらも視線を一点に吸い込み、差し色として緑の画面を引き締めている。

 

アンデッドガール・マーダーファルス

 美しい映像、軽妙なトーク、ただしいま一歩のめりこみきれなかった。笑劇(ファルス)だと言うわりには個々の事件は凄惨ですっきりしない。教授側や事件に絡む怪異も、怪異ならではの魅力やおぞましさがピンと来ないままだった。終始飄々としている主人公一行とは別に、視聴者と世界をつなげるキャラクターなり演出なりでもあれば良かったのだろうか。事件の被害者や犯人で印象に残っている人物がとくにいないのが、推理ものとしても弱いかなと。ホームズ、モリアーティー切り裂きジャック、ルパン、ファントムといった古典の人物を本筋のキャラクターとして借りている理由もいまのところわからない。

 一方で、鴉夜、津軽、静句のメイントリオは良い。黒沢さんはさすがの演技だし、津軽の底知れなさは八代さんあってこそだったと思う。小市さんもデレマスの晴役が披露されてから随分出世したものだと感慨深い。静句の出自もそのうち明かされるのだろう。

第1話「鬼殺し」

 口づけのラストシーンに至るまでがとくにすばらしい。鬼混じりである津軽の寿命を延ばす具体的な方法も、津軽の渡欧の誘いの返事も答えぬまま、鳥籠から出すよう静句に命じる鴉夜。しかし、この鳥籠から出るという行為一つがすでにそれらへの回答となっていることが、直後の問答でわかるのである。こうしたちょっとした叙述の工夫が、作品の質を高めているのだろう。映像としても重要で、それまで奇怪にしか映らなかった生首から、川面の逆光を受けて宙を舞う美しい黒髪に、思わず息をのんだ。

 

おかしな転生

 原作では児童向けの総ルビ版も出ているだけあって、骨子がしっかりしていて安心して見ていられるストーリーだった。勧善懲悪にくどさもあるが、このくらい後腐れなく進行してくれる方が毎週気楽に再生できて好みである。キャラクターも良い。子どもたちは元気で素直、傍にいるおとなたちも頼りになる。登場までじらされたヒロインもかわいい。個人的嗜好としては双子のお姉ちゃんの方だったらどんなお話だったろうとも思う。本渡楓さんといえば茶か金系で黒髪は合わないイメージだったが、防振りやら本作やらで、少しずつ固定観念もほぐれてきたかもしれない。

 主人公が多方面に優秀すぎること(とロリコンであること)にわざわざ説明は欲しないが、せっかくだからパティシエだったことをもっと前面に押し出して、他の転生ものとの差別化がはっきりしていればより目を引いたようにも思う。「お菓子の国をつくる」という野望はあっても、実際にやっていることは大差ないので。もっと言えば、タイトルどおりのお菓子成分がもっとほしかった。毎話本筋に絡めるのは難しいにしても、別パートでこぼれ話をやってくれるだけでもどうだっただろうか。

第9話「甘いか苦いか?新茶試飲会」

 抗争のある世界だからこそ、平和なべっこう飴、ボンカ飴作りパートがとても温かいね。他でもないお菓子作り中の主人公に美点を見出すところに、本作のヒロインたる穏やかで心優しいリコリス嬢の魅力が表れている。

 そんな彼女の笑顔がレーテシュおばさんによって壊される、たまらんね。少女はどんどん曇らせていこう。冒頭の「年上のスタイル抜群、お色気むんむんの美女」ってもしかしてお前のことだったのか。次話でボンカ飴を引合いに円満に終わるところまで、美しい一幕だった。

 

幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-

 女の子がかわいい作品には間違いない。本家とはアニメーターが変わっていてどうかと注目していたが、本作には本作の女の子のかわいさがちゃんとあった。ただ、その美点とシリアスパートがかみ合っていたとは思えず、ライラプスや異変絡みの軸となるストーリーは不満だった。

 キャラクターに借り物感があるのは、設定を大きく変えているスピンオフゆえしかたないことなのかな。一方で、各キャラの掘り下げをせずとも好感度が高いという利点?もあるし。

 パッとしない印象の要因としては、OPEDと挿入歌が最も大きいかもしれない。アイドルアニメにおいては、曲良ければすべて良しスタンスで見ているので。とにかく出てくる曲すべてが好きだったサンシャイン!!を思うと、そこはとても物足りなかった。

第7話「女子会ってなぁに?」

 女子会という名の合宿回。ずっとこんな話が見たかった。この作品は、萌えというよりかわいいという感想に落ち着く。参加メンバーの希望調査時に出てくる、各の平面柄の背景のアイキャッチがすばらしい。女子会中も終始かわいい画面が続く。チカとハナマルが次々と部屋を開けていくシーン、お菓子作り班分け後の「がんばルビィ!」と板チョコを堂々と食っているハナマル、すべてがかわいい。ハナマルも「未来ずら~」って言え。それからルビィちゃんのサイズ可変仕様は結局何だったんだよ。挿入歌「GIRLS!!」は次話の「Wonder sea breeze」と並んで好き。こっちも9人で歌っても良かったんじゃないかとは思う。

 

自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う

 出オチだと完全に侮っていた。めちゃくちゃ面白かった。このアニメのおかげで道端の自販機に目が行き、外出が楽しくなったと言っても過言ではない。異世界アニメなのに、現実の知らない自販機の世界を教えてくれる、知識と機転を利かせた課題解決はわくわくするものだった。

 ラッミスという理解力に長けた最良のパートナーがいて、あくまで自販機としてのコミュニケーションに徹しているのがすばらしい。途中で手足が生えたり自由に発語したりするのではないかと気がかりだったが杞憂に終わった。この不自由さが駆動するドラマは唯一無二のものだった。この作品に「いつものスープ」というED曲を書き下ろしたの天才だと思う。

第4話「ハッコン、誘拐される」

 レギュレーション的にありなのとツッコみたくなる万能さを見せてくれたハッコンであるが、人間にとって容易なことが自販機ゆえにできないということも多くある。これは意思を持って生きるには大きなハンデであり、こと悪意ある他人の前では顕著となる。共に移動してくれるラッミスがいかにありがたい存在であるか身に染みるね。愛のアニメだ。

 仮にさらわれたまま助けも来ず、ヒュールミとも出会わなければ、ハッコンはどのような選択をしたのだろうね。共利共生と言うと聞こえは良いが、もう尊厳ある自販機生は送れないかもしれない。道具としては便利で有用というのは周囲の目線であって、人間として主体的に生きるにはあまりに弱くてもろい存在であるというギャップが浮かび上がる。

 「泣きじゃくる彼女を抱きしめる腕もないし、慰める口もない。けど、また会えてうれしいよ、ラッミス」という再会のモノローグがまた心にしみる。「ありがとうございました」の音声ですべては伝わらずとも、この関係が再びこの先も続くようになったことに大きな価値があるのだろう。

 

シュガーアップル・フェアリーテイル 第2クール

 1クール目の陰険な砂糖菓子業界にすっかりはまり、気になる引きでどうなることやら楽しみだった作品。ふたを開けてみたらペイジ工房は優しい世界だった。OPEDもとても温かい。

 それでもこの作品はどうしてもアンをいじめたいらしく、今期のボスとして立ちふさがったのが妖精ラファル。その戦闘能力の高さや見た目の美しさとは裏腹に、臆病で孤独な内面は惨めで不憫さすら覚えたので、もっと彼を掘り下げるエピソードを見たいところだ。

 魅力的な新キャラクターとして、ノアも忘れてはならない。石見舞菜香さん、ツンツンしたショタボイスをありがとう。今期アイコンとして描いた絵が我ながらショタ成分が皆無になってしまったのだが、元のアニメのまつ毛の長いキャラデザも、男物の服がなければ女の子にしか見えないよな。出番少なくてちょっと悲しい。

 卓越した表現力は健在で、アンの手掛ける砂糖菓子にはいつも驚かされる。強度が持たないという野暮なツッコミはさておき、相変わらずモチーフの見つけ方が巧みだ。オーケストラ音楽も引き続きすばらしかった。

第22話「妖精と人と」

 貫井柚佳さんの泣きの演技がとかくすごい。このシーンが見られただけでも、本作と出会えて良かったと心から思う。

 

呪術廻戦 懐玉・玉折

 公式の円盤情報によると渋谷事変が47話まであっていつ終わるんだよという感じなので、懐玉・玉折編(+閑話)までを夏アニメとして感想を書く。長編漫画におけるアニメ5話分であり、頂上決戦に絞った過去編なので、面白くて当然といえば当然。バトルアニメにおける強さは、その他いかなる要素と比べるまでもない魅力であると教えられる。わたしは食事の際にアニメを見るのだが、この作品のときはいつもの半分のペースでしか食べられない。それほどにアニメーションの情報が濃いのである。平穏パートも重要なのだろうが、古典的なギャグ調のデフォルメがやりすぎな印象も。なんぼあってもよいとされる萌えがノイズにすら感じられるのだよね。

 OPは今期断トツ。控えめなギターイントロの暗い画面からスカイブルーをバックにしたタイトルロゴへの画面転換は、瞬きの間に見逃すほどのシンプルなフェードなのだが、これがどうしてかっこいい。大挙する呪霊を前に余裕の表情を崩さない五条と夏油、陰でくつろぎながら威容を放つ甚爾がじつに絵になる。青空から斜陽に進んでいく時間、次のOPにもつながっているかのようだった。話題作のOPEDが、そろって一般(アニソン畑でない)アーティストで固められる現状はどうかと思うが、ちゃんと作品の匂いがするし、良いものは良いというほかなくて悔しい。

第27話「懐玉-参-」

 何においても五条と甚爾の会敵。六眼のこと、なんかよく見えて光ってかっこいい目くらいの認識しかなくてすまん。グロは苦手なのだが、天逆鉾でグサッ、ザザー、ザクザクッ、ザクッと血飛沫を上げてめった刺しするシーンは、あの五条悟に攻撃が通ったと興奮が優った。デカい蠅呪霊軍団の中で仁王立ちする甚爾に、絶望より憧憬を覚える。フィジカルこそ結局最強なんだよ、なあ、夏油。

 見せる順番ってほんとうに大事だなと思って、PVやCMで繰り返し聞いてきた夏油の「私達は最強なんだ」が、まさか裏で五条がやられた後のセリフだったとはね。この後の展開が予測でき、悲劇への心の準備ができることで、より夏油の挫折と闇落ちに共感しやすくなっているのかもしれない。学生夏油のデザインというか顔がとても好きで、ダサい髪型と悪趣味なピアス、美形とは言えない顔立ちなのに、なぜかかっこいい。CVが降板にならなくて良かった。本編にED曲被せて終わりかと思わせて、普通にもう一度EDやるの、優れた演出かはさておき斬新だね。

 

SYNDUALITY Noir

 結局最後まで何を描きたかったのかよくわからなかった。メカ、男のロマン、キャラクターといった要素に惹かれるものがなく、青山なぎささんが出ている以外わたし向けではないのかもしれない。青山なぎささんが出ているのでたぶん2期も見ます。

第7話「My dear…」

 Liella!キャストがついにスパスタ以外のアニメに出るということで視聴していたが、まさか演じるキャラで個人回、ソロビジュアル広告、CD発売までやるとは思わなかった。ちょい役をひっそりと楽しむくらいのつもりだったので、これはこれで乗り切れなかった感もある。

 ここまで本編と無関係の感想しか出てこなくて申し訳ないのだが、たとえば本話のメイガスと人間との関係みたいな世界観についてもなんともコメントしづらい。かわいくてエロくて有能なのだから大事にするのは当然で、カナタが異常者みたいな描かれ方されても困る。せめてメイガス側が主体となって、所詮どこまでもメイガスであるという摂理を破ろうと人間にアプローチする話なら、応援のしようもあるというのに。それはさておき、戦闘で急に歌いだすのは良かった。いつだって音楽は最強だから。

 

好きな子がめがねを忘れた

 今期で一番第2話を再生するまで時間を要した作品。若山詩音さんはいま最も好きな女性声優の一人であるにもかかわらず、そのくらい初回の印象が悪かった。肝心のヒロインのキャラデザ、これがまず苦手だ。これまで意識してこなかったが、毛量が多すぎるぼさぼさ頭は地雷かもしれない。作画がリッチになるショットで顕著で、まつ毛ぱっちりすぎる目と合わさってかわいいと思えなくなる。ヒロイン、染谷さんでいこう(死罪)。

 眼鏡を常用している身としては、ど近眼なのに眼鏡を忘れがち、予備があるくせに学校に置いておかないという設定も許せなかった。たんに頭が悪いというより、中学生にもなって生存能力の低さに大した反省も報いもなく生きていることに嫌悪を覚えてしまうのだろうか。好きで見ているアニメだからこそ、自分の気持ちをごまかしたくないので書かせてくれ。映像としてはひっきりなしに出てくるタイムラプスを煩わしく感じたが、先の2点と比べれば重要ではない。

 そうした個人的な難点があってなお完走できたので、それだけ魅力も大きかったといえる。最大は若山詩音さんの演技。ことばにならないうめき声がじつに良い。滑稽さと萌えのエッジを絶妙に渡っている。話数が進むにつれて印象が変わったのが小村くんで、彼の気持ち悪さと純粋さをほほえましく見るのが楽しみになっていった。

 EDも衝撃だった。大石さんの曲っぽいキャラソンだなと聴いていたら、唐突に歌うまおじさんの歌唱が1フレーズだけ挟まる。それからまたしばらく三重さんと小村くんの細い歌唱が続くものだから、先ほどのは小村くんが覚醒しただけだったのかと整理がつかないまま、次の「ぼぉや↑↑~け~たくら~いが~(超美声)」でやっぱりマサヨシじゃねーか!!

