虚用叢

見渡すかぎりうつろなくさむら

2022年度家計報告

 労働者として定期収入を得ることになった2022年度。支出とあわせて簡単に振り返る。

全体収支

 はじめに、全体の収支を出しておく。総支出184万円、総収入174.7万円、しめて10万円弱の赤字。収入は予定より多かったものの、それ以上に予定外の支出が膨らんだ。といっても単年で問題になる額でもなく、労働初年度としては及第点としたい。

2022年度の家計

食費

 次に、支出の内訳をいくつか見ていく。まずは食費。これは1.34万円/月で前年度とほぼ変化なし。物価高が直撃しながらも家計を圧迫しなかったのは、主食としていたカルビーフルーツグラノーラ業務スーパーオートミール(500gで127~円)に変更したことが最も大きい。高騰する輸入肉や鶏卵に代えて大豆の摂取量を増やすなど、栄養バランスを取りながらその他臨機応変に自炊を継続した。献立はきわめて偏っている一方で、栄養素は偏っていないつもりである。いまのところ体に問題はない。労働で消費エネルギーが増えた分、おそらく摂取量も増えた。

日用品

 労働により消耗品代がかさみ、前年度比+1.4万円。ハンドクリーム、洗濯用洗剤、靴、靴下など。

娯楽費

 問題児。前年度比+24.3万円の29.2万円。ほぼスマホゲーム代だった前年度から内訳は様変わりしており、ピアノ関連で13万、ラブライブ!スーパースター!!関連で15万ほどを占める。ピアノは初期投資を終えたため、レッスンの受講等始めなければ次年度は落ち着くはず。スパスタは展開次第では今後さらに響く。スクフェス2に課金するつもりはないが、決定済みのアニメ3期円盤、新曲CDに、ライブ数公演は行くだろう。お金のかかる趣味だからと辞めることもできるが、労働のモチベーションでもあるから難しい。最も高コストのライブ現地が最も幸福度が高いのである。ちなみに本年度から図書は基本的に教養費でなく娯楽費とすることにした。といっても新刊はほとんど買っていないが。

教養費

 全額、介護福祉士実務者研修代。今後実働時間要件を満たして介護福祉士を取るなら不可欠な資格であり、昇給により3年余りで回収できる金額となっている。このように、労働がなければ購入しないような書籍や講座を教養費とすることにした。語義と逆行するようで少し哀しいが。

光熱費

 物価高直撃その2。乗り換えの節約分を軽く凌駕し、電気ガス合わせて前年度比+2.4万円。この冬は寒かった気もするし、大豆を煮まくったし、労働で風呂の頻度も増えたしで仕方ないかなと思っている。子どものころは空調を我慢することは美徳だと信じていたが、いまでは快適な室温より優先する出費などないと考えるようになった。

住居

 交渉により11月から家賃が0.3万円/月安くなった。一時期引越しを検討したものの、わたしはなんだかんだ8年住んだいまの部屋と大阪北部地域をとても気に入っている。守口市寝屋川市だと1万円くらいは家賃相場が下がりそうなのだが、あの辺りどうなのだろう。

新聞

 夕刊付きで2500円という破格の学生料金のまま購読させてもらっていたのだが、2月の途中で解約した。教養というよりは娯楽で、元々毎朝読むというより、何かこれといったやる気がないとき、穏やかに過ごしたいときに数日分まとめて読むということが多かった。ところが、そういった時間をピアノの前に座るように意識するようになってから大幅に読む時間が減り、積み上がっていく未読の山を負担に感じるようになったので解約した。開けば目に入る政治、経済、社会、スポーツ、書籍、福祉、教育、投書、エッセー、季節の話題など、自分から拾いに行くのが難しいジャンルまで手広い会話デッキの供給源が断たれた。しかしなあ、いまの世は情報があふれすぎていてお腹いっぱい、むしろ毒とすら感じることもある。実際のところ、無料のネットニュースや一部のデジタル新聞もいっさい能動的に読んでいないし、Twitter辞めるか新聞辞めるかで、Twitterは辞められなかった結果がこれである。

収入

 退職も転職も副業もせず、この1年週3労働を続けた。1186円/hから最低賃金の上昇と資格取得による70円の昇給、国からの介護従事者向けの一時金、人員不足に伴う残業と一時的なシフト増、これらの影響で想定より多い165万円の稼ぎだった。雑収入はマイナポイントや無職非課税時代があったことで恵まれた給付金などで、次年度はほとんど見込まれない。昇給があるか、残業が落ち着くか次第なところもあるが、本業の稼ぎは今後も同程度になるだろうか。

2023年度に向けて

 生活スタイルを変える必要はとりたててない。雑収入がほぼゼロになるとして、同じように生活すればピアノ代と資格代がない分で黒字が見込まれるためである。労働を週3からさらに減らしたいという思いもなくはない。だが、労働には給与面以外に自分には必要悪でもある。運動、対人コミュニケーション、社会性の維持、非利己作業の訓練、こうしたことを半強制的にする場として、現在の週3というペースはちょうどよいのではないか、これがこの1年の感覚である。

 何か他にやるとすれば、経済的自立を契機に、広い意味での交際に挑戦しておくべきではないかと思っている。とはいえ、現状のわたしの支出水準からすると、移動ひとつ、食事ひとつとっても高くつく。どうして人間というのは、集まると使うお金が増えるのだろうね。なんにせよいま失うものは若さしかない。アクションを起こすのが目標ということで。