第6話「好きな子と新学期を迎えた」

 染谷さんが映るたびに、純愛としてより寝取られとしてのエピソードに期待してしまう。皆勤賞授与の待機列で三重さんの手を触る小村くんの反応が挿入さながらで可笑しいったらない。

 

スパイ教室 2nd season

 冬にあった1期よりシリアスな場面が増えて面食らったが、それはそれで面白かった。相変わらずスパイとしては奔放なチームと作戦、だがそこが良い。1期であまり見せ場のなかったキャラクターたちにバランスよく出番が与えられているのも上手だった。最終話の真面目トーンのタイトル回収はずるい。

第13話「MISSION 《忘我》Ⅰ」

 敵をだますにはまず味方からというのは使い古された文句であるが、この作品はそれをキャラクターの個性が意図せずやっている。今回の、クラウスの「対立を楽しめ。仲間とのズレがチームの鍵だ」という紅炉の受売りのティアへのアドバイスがまさにそれである。

 ミッション遂行のための一応の共通の表の作戦はあり、それは視聴者にも知らされるが、あくまで細かいその場での対応は個人の特殊能力やスタンドプレーに依存している。これがときに表の作戦に沿わない形で実行されて意外な方向に話を進め、結果的にチームを助けることになるというのがお決まりのパターン。これを各キャラクターが「極上だ」と大真面目にやっているのだから笑いを誘うのだ。

 ゆえに、失敗の許されないスパイものとしては、あまりに杜撰な作戦と精神性に問題のある構成員たちとして映るというだけの話である。(萌え)キャラクターを大事にするうえでどうしても避けられない全員生還エンドの繰り返しを、いかに退屈させずに魅せるか、それが良く練られている。

 

スプリガン(TV放送版)

 昨年のNetflix発の潤沢予算っぽいアニメ、のテレビ放送。原作はミリ知ら。SF、オカルト要素にいっさい興味がないので、話の内容は印象に残っていないが、作画がリッチで退屈もしなかった。アーマードマッスルスーツとオリハルコン製ナイフのステマアニメ。

第2話「炎蛇(後編)」

 シンプルに敵が一番かっこよかった。一族に伝わる風と炎と剣で世界を独裁したすぎるだろ。

 

(未)ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~

(完走次第追記)

 

七つの魔剣が支配する

 東京遠征中のアニメショップで会った初対面のオタクにおすすめした今期アニメ。

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 総合点の高い作品だが、まず主人公サイド6人のキャラクターが非常に魅力的。キャラデザが華美なわけでもなければ、混沌の魔法学園の新入生にして戦闘能力や身体能力が抜きん出ているわけでもなく、立ちはだかる試練に苦戦を強いられるのが常だ。しかし、いかなる逆境においても彼らは力を合わせ、互いを奮い立たせ合い、確かな意志を持って、その才能を芽吹かせていくのである。いわばこの6人の剣花の萌芽の瞬間に立ち会うことこそが、本作最大の魅力である。

 原画パワーだけに頼らない、雰囲気作りも見事だった。迷宮の劇伴は静かにその不気味さと深遠さを醸し出していたし、魔法に付物のエフェクトもほどよく抑えられていて、剣術とのバランスが取られていると感じた。

 わたしは、テレビアニメのOPには現実世界との切替のスイッチのようなものを望んでいて、その点も完璧だった。入りで一気に作品世界に引き込まれるし、アウトロの音ハメも厨二心をくすぐる。

 全15話と変則構成だったが、ラストバトルはずいぶん駆け足で、説明不足の消化不良感がある。復讐や魔剣といった本筋もまだまだこれからといった終わり方で、第2期といわず長く続いてほしい。

第4話「円形闘技場(コロシアム)」

 序盤ながら未熟なナナオの危うさと強さとが際立っていた回。シュガーアップルといい貫井柚佳さんはほんとうに演技派だ。モブばかりでなく感情豊かなヒロインをどんどん演じてほしい。オリバーやヒール役を被る生徒たちにしても、一貫して強さと弱さの両面が描かれるところが、人間味を感じられて好きだ。

 ガルダと申す化鳥のひとの迫力がすさまじい。4話で出ていいモンスターじゃないだろ。セルと3DCGの差が感じられなくて、見ていて気持ちが良い映像。最近のアニメは映像技術の高さに感服しだすときりがなくて困っちゃうね。安心のゴッドフレイ先輩たちが助っ人に来るでもなく、布切れのごとく切り裂かれていくモブどもに絶望しかないのだが、よくこれに勝ったわ。

 

ポケットモンスター(2023)

 ストーリー的にきりが悪いが第24話時点。主人公交代作の2クール目。春も面白かったが、夏に入ってからの名作っぷりがすごい。ダブル主人公であるリコとロイの成長が進み、さらに残りの御三家トレーナーのドットの絡みも増えて、物語にダイナミズムが生まれている。原作ゲームのパルデアやガラルのジムリーダー(だよね)やポケモンとのエピソードも楽しいし、ラブリーチャーミーな敵役であるエクスプローラーズとの戦闘もハラハラドキドキ、ペンダントと古のモンスターボールを巡る謎もテンポよく進むし、まさしく大冒険だ。アニメ作品として独立した面白さがあることを保証するので、テレビゲームや過去、現在のポケモンコンテンツにいっさい興味のない、深夜アニメ専門のひとたちにもおすすめする。

第21話「ひとりぼっちのミブリム」

 2クール目に入ってから、単話としての完成度が高すぎる回ばかりで、どれを選ぶか困った。同じ特別な2体目のゲット回として、ロイの第14話を泣く思いで切り、リコ回のこちらを選ばせてもらう。

 子どもたちの成長が目覚ましい。リコは自己評価が低いけれども、小屋でミブリムの不調を感じ取り、いち早くブレイブアサギ号に連れ帰るのは、博士ではなくリコである。皆の先頭を駆けている姿にも、もう驚かなくなったよね。

 船内で行き場を失ったミブリムを、リコが展望室で見つけるシーン。姿を確認するなり、近寄るでもなく、エレベーター越しに語りかけるリコがおだやかで優しくて、思わず涙する。ミブリム、おそらく進化系は冬のアニメで目にしたのだが、この種は完全に初見。とてもかわいいね。目隠れ(目無し)だが、シンプルな口と頭の形、頬に入るタッチ、足としっぽのたたずまいだけで愛らしさがよく伝わってくる。パーカーに突っ込ませるアイデアを出したスタッフにB2の感謝状を贈りたい。

 そうして別れ、ではなくゲットのシーン、再び大粒の涙。構想初期から決まっていたのかと思わせるほど、このふたりのショットがぴったりなのだよね。この出会いがさらにリコを成長させ、目指すトレーナー像の力強い決意を聞くことができる。すばらしい主人公だ。きまぐれなニャオハ先輩が新人をいびらないかと正直ひやひやしていたが、ここでは杞憂だった。彼女もまた、この旅で成長していることがわかる。

 

魔王学院の不適合者Ⅱ ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ part1

 冬の宿題組。理屈を長々とことばで説明するのは重要ではないというと怒られるかもしれないが、さておき円満に終わったようで良かった。放送の延期も含め、萌えとギャグのないパートが続くと興味を維持するのが難しい。

第7話「ただ一振りの剣の如く」

 異種族、なんなら異種概念のラブロマンス。このとき涙花に愛情を注げなかったシンが、神さえにも恐怖や生存願望をもたらしたアノス様の力で、2000年の時を経て妻子を愛するうれし涙を流す。慈悲深きことよ。

 

政宗くんのリベンジR

 第1期が6年前って本当かよ。春のBSの再放送をスルーしたのでほとんど何も覚えていない状態での視聴。旧作を、ましてや視聴済みのものを追う余裕がない。CV. 大橋彩香の黒髪メインヒロインがもう一度見られることもうれしかったが、CMが懐かしすぎる。原作者のドローイングCM毎週楽しみにしていたわ、全部思い出した。「ワガママMIRROR HEART」はあまりにも名曲。原作は1期から間を置かず完結していたらしいのに、こうしてアニメも最後までやってくれてありがとう。

第3話「忘れたころにやってくる」

 小十郎きゅんや委員長のことはなんとなく記憶にあったのに、藤ノ宮寧子さんのことをきれいさっぱり忘れていたのが我ながら信じがたい。三森すずこボイスで適当なこと嘯いてたまに京都弁が出る知的で愛嬌のあるノーパンお嬢様が好きすぎる。昔とは好みが変わったのだろうか。リベンジなんて忘れて寧子さんときゃっきゃうふふしようぜ。

 

無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~

 春の再放送で作品を知って、圧倒的なアニメーションと世界観に、いやが上にも高まった期待の下迎えた第2期だったが、想像していたものとは違う方向だった。良く言えばエピソードの幅が広い。

 エリス・ボレアス・グレイラットは至高のヒロインだと信じて疑わないので、たとえルーデウスのErectile Dysfunctionが治ったとしても、わたしの失意の念は消えない。終始彼女への心残りがちらついていた。いや、新しく出てきた女の子たちもえっちでかわいかったけれども。その点黒髪ストレートロングの後ろ姿の女の子には希望を抱いていたのだが、思っていた子とは違ったね。

 ED(エンディング)の曲と映像がシルフィもといフィッツ先輩にぴったりですばらしい。サングラスの遮光度を自在に変えられるアニメという媒体よ。OPEDは毎話固定映像と曲の今回の方式の方が好き。

第6話「死にたくない」

 なんといってもルーデウスとシルフィもといフィッツ先輩が一緒に帰る放課後のシーン。好きなひとの前で当人のことであることを隠して当人をほめるの楽しいねえ。夕陽差す用水路の橋を降りて微笑むフィッツ先輩に風がそよぐ。その光景に抱く情念に、男も女も幼なじみもないのだと、わたしは思う。

 

ライアー・ライアー

 もっちりとした頬の形が、史上稀に見る好みのキャラデザだった。この作品の輪郭が際立って特徴的というわけでもなく見えるのに、絶妙にツボを突いてくるとしか言いようがない。あらためてキャラクターを眺めてみると、細い首、赤みの強い肌と薄い塗り、ヒロインズの多くに共通する下がり眉、やや垂れ目、ぼけっとした鼻と口、この辺が有機的にかみ合っているのかもしれない。作中の決闘については心底どうでもよくなっていったが、彩園寺更紗、姫路白雪、椎名紬たむのだれかしらが画面に映っている間は、とても幸せな気持ちで見られる作品だった。わたしは萌え一本のアニメは脱落してしまいがちなので、作画が怪しくなる中ほぼキャラデザだけで完走させたこの作品はほんとうにすごい。

第1話「王と嘘」

 3ヶ月ぶりに見たけどけっこう面白そうな作品ですね、「ライアー・ライアー」っていうんだ。決闘内容はすでに怪しさがあるが、タイマンでルールもアビリティもシンプルゆえにさほど気にならない。なにより彩園寺更紗がキャンキャン吠えて下着が透けてたいへんに萌えになる演出として最高とすらいえる。ジャジーな劇伴も好き。メインテーマは次話以降も何度もかかったが、決闘と映像の出来次第でもっとクールに感じられたのではないかと思う。

 

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- (2023)

 観柳邸での闘いが終わった第13話時点。第一に来る感想は「物足りない」である。小中時代にCS放送で旧アニメに級友とドハマりしていた身としては、25年以上経てリメイクされたわりにその思い出を超えていないという印象が残り続けている。もちろん、好きな作品なので楽しく見てはいるのだが、だからこそ厳しい目を向けてしまう。丁寧ではあるけれども、現代アニメとしては凡庸で、アニメ化ならではの突出して良い部分が思い浮かびにくい。

 剣心といえば流浪人と人斬りとで揺れ動く葛藤が魅力的な人物であり、演出として目のカットが多用される。しかし、新作は眼光の鋭さが足りていない。斉藤壮馬さんも好きな声優なのだが、ちょっとおとなしいように感じている。殺陣の映像も迫力不足というか、真面目すぎる。蒼紫様の流水の動きは大幅に手が加えられてかっこよかったけど、蒼紫様に強キャラのイメージがないために、1クール目のシナリオとしての盛り上がりに欠ける面もある。まあ比較対象が思い出の中の旧アニメなので、いまそれを見返したらそれはそれで演技・演出過剰と感じるのかもしれないが。一番好きな斎藤も、鈴置さん以外を受け入れられる気がしなくて、京都編も不安だ。それはそれとして、三条燕ちゃんはよ。

第1話「剣心・緋村抜刀斎」

 いや、どんな愚痴を並べてもね、昔の好きな作品を一から作り直して、皆と見る機会を与えてくれるというのはほんとうにありがたいことだよ。「剣は凶器 剣術は殺人術」から続く大好きなことばを一言一句漏らさずしゃべってくれるだけで感無量。流浪人もといホームレス無職の解像度が上がったいまだからか、じゃじゃ馬のイメージが強かった薫殿がすごく魅力的な人間に見えてびっくりした。

 

Lv1魔王とワンルーム勇者

 ギャグあり人情ありバトルありで面白かった。キャストがとんでもなく豪華で、元勇者パーティーの男3人である中村悠一さん松岡禎丞さん下野紘さんのだれが勇者役かクイズをしたら正解率3分の1になる。この3人が解散してなんやかんやあって別々の立場を取る話なわけだが、戦闘能力や精神力、信頼関係といった力の均衡に、キャスティングも寄与しているのが偉い。とりわけおかしいのは8人いる大臣のキャスティングで、公式ホームページにも載っていない大して出番のないキャラなのに、往年のスーパースターと名脇役みたいなメンツで、会話が入ってこなかった。

 一本道じゃないストーリーが良いね。元勇者パーティーの三すくみだけでなく、魔族、王国のお偉方といった勢力の思惑や利害関係が複雑に絡み合うことで、目指すべき未来の見えない緊張状態が続く。マックスの世捨て人のような諦念観に共感を誘う描き方をしたうえで、ここぞという場面で腹をくくるからこそ胸が熱くなるのだ。

第8話「決別」

 ギャグとシリアスのバランスが絶妙。料亭談議にて、忙しくカメラを切り替えて口角泡を飛ばす両者の迫力は見物。行きすぎた力は利用される。フレッドもされる側でありながら、マックスを引き入れようとするのだから合意が得られなくて当然。不器用な男だね、フレッド。一方のマックスの顔芸には、たんなるギャグとしての演出だけでなく、だれにも取り入れられないしたたかさを覚えた。

 

わたしの幸せな結婚

 女性向けかと思って油断していた。傑作。下が初回から3話通して見てのひとことで、その下が第7話のつぶやき。このタイトルから異能バトルでドンパチやるとだれが予想できるのか。

 映像が非常に美しく、中でもヒロインの美世の明るい表情に感動した。OPがわかりやすく、サビに入ってからの駆けだすシーン。デフォルメの利いた笑顔というより、薄い表情ながら生き生きとした希望を感じる顔をしている。美世というキャラクターをよく表現するとともに、言われるがままだった人生から主体性を獲得していくストーリーを予感させるものとなっている。

 キャラデザでいうと、女の子たちよりむしろ男性陣の華のあるイケメンっぷりが好み。見た目に加え、強さを決定づけるものが異能である。やっぱり男は強くてなんぼですよ。

 ストーリーの締め方もすばらしい。あくまで主人公は美世であることを示す構成だ。ただ守られるだけでない、自らの意志と力をもって、道を切り開く終幕。斎森家での死んでいるも同然の日々から、よく立ち直ったものだ。やっぱり女の子も強くてなんぼですよ。

第10話「夏の桜、そして過ち」

 今期一番興奮したバトルは、呪術でも無職転生でもなく、本作の久堂清霞と薄刃新の異能戦かもしれない。話し合いで平行線だから決闘するぞ理論大好き。話の持っていき方もそうだが、バトルシーンそのものにたぎる。ヒキ多めのカメラで軽快な身のこなしが映える。それにしても、対異能者特化型の新に対し、圧倒的火力と身体能力で追い詰めてみせる清霞様かっこよすぎる。新のスタイルもクレバーで、被弾して間合いを詰めさせたところからの美世の幻覚を使った不意打ちによる決着が、画としてもキャラクター性の演出としても100点満点。

 素直にすごすご帰宅した清霞へのお姉ちゃんのフォローも完璧。頼りになるひとだよ。濃密な一話だったが、ストーリー上は美世覚醒前の前座ともいえる。ここでは自信を巡る話し合いでも決闘でも蚊帳の外で、意志はあれど表に出すことはできない。出生の謎の開示と覚醒を予期させる次話への引きまで、じつに見事だった。

 

劇場版 呪術廻戦 0(2021秋)

 今期唯一の旧作の履修、ただし劇場版。テレビアニメ第2期に先んじて放送されていたのでその折に。すごすぎていまさらここで語ることがあるのか。祈本里香ちゃんと結婚したい。

 

総括

 続きものの安定感が光っていた一方で、琴線を掻き鳴らすような新作、新キャラは控えめなクールだった印象です。良かったエピソードは……あれとか……これとか、年末の10選がいまから楽しみです。

 もう少し旧作の履修をしたくて、なんなら録画も溜まっているのですが、どうにも秋アニメの層が厚すぎて、新作すら追いきれないかもしれません(厳しめに絞ってすでに23本が確定)。とりあえず夏の感想はこうして早く終わったので、次はアイコンにする子を見つけて描かねば。

東京遠征の記録

 9月11、12日にLiella!の4thライブの東京公演があり、その1日目に参加した。過去に2回、現地ライブのレポートを書いたが、今回は初の片日参加かつ初の遠征で観光を兼ねていたということで、ライブにも旅行記の中の一事として触れることにする。

hibihinichi.hatenablog.com

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 外泊を伴う観光旅行というのが自分にとってはごくまれな出来事で、道中のツイートや写真の補完になるような記録にできたらと思う。基本的には時系列に沿って、はしょりこそすれまとめはせず、だらだらと書いていく。

 

やらかしの前日譚

 さっそく旅立ちの話に入りたいところだが、その前に致命的なやらかしをしてしまっていたことを告白しておかねばならない。旅行のメインであるLiella!のライブが2日間あり、そのうちの日目に参加したことはすでに書いた。しかしわたしは、あろうことかその2日前の9月7日までずっと、日目のチケットが取れているものとばかり思いこんでいたのである。抽選で片日のみ当選したことだけが確かな記憶として残り、いつのまにかその当選日を思い違えていたらしい。

 少なくとも労働(シフト制)の希望休を申告する7月25日にはすでに勘違いが始まっていたようで、1日目に当たる9日にはきっちり出勤が組まれていた。算段どおり1ヶ月前に初めてとなる4列シートの夜行バスを予約して、その安さに満足げになるわたしも、開始5分で売り切れるはなから売る気のない物販予約にブチ切れるわたしも、いまにしてみれば滑稽そのものである。

 取り返しのつかない過失が発覚したのは、顔写真登録手続きで参加日を指定してのログインがうまくいかなかった時で、それはもう顔面蒼白である。当日労働していては新幹線でも大阪からは間に合わない。虚構の予定どおり2日目だけ参加するかと当日券を探すも珍しく完売。ライブは諦めて、10日に観光だけして帰るか、いっそバスも全部キャンセルして少しでも無駄な出費を減らすか……。

 悩んだあげく、職場での信用を犠牲に、100%私用で100%自身の過失が理由であることを正直に伝え、欠勤させてもらえないか急遽頼みこんだ。ほんとうにありがとう、ほんとうにごめんなさい。バスも行きの便だけ当日の昼行に取り直し、キャンセルでの一部払い戻しを合わせて2800円ほどの追加費用で1日目公演に参加できることとなった。

 

出発

 さて、そういうわけで予定外の昼行バスに乗って出発である。記憶が正しければ、実家以外への外泊は4年ぶりになる。勝手を忘れているくせに、当日の朝に準備を始める悪癖は変わらずで、荷造りは迷走した。夕べ眠れないとか言って2期のブルーレイを再生していたアホはこいつです。元々最小限の荷物しか持っていかない主義だが、限界貧乏根性が無意識に発動し、4食分の食糧(オートミール)を詰めた3つのタッパーで、ただでさえやや小さめのリュックサックのスペースを大量に食うこととなった。まあ、家だろうが外だろうが独りで高いご飯を食べても仕方ないというのは本音。

 一発目に撮った写真は、甲南PAのご当地プリント自動販売機。なぜか最近になって自販機に目が行くようになってしまった。理由に心当たりはまったくなく、ほんとうに不思議だ。甲斐性なしが無銭で写真撮影するだけですまんな。車内でも水道水の2Lペットボトルを前席背面の網にねじ込み、周囲の500mLペットボトルホルダーを威嚇していた。

世界初!!オールキャップで飲み口付き!!の自販機を撮らないわけがない。
道の駅もっくる新城の自販機兄弟。

 高速バスに乗るときはいつも音楽を聴いていたのだが、今回は履修をサボっているリエラジを流していた。ライブの予習になるし、そうでなくても曲を流しっぱなしより耳に優しく疲れないし、車酔いもしないし、通信量も控えめ?(高速バスのフリーWi-Fiを当てにするな)なので、長時間移動時の声優ラジオはとても良いかもしれない。

 

現着

 本日はライブ会場である武蔵野の森総合スポーツプラザをまっすぐに目指す。東京の土地勘はまったくないが、高速バスの各バス停到着時刻まで考えるとどうやら新宿からよりも神奈川側からの方が早そうである。東名向ヶ丘で降車し、徒歩と電車で向かう。中部の山中では雲が厚くかかっていたので不安だったが、幸いにもいまは晴れている。この2日間、台風が引き連れた夜通しの蒸し暑さは堪えたものの、運よく折り畳み傘の出番はなかった。Liella!は皆晴れ女。

見知らぬ料金所に独り放り出されるわくわく感。

 わたしは大阪に出るまでずっと四国の山の中で過ごしており、南関東は全部まとめて都会のように思っていた。川崎市なんて大都市のイメージだったが、海から離れた端の方は郊外を通り越して山なのだね。来たばかりで元気が有り余っており、調子良く歩く。不意に太鼓の鳴るごく小規模の地域のお祭りに出くわす。奇遇だね、わたしもお祭りに向かうところだよ。京王稲田堤駅まで来たところで、時間を見て電車移動に変わった。

 最寄りの飛田給駅に到着。ここから会場まで、ごった返すオタクの百鬼夜行が形成された。にわかにオタク臭くなったのは、わたしが都心側からのルートを選ばなかった影響も大きいだろう。駅そのものは郊外の普通の駅といった趣なのが不釣り合いで余計に異常性が高い。そもそもFC東京ヴェルディのホームがあるなんて、ここに住むの大変そう。

 そうして会場に到着。オタクライブの写真やアニメの舞台として見たままの光景だ。新しくてきれいだね。明日で予約していた物販の受取りはやはり今日は不可とのこと。もしブレードが予約できていたらそれこそ悲惨だった。明日の15時に受取りのためだけにこの辺鄙な土地までまた来るのは億劫なので、結局唯一の購入品であるパンフレットは救済措置の後日郵送を利用することにした。

「今日はここ」ツイートするの忘れていた。

 

入場

 会場内もきれい。座席は上手側にほど近いスタンド4階席(3段構造なので実質3階)。見切れが売り切れているだけあって超満員だった。メインステージはほとんど真横から見下ろすような角度で、奥のメインモニターは手前半分ほど隠れて見えず、脇のサブモニターもステージと比べるとかなり高い位置にあるため、メインステージであっても直接演者を見ていると周辺視野から外れる難がある。

赤い星が座席。

 上手側の通路のトロッコは、角度がありすぎてこれまた見えない。これは3rdの城ホールでもそうだったが、ここは矩形なので正面時だけでなく会場後方をの上手側を通っているときも見えない。近くに来ても隠れるのだから、スタンド席のトロッコってうれしくないね(3階席だったら見えたのかも)。演出の緩急になるから、不要だとは言わないけれども。

 メインステージは近いと言えば近く、角度が急な分だけ逆に考えれば演者がこちらを見てくれたときは直接こちらにだけレスがもらえているように見えるのはとても良い。とはいえ、真横から臨むと並んだ演者が横ではなく縦に並ぶため、ふつうにダンスを見る分にはやはりイマイチだと感じた。

 ただし一番の問題点は(まだ会場と座席の文句を言うのか)見え方よりむしろ音響で、これがライブの満足度を総じて下げたという印象が強い。メインステージ中央の真上すなわち座席近くにバカデカいスピーカーがぶら下がっており、基本的に音はここから聞こえる。トロッコやセンターステージ使用時は演者と音の発生方向が違いすぎて気持ち悪いが、まあこれは現代のデジタルライブならある程度割り切らないとね。そして、それが霞むほどの問題が反響音。中高音がすべて会場後方から遅れて二重に聞こえてくるのである。MCや幕間劇なんて完全にやまびこだった。わたしはけっして耳は良くないしライブも音響も知識ゼロだが、単純に音楽を楽しみたいという気持ちはある。2nd、3rdの城ホールでの体験と比べるとその差は歴然で、この会場はもうよいかなと思ってしまった。

 

開演

 長い愚痴は会場の方に押しつけ終わったので、ここからは良かったことを書く。まず衣装。どれも力が入っていてほんとうにきれいだった。開幕の「Jump Into the New World」、スカートが大きくてフワッとしていて、エレガントでありながらダンスをダイナミックに魅せてくれた。イラストや写真でのイメージが一変である。ゆっくりなびいたかと思えばキュッと方向転換し、いつまで見ていても飽きない。

 ソロの衣装も抜群に良かった。「ビギナーズRock!!」でキュートが天井を突き破った。色味、小物、それをのんちゃんが身につけることですべてが完成する。CDで聴いたときから曲もとても好きで、振りやしぐさがまたかわいい。3rdのときも声がよく出ていて驚いたのだが、キュートさを保ったまま一段とパワフルで通りの良い歌声になってすごい。

 「ミッドナイトラプソディ」にしても「Starry Prayer」にしても装飾の凝り方がこれまでと段違いじゃなかったか。1stアルバムのソロと比較にならないくらい、2ndアルバムのソロは曲自体がそもそも好きなので、4/9しか見られなかったのは惜しい。公演の半分がソロになるとバランスが悪いと言われれば間違いないが、もう回収できないかもなあ。「君を想う花になる」、「ガラスボールリジェクション」、生で聴きたかった。

 本公演を語るうえで欠かせないのが、声出しである。コロナ前はアイドルライブと無縁だったわたしには未知の世界で、半ば戦々兢々としていた。さっそくオープニングどころかその前のランダムbgmからその洗礼を浴びることに。まだ着席している中「TO BE CONTINUED」のギター前奏で突然会場中が「ヘイ!ヘイ!」うなり始めたときは心臓が飛び出るかと思った。

 声出し禁止が当たり前だったビギナーのわたしの所感としては、これまでの(特殊な)スタイルの方が好きかな。曲に合いの手を入れるのもたしかに楽しかったが、ボーカルの休符時のとりあえずの「フッフー」など、不要に感じるものも多い。ただ、意外とコールのない曲もまた多く、この辺はコロナ下で展開が進んだグループの特徴かもしれない。一方、「キラーキューン☆」の「ズッキュンキューン」やアニメ時点で組み込まれている「常夏☆サンシャイン」の声出しなしはもう考えられないや。11人での常夏は思い切った選曲、今回の楽しさナンバーワンだった。

 (アイドル)ライブとはお祭りでありコミュニケーションであるというのが、これまで参加してきての実感で、周囲のオタクが大きな声を出していれば、自分もという気持ちに自然となってしまうのだよね。MC前後や降壇時に、「ありがとう」はまだしも声優の名前を呼ぶオタクに自分がなるとはまさか思っていなくて、思い出していまさら怖くなってきた。

 さて、Liella!としては初となるユニット活動として、この東京公演では5yncri5e!がピックアップされた。このパフォーマンスが圧巻だったね。CDで聴いていたよりずっとすばらしかった。大熊さんのこと、最初はそうでもなかったのに、いつのまにか意識してしまっている。歌声がクールで、ダンス以前に立ち姿からかっこいい。ただ、彼女の目線はいつも客席よりメンバーに向いているように見えて、モヤモヤする……これが、恋?