2023冬アニメ感想

 2023冬アニメも最高だった!ということで感想。

 ほんとうは全部書き終わってから上げたかったのだけど、ちょっといつ終わるか見当がつかないので随時更新にします。感想をTwitterじゃなくブログにする良さって、ひとつは読む側のタイミングを選ばないことだと思う。U149をまだ見られていないのでしばらくTLを開けていないのだけど、そんなふうにネタバレを気にすることもなければ、反対に見逃して数日前の感想が見つからないということも少ない。だから書けた分だけでも先に公開してしまいます。まずは新作10本と旧作3本。気が向いたときに、気が向いた作品の感想を流し読んでもらえるととてもうれしい。4月に秋アニメの感想を上げているフォロワーにも勇気をもらった。

anime197166.hatenablog.com

<更新履歴>
2023/04/08 アルス/永久少年/大雪海/天使様/おにまい/陰実/虚構推理2/砂糖林檎/ス教/利便事屋/明日ちゃん/サニボ/虚構推理 残り18-9
2023/04/13 ダンまち4-2/ツルネ2/D4DJA/転天 残り14-8
2023/04/14 トモちゃん/にじよん/人間不信 残り11-8
2023/04/25 防振り2/HIGHCARD/BuddyDaddies/UniteUp 残り7-8
2023/06/19 残り全部!

 昨クール感想記事で予告したとおり、今期は作品ごとにこれはと思う回を勝ち抜きさせながら視聴した。勝ち残った話数、これを執筆前にもう一度見返して、全体の感想に加える形で振り返っていく。

hibihinichi.hatenablog.com

あやかしトライアングル

 ハレンチなのはダメです!!(萌えキャラ)な健全な生徒だったのでTo LOVEるはあまり知らないのだが、これは想像より王道少年漫画といった雰囲気で見やすかった。一方で、性癖を破壊される気配はあまりしないので、今後も友情や青春、コメディーを楽しんでいくことになるかな。冬は第6話まで、夏に第1話からあらためて放送ということなので、面倒だし単話選出も先延ばしします。本編とは関係ないけど、放送延期の差替えで放送された原作者とプロデューサーによるオーコメ、とても興味深かったので他の作品でも真似してみてほしいね。

 

アルスの巨獣

 アニメ以外のサブカル趣味が皆無に近い人間なので、漫画好きやノベルジャンキーに気後れせずに済むオリジナルアニメに寄せる期待は大きいのだが、これといった魅力を感じられないまま終わった。ものものしいナレーションとか食卓を挟んでの異種族の会話とか、名作アニメ感、質アニメ感を出そうと肩肘張った雰囲気が制作の力不足との溝を生み、見る側としても気楽に楽しむ姿勢を取りにくかったように思う。せっかくだから良かったところを書きたいのだけど、ろくに記憶が残っていなくて、たとえばクウミが新しい二つ名をもらうシーンとか……(それもあまり思い出せない)。羊宮妃那さんの声が良い。

第5話「力比べ」

 完走してからもう一度見たけど、「これは女、ヤマビトの女は小さい」以上の選出理由がなかった。

 

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。2

 楽しくてかわいい安定の2期だった。1期と比べてバトルギャグ面でのパンチが弱いと感じていたのは、欠点を補うようなテイムモンスターの登場で、キャラそれぞれの戦闘スタイルが丸くなったように見えたからかな。3期来るなら天王の玉座をもっと見たいね。

第5話「防御特化と触手。」

 毎話80点取ってくる優等生だから選出が難しかった。触手、ウィスピーウッズに捕まる双子クマ、白蛇のにょろにょろ3クエスト並行、メイプルとサリーで感覚おかしくなっているけど、マイユイやカスミはふつうに死んでいるんだな。一歩萌え力で遅れを取っていた印象のカスミに幼児化という武器を取り付けたのやっぱり2期最大の功績だわ。ロリ早見沙織ボイス良すぎたのでおすすめ作品教えてください。正直言えば触手プレイはもっとえっちに描いてほしかったです。

 

永久少年 Eternal Boys

 15分枠で2クールの変則構成。実質本編の尺はただの1クール分になるけど、OPEDは24回流せるし、本編は15分アニメにふさわしい展開スピードと軽快さで、ジャンルの引っかかりのなさのわりに見やすかった。クールの変わり目でストーリーに柿崎さんの退場という大きなターニングポイントを設けたのも巧みだったものの、肝心の後半のストーリーそのものには全然納得がいっていない。

 第2クールのOPで柿崎さんの紫も入れた7色が使われているのを最初に見て、彼のプレーヤーとしての復帰および7人となったエタボというユニットの完成を確信したはずが……。武道館ライブのトリでサプライズ参加という雑な消化、あんまりだよ。映像的にも最高の盛り上がりを出すぞ!みたいな意図がまるで感じられないし、大切なデビュー曲を使っておきながら音源使いまわしでステージにいるはずのニコライが不在という惨事。

 かといって柿崎さんがマネージャーとして敏腕だったかというとそんなイメージもない。圧倒的下積み不足下の武道館ライブをメンバーが無茶やって奇跡を起こすということも叶わず、「満プロなんて潰れて当然、永久少年なんていなかったんだ」と納得しつつあったところで、またちゃぶ台返し。ほんとうに何だったんだ。

第7話「初ライブ」

 ボロクソなラストの放送から4ヶ月ぶりに見返してみたが、良すぎてギャップにびっくりした。アイドルアニメお馴染みの池袋サンシャインシティっぽいショッピングモールでのリリイベ、分不相応な企画を勝算なく断行して手痛い目見るの、このころから変わっていなかったんだな。ただ、大事なのはこの後なんだよな。愚直に営業をやってきた真田さんならではの機転、規模は小さいけれども、ある意味身の丈に合った、現実的な成功体験が胸をすく。人脈を生かした新しいひととばしょの結びつき、名刺を手渡しして宣伝って最高でしょ(サラリーマンやったことないけど)。激しい振付を控えたミディアムテンポの「Eternal」が、このアイドルとアニメの持ち味を象徴している。