 ユニットの展開を今後どう続けていくのかは未知だが、今回の5yncri5e!の2曲はこれまでのLiella!とはっきり色を分けていたと思う。立ち姿と書いたが、5人がそれぞれユニットコンセプトに合わせてひとが変わったとさえ感じた。センターステージの近くでまた見てみたいね。

 それとね、坂倉花さんの堂々のパフォーマンスにおじさんびっくりしちゃった。これがほんとうに弱冠19歳の新人の姿か?お披露目となった生放送では、素の表情や喋り方がいかにも若い子だと見ていたが、舞台での印象が違いすぎる。肩出し衣装で腰くねくねさせるのは煽情的にもほどがある。MCでも最も上手側に立っていることが多く、たくさん手を振ってくれた。

 意外な選曲としては、アニメ2期の特典3曲。1期特典曲がファンミ以外でスルーされ続けていることから、これらも幻の曲になると踏んでいた。どれも好きなのでうれしい。ソロを回収しきれなくて残念とは書いたが、代わりにこれらを入れてくれたと考えると納得である。

 セトリ全体としては、初回収15曲はほんとうにすごい、大満足。ただし全21曲中、メンバー別では最多のなこちゃんで15曲、Liella!名義の曲は11曲。円盤曲はほとんどLiella!としての歌だとしても、アニメとリアルライブとの時空がどんどん離れていくような感覚は拭えない。高校生という限られた時間の物語である以上は仕方ない部分もあるが、やはり本作の特徴である進級と新入生の追加の影響は大きい。メンバー5人が全員がソロ以外のほとんどの曲に参加した2ndとは、グループとしての印象はかなり変わったものである。今後も物語は大切にしてほしくて、その面でも今回の11人常夏は、「ずっと参加できなかった恋ちゃんが一番喜んでいる」と語ったなぎちゃんのMCの補完込みで最高だった。

 そんなふうに思っている中で、冬の5thライブの告知が翌日にされたわけだがどうよ。正直今回でさえ、3期アニメ放送前に3期生が加入してしまったことに困惑していたのだが。いちおう幕間のリエラのうた調ミニアニメでその辺の補足があり、セトリにもうまく繋げていたね。また大阪ないし、それ以上にどちらの会場もコンサートホールじゃないしで、いまのところは後ろ向き。

 

深夜徘徊

 さて、ライブで終わらないのが遠征である今回。元々の予定だと、日曜朝に夜行で着いてからライブまでのせいぜい9時間が自由時間だったのが、急遽丸1日使えるようになってしまった。お金もないし、宿にすぐ入ってもどうせ明日は時間を持て余すだろう。会場付近に留まって、賑やかなオタクの群れで寂しい思いをするのは嫌だったので、とりあえず移動することにする。

 この判断が愚かだった。きっと初めての声出しライブと久しぶりの外泊でテンションがおかしくなっていたのだ。方角だけ決めて目的地なく歩くのはなかなか面白く、時間と体力の消費先のない無職時代はよくやったものである。今回も最初の方は気分良く進んでいた。

謎漢字。

ラッミス、カレーとお米の自販機だよ。

 せめて多摩川沿いに緩く下りながら川崎市街地方面に出ればよかったのだ。しかしなあ、「藤沢」や「鎌倉」の響きが持つ魔力が西の人間にはあるのである(たぶん)。去年の秋アニメでその辺りが旅行先として出たのが記憶に新しかったり、昔ZARDをよく聴いていたりしたことも引力としてはたらいたのだろう。

 幹線道路から外れて南下を始めると、にわかに丘、いや山であった。ロードサイドに途切れず建っていた飲食店やコンビニはおろか、自販機も一斉に姿を消し、宅地と森が続く斜面を進む。そして最悪なことに、ここにきて尿意を催した。トイレは行けるときに行っておいた方がいいらしいね。

 おしゃれは足元から、おしゃれはガマンの格言に従い、私用では足元をガマンしてコラボスニーカー(

White atelier BY CONVERSE × ラブライブ!スーパースター!! ALL STAR COLORS R HI 澁谷かのん | PremiumStore.jp(プレミアムストア)

)を履くようにしている。会場を出てから2時間近く経っただろうか、両足の小指にはマメができ、左のかかとは着地のたびに骨がむき出しになっているかのごとく痛む。それでも歩みを止めることはできない、なぜならトイレを探さなくてはならないから。住宅街のトイレスポットといえば公園と相場が決まっている。それがどうだろう、寄り道と回り道を繰り返し公園を4つ5つと見つけるが、いずれにもトイレがないのである。川崎市政の陰謀か?

 横暴な市政をけっして許してはならないが、先に決着すべきはほとばしる尿意とである。南へ、南へ、とにかく山を抜けるのだ。そうして無心で歩き続け、ライブ会場からじつに10km、暗闇を照らす聖地へとたどり着いた。ありがとう、セブン-イレブン 川崎菅生1丁目店。トイレを借りられたことももちろんだが、店内が明るいというだけで心底安心している自分がいて驚いた。

 股間の緊張から解放されると同時に、全身の疲労が現実を覆ってきた。歩き続けたまま日付もまたいでいたらしい。単なる空腹を超えた、一時的な栄養失調である。持参の食塩付きオートミールと、身体が求めるがままに買った肉⸻7Pサラダチキンハーブを広げる。バス停のベンチで食べる、初めての食事だった。

 7.5時間の高速バス移動に始まり、3時間のライブ、残りはほとんど歩き続けである。30分ほどの休息で気分こそましになったが、身体の方は立っているだけで苦痛である。グーグルマップを開けば、夜通し歩けば着くと考えていた湘南の海は、進んできた道のりの何倍も先にあることがわかる。地球って大きいんだなあ……。これからどうするよ……。坂の途中の傾いたベンチで足を揉んでいたわたしの元に、一条のメロディーが降ってきた……。

動いてないと探せない 休んでも止まらないで
夜が明けた空には 太陽…!

 うおおおお!!!動け!!!!

自転車用のカーブがイカしている歩道橋(写真がヘタ)。

結構な上りなのだが速度を落とさないとだめらしい。

 そうして見つけた太陽⸻ゆう遊空間 あざみ野店。

これはチェックアウト後の朝に撮った写真。

 会員登録料込みの24時間フリーで2310円、タバコとトイレの臭いを消臭剤でごまかしており、臭い。値段相応に、初の神奈川宿泊先としては最底辺だろう。それでも、シャワーと柔らかい床、それ以上のものは何も要らなかった。

 

2日目

 冷房の風が直接当たる部屋だったせいか、3時間ほどで目が覚めた。さっさと部屋の変更とブランケットの貸与を頼めば良かった。体力が回復しきっていない中、早々に出発しても時間を持て余すのが目に見えており、ぼおーっと本日の計画を立てる。

 一般に、旅行の計画は旅行そのものより楽しいとされる。しかし、わたしの場合はこれが億劫でしかたないらしい。今回の残念な学びである。出掛けたら出掛けたで楽しいだろうと浅薄に信じてはいるのだが、その幸福を最大にするための事前準備をするという努力と想像力と欲求が欠如している。逆にアニメの女の子ってエネルギッシュで希望にあふれていて夢にまっすぐでありがちで、そういうところが良いんだよな。

 さて、そんなこんなで気がつけば9時を回るところで、時間が惜しくなってきたので出発する。漫画はいっさい読まなかったが、ヤングジャンプNo.37・38合併特大号の結那とさくちゃんのグラビアは、互いの肉感のコントラストが芸術的だった。凹みの目立つ2Lペットボトルを満タンにして、いざ灼熱のお外へ。

 足の痛みは回復には程遠く、地球の大きさも思い知ったので、公共交通機関は惜しみなく利用していくことにする。最寄りのあざみ野駅から一本で行けるなんか大きな都市(適当)ということで、まずはブルーラインで横浜へ。

 虹2期の聖地ほかをざっくりと回るつもりだったが、すでにくそ暑いのと、(中学時代だったかに)一度訪れたことのあるばりばりの観光地をあらためて巡るのが面倒になって、すぐに駅に引き返してしまった。さっそくぐだぐだである。

(左)ててて駅長。(右)シンボルの木がイチョウ自治体大杉問題。

 

お台場

 というわけで北上、虹ヶ咲の本拠であるお台場へ。ここから一日かけて24区内を反時計回りに一周することになる。天王洲アイル東京テレポートりんかい線の駅名にしびれる。

観光地に新たな魅力を吹き込むもの、それがアニメ。

 駅着いてすぐがこれだったので他にパネルがないか歩き回ったのだが(下調べ無し)、虹ヶ咲のにの字も見つけられなかった。ODAIBAゲーマーズのことを知らなかったのは完全にミス。次遠出することがあれば、観光地の前にアニメショップを調べておくべきだね。

 前夜の教訓から早めの補食が大事ということで、デカいショッピングモールのちんまりとした休憩スペースにて最後のオートミールを食べる。たった500gで1800kcalその他ミネラルが摂れるので、家でも外でも便利。聖地とは無関係にデカいショッピングモールをただぶらぶらするのも嫌いじゃないが、そんなことは大阪でもできるので移動を再開する。

 太陽は高いが、見通しが良く風がある分さほど不快ではない。東京のど真ん中とは思えない、無人の広大な空間を気分良く散歩する。朝夕の通勤しかしなかった今夏分をゆうにしのぐ日焼けをこの遠征でした。

スケボーと花壇とのことばの距離にしばし戸惑う。そこに乗るのか!

割れているのかと錯覚するほど窓の反射がゆらゆらしているビル(写真だと伝わらない)。

 

月島

 お台場散歩に大満足し、有明駅からゆりかもめ豊洲駅まで、そこからバスで月島へ。ちょっとした距離ではあるが、時間短縮以上に足を休ませられる意味が大きい。日中と夜間との違いはあるが、しばしば見物で立ち止まったり電車で座ったりするだけで疲労が昨夜とまるで異なる。バス移動はここだけだったが、運転手がぶっきらぼうで怖かった。大阪でもほとんど乗ったことなくてすまんな。交通系IC買わないとだめですか。早く世の中のあらゆる対面決済がクレカのタッチ決済に対応してくれ。

 さて、春アニメの江戸前エルフの舞台であることがここに寄った理由。お台場から一転してふつうのきれいな郊外といった趣で、24区って全部一様な都会だと思っていたけど面白いね。人間さえ少なければ自転車で回るだけで生涯楽しめそう。

しなやかで おれにくい ヤナギのき ほんとうに好き。

 偶然選んだルートもあるのだろう、ふつうに宅地があり、ふつうに公園があり、ふつうに学校があり、ふつうに役所があり、ありふれた生活の地であったところから、ほんの一路抜けたところで、観光地に様変わりした。昼としては遅い時間だが、アーケードは所狭しと林立するもんじゃ焼き店に並ぶ人々でにぎわっていた。ただ観光地と言っては語弊があるだろうか。地域住民は普段どれくらい食べているのかしら。お台場での補給でお腹は空いていなかったが、ちょっとぐらい店に入ればよかった。

 今回、聖地巡礼と呼ぶにはおこがましい無計画な街歩きをやってみて思ったことがある。わたしにとって、アニメ作品の舞台が現実の都市を借りていることそのものは重要でなく、都市から作品の気配を感じ取ったときにこそ感動を覚えるのかもしれない。もちろん、それとは別に萌えパネルや萌えポスターはなんぼあっても良い。

 

浅草

 月島駅を発って浅草駅へ。この際、大江戸線浅草線を各蔵前駅で乗り換える必要があるのだが、これが面白かった。この2つの駅舎は200mほど離れており、かつ直接連絡していない。一度連絡専用のオレンジの改札機を抜けて(切符が戻ってくる!)地上に出て、特別の通路でも何でもない、道路わきの通常の歩道を通行し、新しく電車に乗るかのように出入口から目的の駅に入って、またオレンジの改札に先の切符を通すのである。前を歩くひとがいなかったら絶対迷っていたわ。

初めて見た薄型。この後も薄型は市街地で何度か目にした。東京では珍しくない?

 やれ浅草、人間の密度が高すぎる。ワールドダイスターという作品がなければ絶対に来ていない。なんで外国人観光客はここに集まるの。

 ここで先に花やしき通りに行ってから曙湯に出向く痛恨のミス。つくばエクスプレス浅草駅から遠ざかってしまった。再びあのごった返す人混みに戻るのははばかられ、徒歩で西方へ歩き出す。

 

上野

 気分の問題も大きいだろう。にわかに疲労を感じるようになった。ところで、過去にひとりで東京に来たことが一度だけある。就職活動、といっても面接ではなく1日インターンとかいう、いまにしてみれば絶対に遠方から行く必要のないものが目的だった。これを書きながら当時のレシートとメールを漁ってみたら、4列の夜行に乗って帰っていたことが判明、今回が初めてではなかったのだね。ただ、三食ちゃんと店に入って牛丼やらそばやらを食べていたようなので、やはりいまの方が貧乏である。

 そのとき、半日のインターン以外の時間の大半をつぶしたのがこの上野エリアである。伝聞でよく目にする秋葉原などと違い、イメージの上書きの機会が少ないからこそ、余計に自身で見たままの光景をよく覚えている。バカデカいのに意外と道を塞がない駅、首都高速の曲線的な脚、御徒町のうるさい灯り。BOOKOFF PLUS 上野広小路店も、目にした瞬間に当時立ち寄った店舗だとわかった。

 ただ、懐かしさに浸ると同時に、次の行動に悩んでもいた。疲労や空腹に加え、何よりスマホの充電が残りわずかになってきたのである。理想としては、動き回った最後にネカフェでスマホの充電を兼ねて休憩、シャワーで汗を流して夜行に備えるというもの。しかし、夜行の出発までまだ6時間あり、先に充電が切れてしまう。Twitterを開くのは自重するにしても、地図その他調べもの、写真撮影、現在時刻の確認すらできないのは、旅先では詰みに等しい。

 

秋葉原

 そんな具合に悩むもとい問題の先送りをしていると、気づけば秋葉原まで歩いていた。冷静に考えれば、充電を途中に挟むことは避けようがないのだから、さっさと休んでおくべきだったのである。梅田のヨドバシのような充電スポットを期待してビックカメラに入ったのだが外れ(ヨドバシAkibaの方にはあったらしい)。カフェか、レストランか、カラオケか、少しでも安く済ませようとぐるぐると回り、結局快活クラブに倒れこむ。そうこうしているうちにスマホがお亡くなりになったせいで、会員登録にカード発行料で370円余分に取られるわ時間はかかるわになったのだから始末に負えない。

充電スポットより萌え絵が簡単に見つかることに感動(している場合じゃない)。

 ここの快活クラブは、昨夜の郊外のネカフェと比べるとあまりに清潔で高級感があったが、逆に言えばそれだけだった。リクライニング席は出入りや靴ひもを結ぶのにも苦労するほど狭く、ドリンクは150mLほどの紙コップにちまちまと1個ずつ作られる自販機タイプでかったるいものだった。ゆっくり寝たいならカプセルホテルで良いんだよな。

 休憩を終えると外はすっかり暗くなっている。バスまでまだ3時間余りあるが、実際の残り時間以上に、のんびり観光をしている場合ではないような気分になる。とはいえ、どこかを歩くしか能がないのでまだまだ歩く。

大通りに当たり前のようにラブライブの看板があってうれしい。

 正直なところ、わたしはサブカルチャーに好意的ではあるものの、やってきたことといえばほとんど断続的にテレビアニメを見てきたということだけである。大阪に長いこと住んでおきながら、日本橋のオタク街に行ったこともない。秋葉原でも何をするものなのかわかっていないが、とりあえず自分でも知っている二大アニメショップには立ち寄っておくことにする。

 まずはアニメイト。衝撃の7階建てであり、1階部分は通りとシームレスに外国人でごった返している。早々に階段へと退避、するとこの一年のタイムラインで見知った文字列を目にし、くたびれた大腿にいまいちど電流が走る。

 これが⸻ポップアップショップ⸻。こういうところでやっているものだったのか。通常の売り場で雑多な商品と並ぶパネルは少し見慣れてきたが、単体の作品だけにフロアの大部分が占められている光景は、近寄りがたさすらある、ショップというよりサンクチュアリだった。

きん!ぱつ!きん!ぱつ!

 下の階もひととおり回って退店。デレマスのフィギュアが充実していて良かった。

 続いてゲーマーズへ。郊外にも店舗のあるアニメイトと違い、ゲーマーズは都心にしかないイメージで、見るのも入るのも初めてだった。開幕からヨハネの出迎えで興奮。さすがラブライブのお膝元である。1階の構成が「書籍新刊・雑誌・ラブライブ!」なの良すぎる。ネット通販が普及した現在、ここでしか買えない、もらえないものというのはほとんどないのだろうが、こうしたショールームとして実店舗も維持されていくのだろうか。

もはやラブライブショップなの、新参としてコンテンツの巨大さにビビる。

 1階の空気を吸い込んだ後は、シャワー効果にまんまと釣られるように最上階のこれまたポップアップストアへ。今回は複数作品がそれぞれ3畳ほどの狭いスペースで展開されていた。

これがうわさに聞くアニメキャプチャ学園のポスター発表か。
ライアー・ライアーを見ていてほんとうに良かった。見ていないアニメの写真は貼れないから。

 そしてもうひとつ、この旅でとてもうれしいことがあった。それは、初めて自分がオタクとして対面で他人と話したことである。4階のブシロストアにてまたまたラブライブのグッズを眺めているとき、不意に面識のないオタクから話しかけられたのである。いわく、サンシャイン!!からのシリーズのファンで、久しぶりにアニメショップに来たのだとか。自分もスーパースター!!を今年に入ってから見て、シリーズのアニメを後追いして好きになった口であることを答えると、ラブライブについてにとどまらず、かれこれ10分ほどその場で立ち話をした。

相手「最近はアニメ見られていないんですよね。転生王女と天才……だっけが好きでした」
自分「ああ!アニスとユフィの立場が途中から逆転するのがまた良いですよね、最終話はとても感動的でした」

相手「今期だと何かおすすめあります?」
自分「(自然と繰り出される "今期" !)いやー、……あらたまって聞かれるとぱっと思いつかないものですね。何か見てるんですか?」
相手「幻日のヨハネは見てます」
自分「(そうきたか)…さすがですね」

~しばし流れる沈黙~

自分「……!七つの魔剣が支配するって作品見てます?」
相手「いや、知らないです。どんな作品なんですか」
自分「タイトルどおり剣と魔法のファンタジーで、舞台は学園なんですけど、バトルといい友情といい王道で熱いんですよ。作画も、CGをうまく合わせてたぶんけっこう良いと思います。そうそう、OPがまた良くって、とくに入りがかっこいいんですよね」

 これもう完全回答パーフェクトコミュニケーションだろ。Twitterアニメ部の先輩!自分、やりましたよね!?

 いや、本音のところは相手は百合好きで、BanG Dream! It's MyGO!!!!!こそがほんとうに必要だった答えだったのかもしれない。なんなら、そこはブシロストアなので大々的にフィーチャーされており、周囲のオタクたちからは隅の小さなスペースで垂れこんでいるラブライ部員たちを白い目で見てさえいたのかもしれない。でも、見てないアニメを口に出すことは許されなかった。ちなみに、秋葉原のアトレはこの作品とコラボ中で、それこそそこら中パネルやら何やらでいっぱいだった。未履修であるバンドリの続編だろうし、タイトルはなんだかオラオラしているしで、KVすら確認せずにスルーしていた7月の自分を恥じている。すみません先輩、まだまだここで鍛えさせてください。

 そんなこんなで、予期せず発生した会話はとても楽しかった。かつて大学では部(アニメ部ではない)の先輩後輩にアニメ趣味を公言しているひともおり、仲が悪いわけでもなかったものの、自分はせいぜい理解はあるが興味はさほどない人間を気取って話を聞くばかりだった。べつにその姿勢を否定するわけではないが、アニメについて対等に語り合う相手がいることがこんなにもうれしいものなのかと、このたびは感動したのだった。また、Twitterは最後まで迷ったまま聞かず終いだったが、これもどうすべきだったのか結論は出ていない。

 さて、ゲーマーズを出てもう少しぶらつく。

左撮影時どいてもらったギャルに「自販機好きなんですか」と聞かれるも、自販機の今期アニメがあるのだと答えられなかった。おれは弱い。

 暗くなり、ついでのようになってしまったが、初代ラブライブ!の聖地の写真も。過去の旅行にてただの一建物だったUDXが、こうして作品と出会ってからはまったく別物に見えるのだから興味深い。男坂は自分の高校時代の神社前の階段と比べると大したことないなとか、神田明神は本殿に向かって左側が妙に現代的、俗物的で戸惑うとか、やはり足を運ぶことで得られる体験というものがあった。わたしはほんとうにケチで賽銭などろくに出したことがないのだが、ここではラブライブのすべてにありがとうの気持ちでいくばくかの小銭を投げ入れた。

2023年にUDX神田明神をありがたがって撮る絶滅危惧種

 

原宿

 いよいようかうかしていられない時間になってきた。最後の目的地、原宿である。時刻は8時を回るというのに、湿度が上がってむしろ昼間より暑いくらいだ。それでも、東京に来てスパスタの舞台にノータッチとはいかない。JRで御茶ノ水から新宿へ。どこまでも人混みから逃れられない。くわえて、あろうことか武蔵野の森から帰ってきたLiella!民とかち合う。どうして こんな処にいる(画像略)。錯乱したわたしは、原宿とは逆方向の電車に乗ってしまう。

 なんとか原宿に着いたは着いたものの、余裕がないので竹下通りを歩くだけで終了。穏田神社くらいは回りたかったし、なんなら渋谷から「渋谷に来るのは久しぶりん」とツイートしたかった。不完全燃焼どころか、表面すら焦げていない心で、バスの出る新宿に引き返す。次はせめて原宿ゲーマーズの開いている20時までには来ようね。

ありがとう原宿。次はもっとまともな時間に来ます。

 

帰宅

 最後は残念だったが、それだけ日中にたくさん回ったということでもある。前夜の徘徊はあれはあれで楽しかったし、電車の乗り間違えも体力気力ともに限界だったことを示している。なんにせよ、一番大事な帰りのバスにちゃんと乗れて、家まで帰れて良かった。

2日間で7万歩超。

 コンディションは万全ではなかったとはいえ、普段から労働でほとんど立ちっぱなしの歩きっぱなしなので、もっと自分の足腰はやれると思っていたよね。1週間経っても左のかかとの痛みは消えなかった。エクストリームウォークって化物なんだな。

 

出費と総括

 最後に、今回の遠征費用をまとめておく。元々の高速バス代が7800円、これに取り直しの行きのバスからキャンセルでの一部払い戻しを差し引いた追加額が2897円。(大阪除く)現地での電車と都バス代が計2090円。ネカフェで2310+1130円。食費は持参物で190円、現地調達で508円。お賽銭50円?旅行バレした職場へのお土産に渋々の1080円。締めて18055円なり。

 ライブそのものはたとえば単日で11000円、パンフで3500円、ブレードも買うならさらに4500円となる。これに対し、長距離移動だけで8000円、1泊するならこれに宿代もかかるとなると、やはり地元開催に替わっての遠征費用はばかにならない。ただ、今回の感想としては、ついでの観光を含めた満足感は、出費に十二分に見合うものだったと思う。ツイートやブログに残す前提があったのも、これまでの街歩きと異なるところ。ありがとう、フォロワー。引きこもるのが楽しすぎるのが悪いのだが、それにしてももう少しお外に出ても良いのかも。

 また、行き当たりばったりも面白いが、下調べも少しはしておいた方が良い。これだけ自動販売機を撮っておきながら、期間限定で大森にいたらしい本元のハッコンに会いに行かなかった失態。どのみち時間はかつかつであったが、上野に寄ったのだからサイゲ展も事前に知っていれば行っていただろう。

 さてさて、だらだら書いていたら2週間以上経ってしまった。ライブも含めてとにかく楽しかったし疲れた。夏アニメの感想も手をつけなければならないし、おわり!

20弾感想

 本日のメンテナンス明けから、デュエプレで第21弾が発売される。3年ぶりに再開してから初めて経験する大幅なカードプールの更新であり、とても楽しみである。

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 とはいえ全公開されたカードリストを見ると、環境入りしそうなハイレアや新規テーマは少ないというのが率直な印象。NDでは相変わらず墓地ソが頭一つ抜けているんじゃないかと仮組みしたものの、新弾のカードがモールス以外抜けてしまった。ほぼ既存の墓地ソを握るのか、あるいは他を組むかはパックの引きによるところもあるので、メンテ明けを待ちたい。

構築守りすぎか?

 最近の遊びとしては主に、素引きして活躍させられないままのヨミ様を考えていた。結論としては、白黒のオラクルを単調に展開していく原点に回帰した。シンパシーありきでのカードパワーであり、それを生かせない構築は難しかった。

ラクル純度マシマシ。

 うれしい発見だったのが、小型のオラクルの性能は案外悪くないということ。ゴッドサポート付きの2000ラインを止められる2コスブロッカー、手打ちでも優秀な盤面に残る除去トリガーである王様キナコ、クリーチャー展開からちょうど手札が枯れるころに着地できる重さのリソース札かつ、ハンデス対策を1枚で担えるヴォスラディッシュ

 加えて、ビマナ、特にシータ基盤対面に欠かせないのが、3コストのフリルとミョウガ。呪文のコストアップ、および次に使いたい呪文を抜けるこの2体が強烈なメタ性能を持っていると気づいた。ヨミの着地がこのデッキの1つのマイルストーンであり、そのコスト軽減をしつつ、吸い込むやリュウセイホールによる除去をかわし、反対にテンポを奪うことができる。ミョウガは後攻でも間に合うカードであり、先行でフリルを連打すればそれだけで大きく有利が取れる。

 一方で、墓地ソには極めて不利、無理対面と言わざるを得ない。青赤ドロン・ゴー合わせて軽く10戦以上はしたが、1勝もできなかった。2コスブロッカーで刻みこそ抑止できるものの、それだけである。タダ同然で出てくるフィニッシャーのクロスファイアと5000GTが辛いのはもちろんだが、ロビーとキューブリックがインチキカードすぎる。とにかく並べないと話にならないデッキなので、バウンスでテンポを奪われ続けるのがあまりに厳しい。ビマナへのメタカードであったフリルとミョウガはこの対面では置物。かといって他に強いカードもない。

 序盤をしのいだとしても、豊富なルーターと墓地回収カードで手札0~1枚の状態からトップ解決を容易にしてくるため、4投のハンデス程度では対策になっていない。マドンナを積んだこともあったが、2体並べたところから7マナ貯められてキューブリックを素出しされたところでさじを投げた。GTとのにらみ合いまで持ち込めたところで、こちらが続けられる動きが8マナヨミくらいしかないのである。

 それ以外の対面について。リキピは墓地ソほど盤面干渉して来ず、リソース面ではジャバジャック依存が強くタッチがそれなりに刺さるため、不利の部類で収まっている。シューゲイザーや白緑アガサにもタッチが刺さる。フリルミョウガも有効で、ヨミ着地が安定、かつ盾も強くないので有利。青黒祝門はチャーマジュンにキナコ、ダークネスにヴォスラディッシュ、インザラブにコットンもしくはジャスティスと、それぞれ対抗札があるため微有利といったところか。祝門が埋まっている前提で盾を詰める余裕があるなら、ダークネスで相討ちされるヨミは寝かさないまま、小型オラクルで割り切り、あるいはインザラブを起動させて盾をゼロにし、次のターンでヨミ以外全タップのラシャでフィニッシュするプランを取れる。スパークやハンドと違い、ヴォスラディッシュで拾えるところがラシャの偉いところ。その他、総じて呪文を序中盤の繋ぎにしているデッキには強いが、そうでなければ素のデッキパワーが低く、環境外デッキ同士では押し負けがちという感覚。最高でプラチナ2-1までは行ったのだが、トップシェアの墓地ソにタコ負けする現状、デッキが完成しているとは言えない。