願えば叶うなんてこと
簡単に言えないけど
遅すぎるなんてないよ
追いかけていこう

 クソダサおっさん円陣とか、初めてのファンレターとか、すべてがかみ合っていて、ほんとうにどうしてこの路線で続けられなかったんだ。

 

大雪海のカイナ

 サブも含め登場人物のひととなりや掛けあいに人間味があって、そこが魅力だったかな。ストーリーはこの一区切りとしては期待していたものと違い過ぎるものの、ロストテクノロジーで切羽詰まった世界、一方を殺すか心中するかしかない世界を、青少年の冒険が覆さんとするジュブナイル面は嫌いじゃない。おとなほど魅力に欠けるのはわざとなんだろうね。一面的な技術のわりに、生き延びていくための知恵がなさすぎるけど、なまじ一度野生を離れた人間が、築き上げた文字や体系化を失うとあんなにも弱くなるのだろうか。

 ただ、SF部分にかんしてはガバガバすぎてそういうものと割りきっていくのが疲れる。設定をひとが創るファンタジー世界こそ、高校の古典力学くらいは勉強してから出してほしい。

 細谷佳正さんって何役だったかなと思ったらエクスタシイィィィ↑↑の兄ちゃんか。OPEDのCMの落ち着いたタイトルコールがめちゃくちゃええ声や。

第5話「救出作戦」

 リリハが囚われの身ながらアメロテに毅然とした態度を取るのがいいね。本編でわざわざ描かない人格形成のバックグラウンドを、一幕のひととひとのやりとりから感じられるのが好み。最終話を終えて見返すと、口上が結末のフラグにもなっているのだね(その結末の方は……)。高橋李依さんは昔から個人的な萌え声のツボとはずれるのだけど、はきはきしゃべる演技でキャラへの好感を上げてくれるなあというのが、この1年の印象。

 雪海中でのアクション、洞や建物内が潰れたり浸水したりしないのを見るに、雪海は空気とさほど比重の変わらない軽い流体とするのが自然。それはそれで軌道樹はどうやって自身を支えてんだとか、浮遊棒や浮遊袋や飛んでる浮いてるやつらはなんやねんとか、背景がきれいだねーと言っている間がない。

 

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件

 「くっつくまでがラブコメ」だとは思わないのだけど、真昼が厳しく当たらなくなった4話くらいから毎週視聴するのが苦痛だった。付き合ってもいない、SEXするわけでもない、若いだけの男女が一室で延々と仲睦まじくしゃべっているだけですやん。土ヨルは深夜アニメのピークタイムであり、翌朝に何から見るか本来は楽しみなはずが、本作の実況がTLに必ずいるという信頼からこれを先に流す必要があった。言い方を変えればTwitterなしではまず完走できなかった、ありがとうフォロワー。

 ウェハーチョコは一度労働の帰りに2駅分歩いて7軒だけセブンイレブンを巡ったが発見できなかった。転スラ2期のウエハースはあった。とかく本編の充実度と比較して存在感のあるアニメだったように思う(Annictの視聴数も多いしじつは世間では評価されているのか?)。梅田のタワーレコードに主題歌「ギフト」のCDの3形態がちゃっかり目立つ位置に並んでいたときには謎の感動があった。裏面を見たら全部ポーズの違うオーイシマサヨシで笑った。

第10話「夢の中の天使様」

 このエピソードだけは別格に面白くて、真昼がすべて周くんの妄想だったら良いのにと思っている。ラブロマンスに露骨なエロは要らない派だったのだが、プラトニック一辺倒でもそれラブロマンスである必要ないじゃん派に鞍替えした。その点でも案外自分にとって大事な作品になるのかもしれない。

 

お兄ちゃんはおしまい!

 OPもEDも、もちろん本編も、作画に圧倒され続けた。今期は良いOPいっぱいあるけど、その中でもこれは一発で、とんでもないアニメが始まったぞと思わせる傑作。

 枚数が多くて細かくよく動くのはもちろん、パステルで明るい全体的な色味がかわいくて好きだった。背景にドットのトーンを入れる手法は初めて見たのだけど、意外とうるさくなくむしろ静止していることがはっきりして、動いているキャラの方を引き立てていたように感じた。キャラデザの方は、瞳の中心の白抜き、これも初めて見た。原作とは乖離しているし、リアルの瞳とは真逆だからかなり思い切ったやり方だよな。かわいいかと聞かれるとよくわからないが、これも全体の明るい画づくりに貢献していたように思う。

 ストーリーやキャラクターの方にはあまり没入できなかったかな。大変なことをやってのけたみはりの心情が量れなくて、かといって科学者としての分析や倫理が物語に機能しているようにも感じられなかったのが大きい。かえでともみじの名前どっちがどっちだったか最後まで覚えられなかったのに、いまになってもみじろうで確認できると気づいた。

第6話「まひろと二度目の中学生」

 モブウエイトレス羊宮さん!じゃなかった、モブカチューシャちゃん!でもなかった。いやなぜ6話を選んだかというと、この辺りでTSしたまひろのスタンス、生き方の指針みたいなものが飲み込めてきたから。みはりのことはよくわからないと書いたけど、まひるは被害者でありかつ未曽有の体験のただなかにあり、行動原理の異質性を認めても寛容でいられる。もしわたしが女子中学生になったら、きっとセクハラ衝動を抑えられないだろう。一方でまひるは自分の身体も一度眺めただけで「こんなもんか」と受け容れてしまうし、この話でいえばあさひに抱擁されてもお日様の匂いに癒されるだけでまるで野性のENERGYがない。ああそうなんだ、この主人公はふつうに女子中学生やっていくんだという納得が、満員の女子更衣室の画面の前で流れていった。

 

陰の実力者になりたくて!