 他に試したカードの一例として、光臨系統はイマイチだった。そもそもミルクやカリーナによる4ターン目光臨は決まらない。リュウセイホールしかり、吸い込むしかり、キューブリックしかりである。2コスブーストもしくはアクロアイトからカリーナ+ラシャもしくはキリモミ・スラッシュが限られた3ターン目光臨の道だが、要求値の割に盤面の貧弱さが悲惨。踏み倒し先も不安定で、スタバックはメタカード止まり、ストロガノフは多色が重く、デカブルはカリーナで呼べない。そうなるとリリィやシラヌイ辺りだろうか。ビート色が強くなるため、ヨミとは合わないだろう。また、ドロマーで組む場合、色事故が避けられない。2コストオラクルの着地が安定しないため、展開のための光臨軸によってかえって展開が遅れるという本末転倒な事態に。光臨で可能性を感じたのは、ドリメに入ったリンリンくらい。

 シンパシー以外の踏み倒し手段であるゾロスターも、タップさせて自ターン終了という条件の不安定さ以上に、色が難しいという印象。持っていないので試せていないが、ヨミの前にアシッドを挟めばどうにかデッキにならないか。ビート対面にヨミだけをポン置きしてもね。

 以上、オラクル同好会はこんな感じ。ナーフ後補償措置が終了するということで、最後はメイ様お別れ会2をしていた。ナーフにより、1マナで縦置きする前提ならメイ様は添い寝相手が必要に。2コスドリメの候補である、仲間を破壊時マナに返せるペンペンに着目し、学校男と合わせることに。ドリメ以外の黒のリソース要員兼フィニッシャーとして、ブリティッシュを据えた。学校との相性も良い。NDのプールだとドリメは相手に干渉ないし妨害できるカードがより少なく、黒でそこが補えるようになったのがお気に入り。意外と回った。NDでも純ドリメで組んだ方が強いかもしれない。しかし、このデッキの真価は、不意に黒を置いて除去やハンデスを投げつけるところにある。

メイ様卒業につき閉校。

 このデッキも白黒オラクルと同じく基本的にはコントロールなのだが、やはりどこかでビートに転じないといけない(エクストラウィンは決まらない)。T・ブレイカーが不在のため、過剰1打点でワンショットするか、どこかで1点刻んでおくかは永遠にわからない。ビマナ対面のトリガーは割り切りで良いかと思っているが、墓地ソに刻むのが嫌すぎる。安全に勝つためのフィニッシャーを入れずに勝てるならその方が良いと思っているので、ビートデッキの練習をするべきなのだよな。

 というわけで、最後まで20弾環境を楽しんだ。冒頭のとおり、新環境は引き続き墓地ソースが規定するのではないかと予想している。それに速度負けしないビートダウン、あるいはそれらにトリガー1枚で返せる可能性のある祝門、天門、カツドン破を使えるデッキが対抗できるだろうか。ゴッド・ゲートは……。マントラロスターのイラストが好きすぎるので使ってみたい。オラクル軸よりシューゲーイザーで元気にやりそうな気もするが。

2023春アニメ感想

 Twitterはすっかり見なくなったのですが、アニメ感想ブログの方は続けていきたいと思います。今期も前期と同じく、歯抜けでの公開から随時更新していきます。皆さんの感想も楽しみにしています。書き終えたら巡回します。

<更新履歴>
2023/07/11 青オケ/ワンキル姉/江戸前/王様勇気/推しの子/とな銀/水星2/爆焔/天国/転生貴族/山田999/無職転生/虹ヶ咲/サンシャイン/サンシャイン2/サンシャイン劇 残り12
2023/08/30 残り全部!

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アイドルマスター シンデレラガールズ U149

 わたしにとってシンデレラガールズは、モバマスデレステ、およびこれまでのTVアニメを通じて情熱を注いだ作品であった。本作への期待は大きく、反面これまでのゲーム体験との違いをもどかしく思うことも多かった。

 大きなテーマとなっていたのが、第11話のタイトルにもなっている大人とは何か、子供とは何かという問いである。10年前に携帯電話向けのソーシャルゲームとして始まったモバマスを作ったひとたちは、そんなことを深く考えていたはずもないだろう。身も蓋もない話をすれば、フィクションの登場人物を一様に小さい女の子にするのは、小さい女の子が好きな客層にアプローチするために他ならない。それでいてなお、あえて150cmにも満たない少女たちがアイドルを始める理由を、目線の高さを合わせて語ろうとした作品だったと感じた。ひとつの結論として提示された、大人と子供の違いなどそうない、夢を見るのに早すぎるも遅すぎるもないという答えに、わたし自身勇気をもらったのも確かである。一方で、キャラクター造形や挿入歌には、良くも悪くも旧来のシンデレラガールズの年少組らしい過剰な幼さが振りまかれていて、やはりこのアニメがシンデレラガールズ由来でなければもっと楽しめただろうという思いは拭えない。

 作画はもちろんすばらしかった。不思議と萌えというより美しいイメージが強い。あごに入るターコイズの反射光がリッチで印象に残っている。

第8話「綺麗になるためにはくもの、なに?」

 失敗を恐れる千枝が一歩を踏み出せるようになるまでの、じつに美しい話だった。鬱展開で物議を醸した先代TVアニメの反省からか?先輩アイドルたちは皆頼りがいのある存在として描かれていたが、今回のゲストのつかさはまた一段とイイ先輩だった。優秀でビッグマウスでおっちょこちょいという設定がうまくはまっていたのもある。プロデューサーも含め、直接激励をするのではなく、緊張や不安が意図せず手をとおして共有されたことで、千枝本人から奮い立つ、じつに本作らしい一幕である。天真爛漫に手を引くみりあや小春たちはもちろん、目線を下げて話す(ようになった)プロデューサーやつかさに、千枝が大人であるか子供であるかなどといった雑念はない。「Sing the Prologue♪」良いよね。

 

青のオーケストラ

 第14話時点。全24話らしいのにOPED変わらんのかい。さて、事前の予想どおり秋音律子氏が萌え萌えで素晴らしかった。物語のヒロインとしては、ここのところ記憶にないほど好きかもしれない。彼女のバイオリンになりたい。うつむいてばかりだった青野くんの成長につれて影が薄れてきているように思うが、2クール目での見せ場に期待。

第5話「原田蒼」

 青野佐伯デュオ、秋音ソロ(横にも新入生がいたが)、上級生の合奏、三者三様の演奏でとても聴きごたえがあった。音楽ものの漫画に音がつくのはアニメ化の醍醐味。

 まずはデュオ。主要人物の演奏はすべて特定のプロが1人ずつ担当しているらしいが、プロでもこんなふうに故意にずらした演奏ができるものなのか。映像面でも、バラバラな弦の動きひとつで呼吸が合っていないことが見てとれるのが弦楽の面白いところだと感じた。青野と佐伯のそれぞれに見せ場があり、音のケンカをしながらもお互いが楽しそう。今後のライバル関係を示唆しているようで良いね。

 次に秋音ソロ。天才ふたりの演奏で皆が委縮する中、経歴半年の身にして力強く挙手して前に立つ、彼女のそういうところがほんとうに好き。ノンビブラートで一音一音確認するような音色に、また不思議と感動する。わたしも去年の末にピアノを始めたのだが、練習という性質上、自分のできないところ、拙い部分と向き合う必要がある。しかし、自信満々に大きな音で堂々と演奏し、達成感と満足感を顔いっぱいに浮かべる彼女を見ると、もっと演奏そのものを楽しんだり、自分の音を好きになって良いのだと安心するのだ。

 最後に、原田軍団の弦楽合奏。音についてはうまいのでうまいなあという感想だが、アニメーションが良かった。3DCGによる機械的な違和感を全体に残しながらも、部長だけ表情やモーションが作りこまれていて、これがあふれ出るカリスマ性のように感じられたのだよね。否定的な意見も見る本作の演奏シーンだけど、個人的には演奏外の手描きの方をもうちょっとがんばってほしいと思ってしまう。

 

アリス・ギア・アイギス Expansion

 原作ソシャゲは名前を知っているだけの状態で視聴を始めたが、とんだトンチキアニメだった。相河愛花と一条綾香の仲良しコンビの萌え力だけで天下を取れるポテンシャルがありながら、あえて狂気のオリジナルキャラを主人公に立てて奇行に走る心意気、嫌いじゃない。

 第11話、第12話を中心に、シリアスな場面では特徴的なブルーやブラウンの輪郭線がモノクロに置き換わっており、これだけでずいぶんと印象が変わるものだと興味深かった。

今期アイコン(右)はアリス・ギア・アイギス Expansion アイコンだった!?

第6話「下落合桃歌殺人事件~シタラ編~/下落合桃歌殺人事件~夜露編~」

 無難に水着回や終盤のシリアス回でも良かったが、やはりこの作品であれば人類には早すぎた寸劇回のどれかから選びたかった。探偵ものながら格好と舞台だけでろくに推理しないの自由すぎる。村のおばあちゃんにわらべうたを聴きに行く流れ、古畑任三郎藤原竜也回で見たやつだ!からのジャイアン歌唱とムンクの叫びで笑いが止まらなかった。唐突なキャラ演歌EDによる通常の浄化EDキャンセルまで、とかくハイカロリーな回だった。

 

異世界ワンターンキル姉さん ~姉同伴の異世界生活はじめました~

 天国大魔境、地獄楽というなぜかあの土ヨルの頭に集まってしまった今期屈指の質アニメリレーに挟まる異世界転生アニメ。そんな難しい枠ながら、要所でキレのある作画、劇伴からドット絵に至るまでのドラクエオマージュ(ドラクエやったことない)、異質なダンスEDで強い存在感を放っていた。姉一強モノというのも珍しいと思っていたところ、後半テコ入れのごとくヒロインが増えてありふれたハーレムモノみたくなってしまったのは少し寂しい。まあ萌えはナンボあっても良いのだが。

 姉とは異なり弱キャラとして転生してしまった主人公が、少しずつ(ほんとうに少しずつ)強くなっている描写も丁寧で良かった。人生を変えるような作品ではないかもしれないが、日常、冒険、萌え、オモシロ、この辺のバランスがうまく取れていて、今期のアニメ視聴生活を支えてくれる心強い作品だった。

第5話「軍場姉弟のダンジョン探索大作戦」

 ヒロインとしてはストライクゾーンにかすりもしていなかったはずのキルマリアに萌えてしまった回。村娘の姿として変わった見た目もさほどかわいいとは思わないのだが、口調や声色の変化だったり、それでもなお隠せぬキルマリア色だったりに心奪われるのだろうか。萌えは一日にして成らず。

 

江戸前エルフ

 ノーマークだったがとても良かった。異世界より召喚されし御神体たるエルフがいる世界が、いまでは自分の中で当たり前のものとなっている。小清水亜美さんという意外すぎる人選がこんなにはまっているとは。昔話やオタク話でいくらでも話を広げられるのがおいしい。小柚子ちゃんが萌えの権化だったことに議論の余地はないが、真に驚くべきはその萌え力を圧倒的に高めていた汗漫符の存在である。この秘術が広く公開されたことにより、今後のアニメにおける萌えインフレが予見される。

第6話「Stand by Me」

 Aパートのテスト勉強回も良かったが、やはりBパート、東京スカイツリーでの神事に目を見張った。歴代の巫女の死を見送ってきたエルダの物憂げな瞳を、月明かりが青く照らす。繋いだ小糸の手を握ったまま、神域の規制線を力強くくぐるシーンには込み上げるものがあった。不死の山に小糸を連れていくことはできない。それでも、限られた時間を、これからもふたりは互いの幸せを祈りながら過ごしていくのだろう。

 

王様ランキング 勇気の宝箱

 わくわくする果ての見えない世界観、温かみがありながら躍動感にあふれる作画は健在。TLではあまり見ているひとがいない印象だが、第1期と合わせておすすめの作品。オムニバス形式で、1期のストーリーの裏側、キャラクターの深掘りをする内容だった。どの人物もほんとうにいとおしいんだよな。

第4話「不死と三兄弟」

 デスハー様もデスパーさんも見るたびにどんどん好きになっていく。一方で、不気味でおぞましい印象の強すぎたオーケンの生い立ちが、この話で明らかにされていく。エピソードの重々しさを補強して余りある凄みのある作画と音声。一歩、また一歩と闇に堕ちていくオーケンの姿に呼吸を忘れそうになる。亡霊と化す絵画、屍の山の上で兄と対峙するオーケンのカットが出色。

 

【推しの子】

 かわいい女の子がいっぱい出てきて良かった。アイ系列の写輪眼が目を引くが、そうでなくても瞳や髪の毛の描きこみはすさまじく、ワンショットが語る情報量は圧巻。EDが好きで、とりわけイントロが良い。ポップな話数タイトルとともに流れ始めて、来週も楽しみだという気分にさせてくれる。それでいて作品の闇の部分を強く印象付けてくれる不思議な曲だった。

 異例の90分という第1話には賛否どちらの感想も目にしたが、個人的にはあのバックボーンありきの作品だと感じるので英断だったと思っている。アクアがヒロインズにデレデレせず、復讐というダークな目標のための駒として打算的に利用する構図が、彼女たちをより魅力的にしているのだから。そもそも全話面白い圧倒的クオリティの前に、初回が長いなんて些細なことなのだとわからされた。

第8話「初めて」

 強さランキングで下位に沈んでいたかに思われた黒川あかねが、まさかのセンス・・・
持ち(CV. 石見舞菜香)で逆転してきた。その写輪眼出したり引っ込めたりできるんだ。

 そして「初めて」のキャッチボールデートへ。正直有馬かなは優遇されすぎで好きだと公言しづらいが、もう高鳴る萌えを抑えきれない。恋する乙女より強いものはない。アクアに翻弄される情緒が画面いっぱいにあふれている。有馬黒川間に子役時代からの因縁があったことを知ってから見返して、なおのこと見悶えた。

 

おとなりに銀河

 録画明けの日曜朝にゆっくり見るのにこれ以上ない作品だった。最終話での畳み方もじつに満足。しっとりOPの音数が増えていくの好き。EDのキラキラした絵も好き。

 素直にプラトニックな恋愛ものとして受け取ってもとても面白いけれども、姫の契約、漫画というアクセントによって下賤な妄想が捗って仕方なかった。五色しおりにえっちな漫画いっぱい読ませたすぎる。

第3話「姫と爆発」

 感情の共有にしろ実験にしろ、いちいちえっちすぎる。パートナーが久我くんでなければ、同居する兄弟がいなければ、単身本土に来た五色しおりがどんなめちゃくちゃな目に遭っていたかわからないということばかり考えてしまう。

 

神無き世界のカミサマ活動

 骨太で真新しいストーリーで続きを楽しみにしながら見ていた。初めは演出が過剰で肌に合わないと感じることもあったが、唐突なドット絵、露骨な3DCGモンスター、ほとんど雑コラの実写など、意欲的な画作りは飽きさせることがなかった。2期が来てくれるとうれしいね。

第5話「カケマクモカシコキ ミタマノオホミカミ ヨロズノモノ ツクリタマヒキハ ロクコンショウジョウニシテ アメツチノヨロズモノトドウタイナルガユヱニ カカルトヨアシハラミズホノクニニスマワセタマヘト マヲスコトノヨシヲ オホツチノ ミタマノミコト キコシメセトカシコミカシコミマヲス」

 タイトルが長すぎる。この世界の謎が明かされ、物語が大きく進展する回。後半はすっかりおなじみとなったが、OPの入りが特異。アバン→CM→(本編被せの)OPするアニメ、初めて見た。ネット配信だとあまり違和感ないのかな。効果的かどうかはともかく、こういったチャレンジ精神が本作の魅力のひとつだね。

 ロキは随一の良キャラで、CV. 緒方恵美が一介の村人で終わるはずがない。ミステリアスな面が暴かれてなお魅力が増すというのは、お話がうまい証である。幻影を駆使した戦闘スタイルもとてもかっこよかった。神に似せて造られているとのことだが、作中人物の中ではよほど共感を呼びやすく描かれているように感じた。

 そして満を持しての実写コンバインの登場。合成して貼り付けただけみたいなロイの顔面とか、紙芝居的に横切る真顔のクレンとか、画面すべてが面白い。間違いなく今期一笑ったシーン。最終話のOPEDでも顔を出してくれて感謝しかない。

 

機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2

 積極的な視聴継続理由が見つからないまま、救いのない展開が続いて疲れた。わかりやすいヒールがいない分、だれかの肩を持つ、あるいはヘイトを寄せることができないために余計に再生ボタンが重かった。

第20話「望みの果て」

 御三家の子息たちにはいつまでも学園の中だけでドンパチやっていてほしかった。テロが明けて、アーシアンチームが自分たちの存命に安堵している中、救命に腐心するスレッタの背中が大きい。

 

この素晴らしい世界に爆焔を!

 本編のアニメはもっと面白かった気がするというのが率直な感想。特に学生時代が顕著で、「頭のおかしい紅魔族」のボケが延々と続くのが厳しかった。本編の3期が決まっているみたいなので、この作品の何が好きだったのか、自分の感性が変わったのか、確かめたい。

第6話「爆裂ニートの就職活動(レゾンデートル)」

 1つ、好きだった点を思い出した回。冒険者となって服装を一新したゆんゆんの胸元。

 

THE MARGINAL SERVICE

 キャラクターこそイロモノぞろいだったものの、案外ストーリーは堅実で毎週ストレスなく楽しめた。一話一話伏線からオチまできれいにまとまっていて、無駄なシーンがない。それでいて華やかさやコミカルさも忘れないと、予告の奇抜さからは意外なほどの今期の優等生だった。

第1話「革ジャンは滑りやすい」

 作品を象徴するお手本のような初回だったと思う。導入としてのバディの喪失と新たなバディの予感。身体を張ったアクションと爆炎を伴う派手な演出。「返してほしけりゃ死ぬなよ」と冗談をこき、結局借りたままになってしまったカネを墓前に供えるのも小粋。ラストのクソダサユニフォームでのうるさいキャラクター紹介も、前半にアジトで小物としてスルーされたペック・デズモントの存在がその意味を強めていた。

 

地獄楽

 謎と奇怪に満ちた舞台設定が非常に魅力的だった。各罪人や山田浅ェ門の魅力もさることながら、天仙様のデザインは他に類を見ない秀逸なものだった。同じMAPPA制作で記憶に新しいチェンソーマンでのグロ描写はきつかったのだが、虫や植物は平気らしい。雌雄同体の美形から異形の怪物までを往来するさまにはとてもわくわくした。公式HPの「円盤」表記好き。OPもダークでかっこいい。2期が楽しみ。

第11話「弱イと強イ」

 いかにもジャンプっぽい禅問答的戦闘術解説がうれしい。少年ならだれしも、不可視の生命エネルギー的何かを自在に操って最強になることを夢見ますからね。萌えを中心で支えていたメイ様が、ここにきて道士にまさかの堂々とセクハラされるのもすばらしい。これまで全体に説教くささをクドく感じていたものの、罪人設定とのギャップ、異なる倫理観で動く敵方との対比という面から軽んじることもできないのだろう。それがここでは画眉丸がメイ様を助ける行動原理、覚醒の契機となっていて熱い。

 

スキップとローファー

 OPは転生貴族と並んで大好きだった。美津未と志摩くんのステップは力が抜けていて、どこかコミカルでもあり、見ていて楽しい気分になる。なんというか、リアルな動きだけどちゃんとアニメなんだよね。ED曲もよい。この1年余りの間に、ラブライブキャストを見つけるとそれだけでうれしい体になってしまった。

 高校生活1年目、くすぐったくなるような若さあふれるエピソードの数々。コミックのコマーシャルのコピーのとおり、見ていて元気になる。半面、キャラクターはいささかわかりやすすぎるというか、ロールがはっきりしすぎているようにも感じた。とはいえだれもかれも個性的で魅力的なのは間違いない。

第3話「フワフワ バチバチ

 仲良くなる前の距離を測っている感じ、大好物。人間はギスギスしてなんぼですからね。そこに宇宙人であるところの美津未の言動が笑いを誘う(ただしイメージで宇宙人だったのは志摩くんの方)。このころはまだまだ猫被りの江頭ミカもとてもかわいいね。成長を見守っていたくなる、けれども簡単には幸せになってほしくない愛くるしさがある。

 

デッドマウント・デスプレイ

 秋に第2クールがあるらしく、風呂敷が広げられたまま消化不良で終わった感は否めない(とくに考察しない自分の視聴スタイルが合っていないのもある)。そろいもそろって現実味のないキャラクターばかりで、現実世界(現代)に転生した異能を使う主人公設定のうまみが薄れているのも気になった。きわめて自然な3DCGも含め作画は整っているが、入れこむキャラも見つからず、秋は一応録画しておくくらいの位置になりそう。

第5話「The Monster-怪物-」

 レミングスはタイトルに違わぬバケモノぶり。ただ、べらぼうに強い以外の印象がほとんどないせいで、好感があるかというとあんまり。屍神殿が長命ゆえに付き合いの長さは重要でない、助けたいときに助けるものだという師匠の示唆は、これまでの仙者のイメージとは真逆で新鮮な解釈だった。

 

天国大魔境

 主人公組含め文明の失われた世界でたくましく生きる人々の描写に胸を打たれる佳作だった。線の主張が控えめで、ときには西洋絵画のように塗りでほとんど見えない。アクションシーンに宿る躍動感、SFパートの感覚を乗っ取られるようなリアリティ、裸体の女は萌ええっちピクチャーというよりエロティシズムの芸術。雰囲気のある良い画だった。ストーリーは完結までほど遠い感じなので、2期早く来てくれ。

第8話「それぞれの選択」

 迷いなく今期ベストエピソードに挙げたい。命の終わりを巡るとかく繊細な描写にことばが出ない。初めは機械に繋がれた少女を見るに堪えずカーテンを閉めていたマルたちが、目線を下げてコミュニケーションを取っていくさまが良い。職業柄、死を間近にした人間と多くふれあっているが、現代の医療と他人の扶けがあれば、人間とはほんとうになかなか死なないものだと日々感じている。誤解を恐れずに書けば、ときに終末期の人間とはなぜ生きているか不思議なほどグロテスクで、だがしかし、それでも彼らは生きているのだと半ば仕方なく認めることになる。この生死の線引きが麻痺していく感覚が、映像によく表れている。ベッドを踏む土足は粗暴だが、チューブや機器を受け渡しする手はまさに赤子に触れるときのそれである。

 外の景色を知っている少女が、最後に青空を望むというのが、天国の子どもたちと対比的でまた良いね。左目からのみタブレットにこぼれ落ちる宇佐美の涙も、ベタながらやはり良い。団体の略奪行動の騒がしさとは別の時間が、ここでは流れている。

 宇佐美の心中シーンも格別だった。夕暮れ、ビルの屋上、白髪痩身眼帯スーツの男が、少女の亡骸を抱え拳銃を手にしている、この絵面だけでなんと美しいことか。ここに1羽のカラスを入れたの天才。結末はわかりきっているのに目が離せない。息遣い、カラスと手すり、拳銃の撃鉄、すべての音が生々しく頭にこびりつく。それからリアレンジされたED。良いものを見せてもらった。

 

転生貴族の異世界冒険録 ~自重を知らない神々の使徒

 PV時点で良さそうだとは思っていたけど、期待を大きく超える作品だった。第1話の圧倒的スピード、異世界転生アニメというフォーマットが広く共通認識となったいま求められるものだと思う。そして今期も激戦のOPの数々の中で輝きを放つ至高の映像。テレスとシルクに引っ張られて左からフレームインするカインとともにタイトルロゴが顕現する。これだけで「よっしゃー!転生貴族見るぞー!」って気持ちにさせてくれるのだ。

 女の子が何人出てこようとわたしは終始シルク嬢一本で行かせていただいていたが、声色といい髪型といい少なからず南ことりちゃんの姿を重ねていたことをここに懺悔しておく。

第9話「修行」

 至高のOP映像とは書いたが、1つだけ懸念点があって、青年に成長したカインが一部映っていたのだよね。それは同時にシルクが成人となることも示唆していて、願わくばずっとあの少女の姿のままでいてほしかった。とかくスピード感あふれる作品で、作中年月も数年単位であっさり経過していくものだから、それはもう不安で。いや、けっしてわたしはロリコンではありませんが。

 ところが唐突にも精神と時の部屋システムの別世界が乱入し、カインだけが先に歳を取ると知り一安心。いや、やっぱりそれはそれで問題ではないかと考え直したところで、あっさり初代様が身体年齢だけ戻しちゃってひっくり返った。この作品のご都合主義はエンターテインメントなので何も問題ない、むしろありがとう。

 このようにわたしは最初にOPを見たときからずっと不安だったものだから、またこれまでどおりカインが屋敷に戻ったときは心底ほっとして涙した。ヒロインふたりの成長途上のクッキーと、それを嗚咽してほおばる主人公とにも、それぞれで経過した月日がよく表れている。テレス、シルクと一緒に特大の「おかえり」のことばを掛けたよ。

 

僕の心のヤバイやつ

 えっちな妄想のレベルが男子中学生で止まっているので、なかなかクるシーンが多かった。羊宮妃那さんの声がよい。主人公に好感を抱かない(ただし嫌悪感もない)、ヒロインが惚れる経緯の描写が弱い、ヒロインの属性(とくに精神面)が嗜好から外れている、キャラデザが好みでないと、学園ラブコメとしては大きく不利を取っていたにもかかわらず完走できたのは、あらためて性的描写が身の丈に合っていた部分が大きいのだと思う。

第7話「僕らは入れ替わってる」

 人間の記憶というのは、可変である人間そのものに対してよりも、不変である(ように認知する)物や場所に強く結びつくものであると思う。成長して上書きされてゆく同級生との関係に対して、あのとき胸越しに揺れた体操服の影や、取り違えたジャージに残る温もりは、たしかな記憶として脳裏に焼き付くことだろう。それはさておき、羊宮妃那さんの「マジキモい」連呼ありがとうございます。

 

ポケットモンスター (2023)

 第12話時点。我らがサトシさんの主人公交代後の第1作目となる。CV. 大谷育江さんは続投のまま異なる個体のピカチュウがレギュラーを張っているが、看板ポケはそのままに性格のみならず技構成や戦闘スタイルまで一新できるのはおいしい。令和にかげぶんしんで戦うピカチュウがまた見られて感無量ですよ。

 いまのところダブル主人公というよりメインがリコという構図に見える。しばらくはリコの思考を逐一モノローグで流すのがくどかったが、子ども向けということもあるのかな。リコの成長につれて控えめになってきたのは助かっている。

 ゲームはBWを最後にプレイしていないので、パルデアのポケモンは知らないやつばかりだが、それはそれで楽しい。ポケモンといえばゲームとアニメの25年以上の歴史を継承したオーケストラによる劇伴であり、これも知らない地方の曲も含め楽しんでいる。

第9話「パルデア到着!」

 教育的示唆に富む健全な夕方アニメに感じる良さというのは、おとなになってもあるよね。実家より現住居に「ただいま」とこぼすくだり、いまではよくわかる。「言いたいことは言わなければ思っていないのと同じ」という教えが、長老ポジのランドウから直接リコではなくドットを経由して伝わることで、両者ともの成長や親睦につながっているのが美しい。親の方は子に対してあっさりしすぎだが、まあこれもニャオハによろしく伝えるポケモン世界ならではということで。

 

山田くんとLv999の恋をする

 ポップな画作りがとにかく好きな作品だった。自転する花柄だったり、降下するドットだったり、キャラクターの掛け合いをより軽妙に演出していた。ヒロイン含め登場する女性陣は癖が強く、ステレオタイプな女性像の面倒臭い属性を煮詰めたようで、必ずしも魅力的ばかりとはいえない。「失恋を引きずって酒に酔い、ほとんど面識のない高校生に絡む大学生」と書き起こせば、近寄りがたく思うだろう。こうした人間臭さを肯定的に受け取れるのは、ひとえに秀逸なアニメーションのパワーだった。

第7話「安心したいですか?」

 今期のベスト口の形エピソード。同時に頭の形アニメでもある。何度見ても笑えるし、斬新で感心する。

 

勇者が死んだ!