 秋の13話時点ではつまらなかったが、後半はけっこう楽しめた。最終話も派手に締めくくったね。決定している2期が楽しみかというと、そうでもないけど。

第16話「見えざる真意」

 ひとつはアンネローゼ・フシアナス。若山詩音さんの声が良い。やっぱり女性声優のキャスティングは三十路ばかりの守りに入ってはいかんですよ。ろくに感情移入できるキャラが出てこない点が本作の大きなマイナスだったが、この子は裏社会に関係してこないので興醒めさせられない。首鳴らしとくしゃみの模倣シーン、ボイスもあいまって萌えとギャグの絶妙なコンビネーションだった。

 ジミナ・セーネンも主人公への嫌悪感を和らげるのに一役買っていた。見た目がガキから成人になるだけでも違うらしい。54歳(54!?)の緑川光さんがこんな役やってくれるのふざけていて感謝しかない。懸かっているものが重くないブシン祭という舞台も、主人公の悪ふざけをする場として違和感なく見られた。

 

虚構推理 Season2

 雪女、萌女。いや、雪女編以外も面白かったのだけど、あまりに雪女が萌女すぎて再登場しないかずっと引きずっていた。エピソードはきわめて技巧的で、1期の良さそのままに構造から視聴者を翻弄させてくる。この作品は虚構のでっちあげがお家芸なんだなと理解させたところで、やっぱり真実を暴いて琴子がそれを突きつけるのとか、またこのパターンかと飽きさせることがけっしてない。ところで、OPEDの映像がちょいちょい差し替わっていたの何か意味あるんですかね。

第15話「雪女のアリバイ」

 雪女!!!!!萌女!!!!!!!!!!!!

 ……すみません、取り乱しました。まちがいなく今期最高の萌女です。ああーはやくわたしも女難の相にあって質の悪い女に好かれて人間不信になって持て余した金と時間とともに余生を山奥で雪女としっぽりやりてー。このアニメを見ている間だけは、自分の名前が「まさゆき」でないことを激しく嘆く(そもそも他人に名前を呼ばれることが皆無な人生だが)。虚構推理ノータッチのひとは、1期も他の話数もいいのでとりあえず雪女編の14、15、16話を見ましょう。どの雪女も萌女だけど、一番情感のあふれていた15話を選出。

 

シュガーアップル・フェアリーテイル

 フルスロットル陰湿アニメたまらん。人間と妖精の使役関係って時点で怪しく感じはしたものの、毎週毎週出てくる人間が最悪な倫理観を更新してくるのすごいっすね。史上稀に見る陰険幼なじみジョナスさんをOPEDからリストラしなくていいんすかと小物の手前どもはずっと気になって仕方なかったんすけど、退場したかと思わせて再登場しまくるしもうそういう世界なんすね、はい。

 大事なのは、キャラやエピソードの胸糞っぷりに負けない卓越した表現力で、これを欠いてはこんなに好きにならなかったと思う。生殺しがすぎる最終話、第2クール!!!!!はやくきてくれーっ!!!!!

第4話「王家勲章の行方」

 もうこのアニメ全部好きなのでどの話数挙げてもいいんですが、未体験の衝撃を受けたこの話で。何が衝撃だったかというと、前話との高低差なんだよね。第3話はジョナスさんがその本領を発揮した回で、まだそういう作品だと知らなかったからただただ胸糞な印象だけが残った。きっとこの話で切った視聴者は数多い。そしてその最悪な印象からなかば義務感で再生したこの第4話でボロボロ泣いた。落として上げる、言うだけなら簡単だけど、たかが娯楽の数多ある深夜アニメ、1週間待たせるリスクは計り知れない。そんなもの度外視して、続きを観てくれた視聴者を最大限歓迎する、そんなつくり手の気概を感じた。そういう意味で、この選出の半分は第3話によるものでもある。

 さて、それでは内容を振り返っていくとしますか。冒頭、返り血まみれでしゃがみこむアン・ハルフォード。平静に見下ろす寒色・黒系のシャルとの対比が美しい。原作の巻タイトルも「銀砂糖師と○の××」(○には色が入る)で色彩がひとつのアクセントなのね。まだほど遠いふたりの距離感にグッとくるのも、振り返りならでは。「わかってる」と繰り返すアンが放つシャルへの批判は理屈になっていなくて、いつもは聡くて前向きな彼女の動転ぶりがむなしい。この作品、クラシック調の音楽がまた好きで、ここでも木管の静かで哀しい響きが、受けとり手のいないアンの嘆きを包んでくれている。

 Aパート、お約束の悲哀の雨から始まる。シャルに羽を突き返すときのボスっとしたSE、OP前パートでもそうだったけどシャルの硬いけど重くない質感がよく出ていてグッジョブ音響。砂糖菓子づくりはもちろん、しばらく後の馬車が品評会に乱入するシーンの迫力あるSEなんかもすごい。

 嗚咽の雨がお約束なら、再起の雨上がりもまたお約束。泣きはらしてまっさらになった瞳、見つめられることで妖精は誕生するという設定、初めてのオリジナルなモチーフの想起、うまいことつなげるものだ。市ノ瀬加那さんの最ロリボイス、覚えました。服の返り血の色が鈍くなっているのも芸が細かい。アンが目を覚ますまで、馬車の中で服が見つかるくらい待ってくれていたシャルかわいいね。淡々としたままのようで、服を差し出す大きな背中は微笑んでいる。アンにとっては苛酷な雨だったかもしれないけれど、シャルにとってはアンを、ふたたび人間を、対等なパートナーとして受け容れられるようになる契機の雨だったんだね。

 舞曲で彩られる砂糖菓子づくり、そしてそれを手渡すシーン。まるで料理番組のような真上からのカメラ。屋外で突っ立って待つシャル、動かないときはほんとうに動かない。静かに感情を整理しているようだ。立ち姿がまた美しいし、長命な妖精の時間感覚を思わせるんだよな。戦士妖精にしては小さいとされるシャルだけど、小柄なアン目線で、さらに小さな砂糖菓子を掲げて、羽、触りたくなっちゃうよなあ。あったかいんだ、羽。主旋律にバイオリンが加わって音楽が止み、お姫様抱っこからのクルっと一回転、馬車にストン、ポッと赤らむアン、萌。緩急仕事しすぎ。

 来たぜ品評会。「僕の服、よく似合うじゃない(平らな胸)」じゃないんだよジョナス。ここからの高貴で緊張感のある音楽がまたすごくいい。

 ミスリル・リッド・ポッドさんのお出まし、アンの頭の上に乗ってポーズをそろえてジョナスを糾弾する画が良すぎる。その前にジョナスの悪行をさらせと後押しされたアンが、一瞬つらそうな表情をするのもすばらしい。こういうのひとつ入れてくれるかどうかで解像度が全然変わってくるんですよね。作画の力の入れようほんとうにすごいよ。

 来るぜ、最高のシーンが。めいっぱい振りかぶってからのぶん殴り。いや当時はこれで清算して退場だと思ってたよ。

 1点だけ、結局ここで銀砂糖師に選ばれなかったことがご都合主義で納得いかなかったのだけど、1話をとおして「アンがオリジナリティーを見つけるまで」がテーマになっているのだよね。銀砂糖師になるという母の模倣の延長にあった夢から、大切なひとのための、シャルのための砂糖菓子をつくるという夢へと変わる。馬車に散乱した母のレシピも、潔癖の証明のためだったはずのつくりなおしでシャルのことを思い浮かべてしまうのも、ラスト自ら馬車の手綱を握ったのも、すべては真の職人となるための第一歩。

 

スパイ教室

 スパイっぽい属性が入っているだけで、キャラ萌えとギャグを嗜む作品だとわかってからはとても楽しめた。キャスティングが凡庸でなければ満点だったけれども、「声だけだと8人いることがわからない」がメタネタになったり、遅延した本編に差し替えられた声優番組が面白くなったりもするからな。

第7話「File 《草原》のサラ」

 クラウスも含めて灯のメンバーの個性がよく発揮されていた感動のコメディー回だった。寝言のリリィとツッコミのサラのコントは本作屈指のネタ、その後のクラウスの手料理を堪能した朝食後のシーンがまた良い。この作品、サブタイ一覧からは個人回を並べているように見えるのだけど、各1話や1シーン、1カットに複数人の個々の魅力、あるいは組み合わせの妙、あるいはただ人数が多いだけのおかしみをうまく収めていると思う。横並びした適当な3人が順にひとこと料理の感想を述べているだけでもう面白い。直線で仕切られたキャラのアップショットが出てくるだけで笑ってしまうから、わたしはコメディーにそうとう甘いのだろう。でもそれをさしおいてなお、センセ!コールからのクラウスとリリィの掛けあい、締めのにーく!コールは歴史に残る展開でしょ。テキスト、間、構図、論文が1本書ける。

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか IV 深章 厄災篇

 正直惰性で見ていて、キャラもベルくんと紐神様とヴァレン某とまれいたそくらいしか覚えていない中、夏の迷宮篇を迎えた。パーティーを組んで正統的にダンジョン攻略していくこっちはそれでも抵抗なく楽しめたものの、厄災篇の方は視聴姿勢が準備できていない感が強かった。復習していない自分が完全に悪いのだが、早見さんボイスのエルフってそんなに重要なキャラだっけ。深手を負った主人公と思い入れのないサブキャラの絶望のダンジョン逃避行、なかなか視聴継続に腰が重かった。

第21話「優しい噓 (デイドリーム)」

 そうか、この話を描くためにこのアニメをつくったのか。深層という極限の環境に転落したふたりによってしかなされない肌の重なり。互いの体を温めるために抱き合う、たったこれだけを実行するまで、恥じらいと正当性をつぶさに堅苦しく言語化して攻め口説いていくリューさんも、いつもどおりあたふたしているベルくんも萌えすぎ。これぞ究極の萌えですよ。

 戦闘と成長を中心とした冒険系の作品を見ていると、適当なゲーム(で疑似体験)したいなーとよく思うのだが、アニメに期待するゲームでは体験しえないこととして、主人公の生きざまを見たいというのがあるようだ。その点ベルくんがかっこいいのは、打算も何もない、全部助けるという英雄たる生きざまなんだな。ジャガーノートは去ったという優しい嘘を認め合うふたりの最期は美しい。けれどそこから止まらない震えと激痛とともに立ち上がるベル・クラネルは、やはり物語の主人公なんだ。

 

ツルネ ―つながりの一射―

 一昨年の秋だったかに再放送で見た1期は、高校スポーツ、武道ものとしては好きだけど、男同士のねっとりネバネバな関係がネックな印象だった。2期になってそのマイナス面および特色(?)がマイルドになり、より楽しく視聴できた。全然弓道のこと知らないのだけど、毎回毎回同じへたなやつが外して、うまいやつが皆中するものなのですかね。当たるか外すかの二択、単純明快な結果だけに、それだけを見ていると気が狂いそう。結果が付きまとう競技としての側面とは別に、おそらく弓を引くという身体的、原初的、感覚的な快楽があって、我々は実際にそれを味わうことはできない。けれどもアニメーションのすべてをもってキャラクターの体験を画面越しに伝えんとせん、そんな情熱を作品から受け取っていた。