 下品寄りのコメディーアニメとして毎週楽しく見られた。すけべアニメとしては控えた表現だったかな。庶民が突如勇者として生きることを強いられるとだけ書くといかにもありがちな物語だが、旅を続けても一貫して下賤なままなのがよい。戦闘スタイルも独特で、罠と形状変化する聖剣を軸にし、ときに対立関係を越えた共闘も辞さないなど、与えられた手札で泥臭く生存するやり口は見応えがあった。EDのイントロで次話の映像を流す作品は初めて見たね。

第3話「勇者が白骨化!」

 白骨化した勇者という絵面だけで面白い。聖剣に顔を描いて仮面にしたの、たぶんこの作品が初でしょ。そしてマルグリットが登場。持病の魔漏症を補うための過食で一時的に肥満になるというのはまあギャグ表現なのだが、そんなコンプレックスをフェティッシュによって美点に変換してしまうトウカ・スコットくんはたしかに勇者かもしれない。骨フェチの院長も指折りの変態敵キャラだった。

 

ワールドダイスター

 これもOPがよい。長谷川育美さんの伸びのある硬派な歌声すばらしい。その意味で静香が予想に反してほとんど表舞台に立たなかったのは残念。

 オリジナルアニメとしてアニメというメディアをフルに生かす、美少女による演劇がテーマの作品。圧倒的なのがその演劇のアニメーション。2Dアクターなるクレジットがあるが、プロの舞台役者に実際に演じてもらい、それを一枚一枚模写でもするのだろうか。指先から足先まで、リアルな舞台がそこにはあった。引きのショットのほんのちょっとした動き一つにもかなりの枚数を割いていて、とにかく本物を再現するんだという気概を感じた。

第3話「初めての舞台」

 Aパートの静香とここなのイマジナリー歌劇は、これぞ放送前に想像していた舞台であって、これはこれでとても良かった。ここなから離れ月に帰る静香は今後の展開を予期させるものかと思ったが、杞憂だったようだね。タカヒロ先生、自分もっと鬱展開いけます。

 カトリナ・グリーベルはこのころのナイフのような態度の方が好き。サービスシーンと挫折のセットまで付いて、まさしく完璧である。

 演劇を忠実に再現する一方で、オタクのために(?)「センス」を導入したのは英断だったと思う。目が光る、消光するで「キターーーーー」ってなるので。わたしも柊さんポジションで腕組みして見ていた。

 

私の百合はお仕事です!

 フィクションにフィクションを重ねたようなめちゃくちゃな設定で、終始ツッコみながら見ていた。とりあえずこんな精神崩壊まっしぐらのバイトなんて辞めな。

 そんなバイトを続けているメインキャラクターたちは当然浮世離れしており、感情移入するのも難しく、身も蓋もなく言えば人形遊び的に女女の痴情を摂取させてもらった。百合を描くにしてもとかく尖った設定の作品に素人目には見えるのだが、サロン人格と通常とで絡みに幅を持たせられておいしいということだろうか。

第7話「ギャルといいますのね?」

 果乃子たちの恋路は正直どうでもよいのだが、指に寝ている陽芽と自分の髪を絡めるシーンで絶叫。今期アニメ中最も目に焼き付いたシーンである。

 

無職転生異世界行ったら本気だす~(2021冬)(2021秋)

 ここからは旧作。BS11の再放送にて初視聴。第2期の放送に合わせて第1期を再放送してくれるの、いつもほんとうにありがとう。うわさには聞いていたが、いっさいの妥協がないすさまじい作品だった。わたしはあらゆる漫画やノベルをアニメ化して初めて知る人間なのだが、どうやらこの原作は、異世界転生ものやいわゆるなろうのさきがけとなった作品らしい。アニメ化が遅いのは不思議だが、なるほど転生した主人公がメタネタまで盛り込んでくる最近の異世界アニメと比べると、転生前の情報が頻繁に出てきたり、転生後の乳幼児期に尺を割いているのは元祖っぽい。セクハラが過ぎるのは、内山夕実ボイスじゃなかったら耐えられなかったかもしれない。ロキシーに対するクソガキ王子はほんとうに不快だった。

 アニメーションはもちろん、ストーリーもとても魅力的だった。舞台の移行はルーデウスの意向とは無関係に進み、多くのそれは理不尽に富んでいて、見た目こそ華やかな異世界も現実と変わらない、あるいはそれ以上の厳しさを突きつけていた。異世界が主人公のための都合の良い逃避先になっていないことに、誠実さを覚える。

 ヒロインズ含め印象に残るキャラクターが多い。エリスをこんなにいとおしく思うなんて、初見時は想像だにしなかった。2クール分まとめてしまったのだが、第1クールなら、第7話「努力の先にあるもの」を挙げたい。

第16話「親子げんか」

 ルーデウスの方に大いに共感しながら見てしまった。これは作品にうまく乗せられていたとも言えるが、魔大陸に飛ばされてからの日々はほんとうに大変で、視聴者たるわたしも、よもや故郷の人々が苦しんでいたことなんてまったく考えるいとまもなかった。

 1年ぶりに再会した父親の姿は変わり果てていて、みすぼらしい。魔法無しでもあんなに強かった父、それが魔眼によって息子との力関係が逆転してしまった。娘に「いじめないで」と庇護される父の、なんと哀れなことか。苛酷な道中をあえて気丈におどけて語ったときも、対等な親子のけんかのつもりで全力で拳を振ったときも、ルーデウスはちょっと気づくのが遅いだけなのだよね。それがどうしようもない不和を生み、後悔にさいなまれる様子はやるせない。強さとは何か、力とは何か、人物それぞれの眼差しから考えさせられる。

 

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(2020秋)

 公式YouTubeチャンネルの一挙放送にて初視聴。スパスタからラブライ部に入ったので、まだ第2期とにじよんしか見ていなかった。

 9人のソロアイドルがいるため当然と言えば当然なのだが、毎回のようにライブが描かれていてすごい。普段着に多くのバリエーションがあるのもうらやましい。キャラクターコンテンツとして大事に制作されていると感じる。

 結局同好会でありながらグループ化はしないというスタンスが、なあなあで済まされていたように感じたのは引っかかっている。ギスギスをもっとください。

第6話「笑顔のカタチ(〃>▽<〃)」

 天王寺璃奈にとってコンプレックスを乗り越える手段としてスクールアイドル活動がはまったことに、この作品の意義を感じた。覆面アーティスト自体は珍しくないが、彼女にとっての覆面はむしろ表情を出すためのものというのが斬新。ひとはそう簡単に変われないと挫折し、そのうえで顔を書き換えることでステージに立った彼女に強かさを覚えた。うつむいて舞台に反射した自分の新しい顔を見て、笑顔になれたのはとても素晴らしいこと。スクールアイドル恒例の円陣でなく、舞台袖で「がんばれ」と見守る同好会のメンバーが優しい。

 

ラブライブ!サンシャイン!!(2016夏)

 BS日テレの再放送にて初視聴。夏の「幻日のヨハネ」の番宣ね。去年の冬にスパスタと出会ってから、最後に残ったラブライブ!TVシリーズを履修することになった。初代やスパスタと比べると、個別のエピソードや会話劇に熱くなるものが少なく、かといってギャグの方も滑っていて退屈に感じる時間が長かった。

 一方で、楽曲はピカイチ、OPED挿入歌、キャッチーでゴージャスで、どの曲も一度聴いただけで印象に残る。極端な話、アイドルアニメは曲が良ければそれだけで最高なんだよね。ライブシーンの振付や3DCGも初代からずいぶんと洗練された印象で、アニメの進歩はすごいなと思っていた。

第11話「友情ヨーソロー」

 ノりきれない話が続く中で、この回はぶっちぎりに良かった。梨子から千歌にかかってきた電話をパスされておどおどする1年ズ、最高じゃなかった?仲良しでやらせてもらっているグループ内に不意に現れる、生々しいメンバー間の不和や距離感に非常に興奮した。曜が人気だと聞いて途中までは意外だったのだが、この話で得心がいった。嫉妬ファイヤーに身を包む幼なじみはオタクの大好物だからね。

 挿入歌「想いよひとつになれ」もまた最高のステージだった。エピソード、歌詞、振付がリンクして感動を増すのは、やはり物語たるアニメの醍醐味。

 

ラブライブ!サンシャイン!! (第2期)(2017秋)

 1期に引き続いて初視聴。1期とは何だったのかというくらい2期はどの回も面白かった。キャラクターに思い入れが積み重ねられたことも大きい。ルビィちゃんの成長を見ると胸が熱くなるし、いつもマイペースな花丸ちゃんに安心する。最終話のラストシーンは感動的だったね。

 OPEDの曲自体は微差で1期の方が好きだが、映像は2期でより良くなった。ハートの花丸からの上下がガッチャンコするカットが実にキマっている。EDのバスでのわちゃわちゃも良い。

第10話「シャイニーを探して」

 セリフが味わい深い。同級生の運転する車の助手席に初めて座ったときの感慨、しみじみするね(わたしは経験したことがないが)。人生経験は貧しくとも、大切なことは全部アニメが教えてくれる。そして唐突に飛ぶクルマ!?笑っちゃうのだけど劇伴の「起こそうキセキを!」が名曲すぎて謎に感動してしまう。

 「この雨だって、全部流れ落ちたら、必ず星が見えるよ。だから晴れるまで、もっと、もっと遊ぼう」ですってよ。青春だねえ。

 

劇場版 ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow(2019冬)

 ABEMAの期間限定無料配信にてTVシリーズに続いて初視聴。挿入歌盛りだくさん、これが劇場版ラブライブ!かと圧倒させる大盤振舞いで素晴らしかった。展開的にそこは卒業生は歌っちゃだめだろとツッコミを入れること多々だったが、これもメディアミックスアニメの性か。

 元となった劇伴からそうだが、「キセキヒカル」があまりに名曲。スクフェスでもこれがおすすめで選曲されると神妙な心持ちになる。もしリアルタイムで見ていたらきっとライブに行くようになっていただろうね。

 

総括

 自分の中で当たり外れの差が大きい学園青春ものがとくに充実のクールだった印象です。旧作の履修は本数こそ少ないものの、これでラブライブ!シリーズをTVアニメについては一通り見られたので、今後より関連作品を楽しめることでしょう。

 前期の反省を生かすことなく、今回の感想記事も先延ばししてしまい、気づけば夏アニメも終盤に差し掛かろうとしています。主にスマホ向けゲームにかまけていた影響で、視聴本数が減っていたり、夏アイコンが手付かずだったりと、そもそもアニメ部としての活動が滞り気味です。それでも見た作品については全部書ききったのはえらいということで、ようやくすっきりした気持ちで2023夏アニメを楽しみたいと思います。

デュエプレが楽しい

 1ヶ月ほど前から、デュエル・マスターズ プレイスというデュエル・マスターズを元にしたDCGを再び遊んでいる。再びというのは、3年半前のリリース時に半年ほどプレーしていて、それ以来ということである。ブリザードしょうもなという体験と、研究やら就活やらで真面目に身を固めないとなという自分に対する焦燥が重なったころだったと思う(それがいまではこんな浮浪者になってしまってすまない)。

 復帰(といってもアカウントは新規だが)のきっかけは、フォロワー経由で公式のツイートを見たこと。聖霊王は20代後半になって目にしてもかっこいいもので、カノンなる娘はなかなかの萌えであり、まあログボでちょっとパックを剥くだけだとアプリをダウンロードした。

 しかしこれが久しぶりにやると楽しいんですね。サムライ、ナイト辺りから少年時代の記憶はなくなり、いまのプールは初めて見聞きするカードばかりで思い出も何もないのだが、それがむしろ好奇心を刺激するのかもしれない。春アニメの消化はドンドン滞り、余暇は新しいデッキのことばかりを考えてしまっている。

 クイックピックやSPルールマッチといった、昔はなかったランクマッチとは別の遊び場、勝負の場があるのも良い。資産不要な分、初期垢のいまは余計に無限に遊べてしまう。

 ランクマは相変わらずつらいが、自分のカードとデッキをプレーする場なのでやるほかない。復帰後初戦となるカイザー刃鬼カップはプラチナ止まりで時間切れとなった。

 志としては、Tier 3 くらいのデッキを握って勝率5割を超える、環境デッキを環境外から殴りに行くつもりでいる(逆張ラーなので)。実際のところ、勝率5割の方は案外なんとかなるのだが、これでマスターまで登ろうとすると心が持たない。負けるのが嫌な人間は一生NPCと対戦しているべきなんだよな。連勝ボーナスの関係で理論上可能とはいえ、100戦以上もやってプラチナ登っているひとはすごいよ。

 明日のアプデでの新たなナーフとスーパーデッキで環境が変わるのを嫌い、とりあえずNDだけでもとドロマー祝門で急いで登りきった。13連勝はさすがに上振れが過ぎたにしても(その後あと1勝のところで最大5つ負け越した)、やはり環境デッキ最高、環境デッキしか勝たん。

ウルソフィアとかいうカードが好きすぎる。

 メイ様お別れ会ということで、最後に使っていた自称 Tier 3 デッキも供養しておく。デザイナーズ感満載な18弾のガチンコ組だけど、もう1つのヒッポポさん踏み倒しルートかつ1コスを埋めるメイ様、高コスト側判定になるツインパクトのドロン・ゴー組によるジャッジの安定化(そこそこ負けるのはご愛嬌)で、使える強度にできたのではないかと思う。ブレストが3色ドロン着地の安定に貢献するところがお気に入り。

個人的にはメイ様はかなり好きなカードになった。

 ただ、祝門を使っていて、やはり盾を割る行為はリスキー以前にかなり利敵だと思い知らされた。このゲームのビートは難しい。神門が20弾環境で活躍するようには思えないのだが、現状は何にせよ資産が都合できてかつ手になじむコントロールデッキを見つけたい。