第9話「裏反る意志」

 合同合宿回、若いねえ、青春だねえ。あさっての方向の努力のようにしかみえない県大会の再現練習とか、風呂で反省会したりとか(風呂狭すぎてホモホモしいんだよなあ……)、他校の女子部員がやたら気になったりとか(それはそれとして白菊乃愛嬢でアニメ1本つくってくださいよろしくお願いします)、眺めているだけで無限に栄養になる。二階堂パイセンもかわいい。強キャラでありながら精神は未熟というかガキなのとても好き、あとは貧乏くさいところも。

 

D4DJ All Mix

 フル3DCGキャラの硬さ、ありていにいえばかわいくなさという課題を、表情にデフォルメのレタッチを入れまくる力技で解消しようとする試み、勉強になる。ときおり挿入されるSDなんかにも、アニメの自由さと多様さを教えられる。

 曲の方は1期と比べるとキャッチーさが失われてあまりピンとくるものがなかった。2年前にアプリゲームを触ったときにはハピアラ以外にもけっこう好きな曲あったのだけど。まあこの辺は繰り返し聴いているかどうかだけでも評価が一変するもので、楽曲アニメにありがちな難しさだよな。

第9話「ホシトカミ」

 ツルネに続いて9話、合同合宿回を選んでしまった。といっても魅力は全然違って、こっちの合宿は青春の解像度の高さとか共感とかはなく、良くも悪くも美少女アニメ的ウソの世界。アイドルアニメもといDJアニメに一番求めるのは曲とステージパフォーマンスなわけで、この回はそのモチーフの発見の過程が良かった。一時は自己紹介ソングという迷走をしたフォトンちゃんたちだったわけだが、今回は合宿で思い出すことになった咲姫の故郷の星空、安定の原点回帰というわけよ。10月といえばハロウィーンハロウィーンといえば仮装と安易にいくのではなく、これも原点回帰、収穫祭で厳かな雰囲気ときたか。迷走の先頭を行ったノアの博覧強記ぶりがかみ合ったのもうれしいね。

 「合同ライブやって委員会!♡」にて「星空か……」と思案する横顔の胡桃のショット、奥の委員長が「胡桃さん……?」といぶかるまで間が長く、印象に残る。これが全天スクリーンのライブ演出への下地だったのもいいね。自由で多様が許されるアニメにおいて、ライブ会場は異次元に飛んでいっちゃってもなんら支障ない。けれども会場を星空にするのはあくまでVJの仕事として、(現実的かはさておき)手段や根回しを描く。美少女コンテンツ、声優コンテンツとしての虚構を背負いながらも、それがこの作品のDJに対する誠実なところだなと。

 

転生王女と天才令嬢の魔法革命

 もっとお気楽にコメディーと女の子どうしのいちゃいちゃを楽しむ作品だと想像していたら、王位継承がどうだの貴族がどうだの転生がどうだの不老不死がどうだの、メインキャラクターたちが苦悩する場面が多くて意外だった。それ自体が悪いということはなく、むしろアルガルドの凶行の顚末なんて兄の方に肩入れしたくなる思いだったが、全体的に重い人物像のわりには伏線が足りないというか、背景の事前の説明不足を覚えた。たとえば自身の転生そのものに深い罪悪を持ち続けているという主人公の心情そのものは、いわゆる転生ものとしては珍しい部類じゃないかと思うのだが、それを語るのは最終話。出自のユニークさや親への後ろめたさ、自己肯定感の低さを視聴者に理解させる重要な設定なのだから、もっと早期に見せてはだめだったのか。

 ひとつ忘れていた、当期アニメアイコンに描いたイリア・コーラルさんにはお詫びしないといけない。クラシカルメイドといえば腹黒と罵倒(夏目准たそ~~)であり、PVを見ておてんばなアニス嬢を加隈亜衣低音ヴォイスで罵ってほしいという願望を表情に反映してしまった。まさかここまで聖人だとは思っていなかったんです、ごめんなさい。いま気づいたんですが冬→春のアイコンで CV. 加隈亜衣リレーしているな、大好きです。

第12話「彼女と彼女の魔法革命」

 この最終回はほんとうにすばらしかった。なんなら1クールこの回だけでも良かった。まずサブタイトルが良いよね。転生王女にしても天才令嬢にしても、それらは属性、タイトルとして目を引いても呼称としては愛がない。かといって名前をそのまま入れるのは安直だし距離が近すぎる。物語を紡いでいく愛おしきふたりから少し離れて「彼女」と「彼女」と呼ぶ、この語り手は視聴者でも良いのだが、リュミエルと解釈したい。飛行シーンに挿入されるモノローグ、淡々としながらも柔和さ、慈愛、喜び、いろいろな感情が滲んでいて涙が出てくる。釘宮さんありがとう。

 Aパートに戻り、決闘。とくに合理性のない女の子どうしの決闘とはそれだけで良いものであるが、結果的にアニスフィアが焦がれていた魔法の美しさをユフィリアが見せることにまた意味がある。お互いが欲するものをお互いが持っており、またそれを高め合う仲であるというのが、完成されたカップリングという感じ。虹と空、素直に感動。

 力関係はすっかり逆転してしまった。順番を入れ替えても成立する「彼女と彼女」のサブタイがここでも味わい深い。わたしは百合に免疫がないのであんまりえっちなのは気圧されるのですが、やっぱりキス、とりわけ口と口は格別ですね。Aパートのラストでピークを迎えたなと穏やかな気持ちでBパートを鑑賞していたら、最後におかわり!!!!!!!美しいものを目にしたとき、ひとはどうして汚い声を出すのでしょう。

 もうひとつだけ、アニメっていいなと思ったのが、人間飛行のデモンストレーションの場面に、たくさんの虹が架かっていること。ハロー現象とか環天頂アークとかいろいろとあるらしいが、晴れた空に架かる虹を文章で科学的に説明しても陳腐。それが違和感なく、物語の終幕を祝福するように画面を彩るって最高だなと。魔法でほんとうの虹も架けちゃうんですけどね。

 

トモちゃんは女の子!

 ノーマークだったけどめちゃくちゃ面白いラブコメだった。群堂みすずとキャロル・オールストンのキャラ立ちすぎ。そのコンビ含めメインキャラがそろいもそろって重たいやつら、明るい画面とコミカルな演技、音楽でごまかしているけど、自分の愛の実現のために計算高く非道なこともしょっちゅうお互いにやっているよな。お互いさまなのが重要なポイントで、もしこの中のだれかが私欲によって一方的に陥れられるだけだと円満に視聴できない。全員が愛すべきヤなやつ、それぞれ強みと弱みを持った絶妙なパワーバランスを描ききった。

 1話が2、3本立てになっていて、サブタイのカットとコールが毎回冒頭に挿入されるのも内容に合っていてグッド。あとはキュートなEDに続いて登場人物が規定のbgmにのせて折り目正しく予告するタイプの次回予告があったら完璧だったわ。

第4話「笑顔の理由/女子っぽく戯れたい/ヒーローはよく転ぶ」

 複数本立てでこの話数が特別好きと決めるのは困難だったね。ジュンイチロウの心情がいまいち量れなかった序盤、解像度が大きく上がったエピソードが「ヒーローはよく転ぶ」だった。モラリストゆえ高校生が暴力で解決するのは賛同しかねるものの、愛するひとを守るために動いた結果がそれならしかたない部分もあるよね。裏で戦い自分のことを誇らない、女にベタベタしない、こういう精神面にジュンイチロウの強さとかっこよさを感じる。ハンター試験のスシみたいなトモの煮干し握りを平然と食べるのも男前。内心我慢しているとか逆にとてもうまそうにほおばるとか一切ない、素であれなのが良いね。わたしはとにかく強いキャラが好きなのでジュンイチロウは当然好きで、ジュンイチロウに強いトモも好き、トモに強いみすずも好き、そしてみすずに強いキャロル・オールストンが一番好きなんですね(完)。

 

にじよん あにめーしょん

 かわいかったね。CGのSDキャラで5分枠だけど、ちゃんと映像はアニメなのが楽しい。

第9話「妹王決定戦」

 KTT(かすみん・トーテムポール・トランジション)良すぎる。2度もやってくれるのうれしすぎだったのに第10話でも使ってくれて感謝しかない。絵面だけでもう面白く、さらにツボなのが同時に鳴き声も入っていること。これより前にかすみが手で押し出すようにスライドしているのが合わせオシャポイントMAX。デフォルメやギャグアニメに映像干渉能力持ちがいるってこんなにも心強いんだなって。

 

人間不信の冒険者たちが世界を救うようです

 枚数かけられないけど大きく大げさに動かすぞみたいな作画が印象に残っている。デッサンが狂っているのか中割りの問題なのか技巧的には見えないものの、なんとなく意志が乗っているように感じるというのかな。

 ちょっとした境遇や出会いによって進む道の明暗がたやすくわかれてしまう、そんな人間の危うさを誠実に描いていたと思う。主人公たちもリスタートしたようでいて、酒、女、賭博といった煩悩を切り捨てることはない。世界を救うような勇者というより世界の一住人として平等に凡庸に存在しているんだなと。EDのへちょい線と実写フェルト、脱力したボーカルも作品とベストマッチだった。

第7話「賭博指南」

 前半はこれといった強い魅力を見いだせない中、第6話の算数ベアナックルとかいう奇をてらったワードで、ここがこの作品のピークかとわかったような気になり、視聴を中断していた。いや、全然わかっていなかったわ。早めに終わった作品で空いた時間に視聴を再開したのだが(空いた時間で感想も早めに書いとけ)、むしろ後半伸びる作品だった。

 鬱屈とした過去を持つ主人公パーティーに対して、だれしも多少は人間不信なところあるよねっていうツッコミに回答してくれたのがレオンという名脇役。堕落したレオンも、ティアーナとの対話を通じ、彼らもまた脆くも寄りかかり合う存在であることを知る。「ばかかよあいつ。それを仲間って言うんじゃねえのかよ」獄中にてこぼすひとことが胸を打つ。ニックたちはあの日偶然酒場で出会って仲間となり再起したわけだけど、いつかレオンさんにもそういう日が来るよ。

 言語センスも作品の特徴のひとつだった。銀虎隊のリーダーおよび兄の死因を、アバンでは「ありがちな死、知性も品性も関係のない、ただのちっぽけな死」とだけ語って濁し、戦闘シーンのクライマックスで「仲間だと思っていた糞野郎に殺された」と明かす。事実を語るだけなら冒頭の回想から「仲間に殺された」と言えばいいし、なんなら映像とその後の人間不信に陥った状況だけからでも十分伝わる。アニメとしては冗長ともとれる婉曲な言い回しが布石となり、後の滅の剣との押し問答での激昂が引き立つ。良くも悪くも原作そのままなのか、一貫して小説っぽいモノローグとダイアローグだった。

 

HIGH CARD

 OPEDともにオサレで大好きだった。イギリスのビジネス街やファッション、外車への憧れみたいなものは別段持っていないけれども、背景にしろキャラデザにしろパキっとかっこつけて画に落としこまれていたと思う。

 能力バトルものとしては少し陳腐。数字の大きさに応じた能力の強さと代償の描写にあまり説得力がない。能力自体もインパクトに欠けるのが多いよな。武器を出すとか植物や岩を出すとか、本質的に大して違わなくない?これは能力者の人間性の濃さや潜在能力で補えるものでもあるけど、その辺のフォーカスももっとやってほしかったな。2期は気楽に雰囲気を楽しみたい。

第1話「ONE SHOT」

 ずっと心に残っていた初回はやっぱり特別オサレだわ。時計を掏るシーンほんとクール。偶然の連続にみえる結果が、じつはひとりの計算によってすべて仕組まれた事象であることを巧みに描いている。スリのついでの善行で、素行は悪くとも根は弱者に優しいというフィンの憎めない人柄まで導入している。

 ラッキーおっさんとビー玉野郎の能力とキャラも抜群。掴むアクションは偉大なるゲンスルーを思い出す、ビー玉は音も楽しいし絵になるね。この2人もっと刷ってほしかった。12話しかないのだから焦点を絞らないと印象に残らない。ただ、拳銃を向け合うフィンとクリスのラストショットなんかをいま見ると、初回と最終回で描きたいものはちゃんと一致していたんだなと。

 

Buddy Daddies

 シリアスを持ち込んだわりにはいろいろご都合で片付けすぎだったなと思うも、なんだかんだ凸凹トリオの成長を楽しんだ作品だった。PV時点で一番期待していた電話越しの照井春佳ボイスの保育士がストライクゾーン外だったことだけが心残り。

第6話「LOVE IS BLIND」

 これ書くために3週間ぶりに見たのだけど、ミリちゃんこんなにかわいかったっけとびっくりした。久々に孫と会ったおじいちゃんってこんな気持ちなのかな。「ありがとううさぎさん、ミリのおともだち、たすけてくれて」って自分のことを差し置くミリちゃん優しすぎるし危なっかしすぎる。

 ゲームの話をきっかけに素直になって、謝ることができて、弁当を分け合って。おとなを介さずとも案外子どもはしっかり前に進んでいく。並行して、悪意あるおとなから一線超えられないように見守ったdaddiesの距離感も絶妙だったね。動物園から帰ってきて、ミリがケロっと一騎と駆け寄っていくのも、一時のきまぐれでなくこれまでの信頼関係ゆえなのだろう。

 ところで、モリオカートの作画、マリカーそのものだった。それっぽいbgmはともかく、こういう本筋には必要ないカットで高等な遊びを楽しませてくれるところも、
P.A.WORKSありがとう。風呂に入りながらもう一度、この親子の何が良いのか考えていたのだけど、難コースをコースアウトしないようにお互いにブレーキを踏みつつ、いくところではハンドル切って3人一緒にアクセル踏み抜くみたいな関係にあるのかなって。

 

冰剣の魔術師が世界を統べる 〜世界最強の魔術師である少年は、魔術学院に入学する〜

 KVやPVの期待できなさと実際の面白さがこれほど乖離した作品にかつて出会ったことがない。アニメの面白さってまだまだ自分にはわからないことだらけなんだなと。

第2話「世界最強の魔術師である少年は、演習を開始する」

 アニメーションそのものを笑いにできる、これがこの作品で最も衝撃を受けたことだった。何を食べたら画面の5分の1ほどの高さにもなる大きな縁取りしたゴシックの「DAY1」を堂々と横切らせる発想に至るのだろう。いや、動く絵の滑稽味だけでなく、寸劇としても諧謔に富んでいて、1週間の期限をDAY4で終わらせるスピード。笑っていたら間髪を入れずにシュッとスナップ利かせて投げられた紙切れをアオリでバシュッと(そうとしか表現できない)受け取る無駄にかっこいいカットで腹がよじれる。個室での対面の場で王国内に帝国の密偵がいることを伝えるためにはまったく不要なんだよな、このやり取り。しかもパスからキャッチまでの時間が不自然なほど短い。おそらくはこれらすべてを意図的に演出しているのだから感心する。クラリスの波打ち続けるツインテールや顎で血流が分かれているかのような赤面表現は萌えでもあるのだろうが、わたしにはやはり笑うべき場面に思われた。

 

ブルーロック

 2クール目もとても面白かった。強弱をつけたキャラの線画や抽象画のような背景やエフェクトで画面が熱い。潔の理屈っぽいモノローグがうっとうしくない、視聴者の先導として効果的にはたらくのも、この映像の力強さあってだと思う。

 潔がいかにフィールドを支配するかを主眼にして試合は描かれていくわけだが、成長途上の一人称視点ゆえにその時々では見えていないものがたくさんある。一歩引いて作者気分で先の展開を予測するも良し、同じ目線で個性的なキャラクターと破天荒な育成プログラムに振り回されるも良し。

第13話「TOP3」

 2クール目のトップバッターの本話、最終盤と対比的なつくりで美しい。ここで第1クールのOPで始めて第2クールのOPをEDに持ってくるだけでなく、最終話のEDに再び「カオスが極まる」を持ってくんのやばすぎんだろ。

 二次セレクションは個人プレーと連携プレー(化学反応!)をうまい塩梅で見せてくれたね。トライアングルはサッカーの基本、アオアシで習ったやつだ!それをTOP3が圧倒的エゴでねじ伏せる様式美。いまここに、潔-蜂楽-凛の新たなトライアングルが生まれた。「ボーっとすんな、おかっぱ。お前のこれからは、俺が握る(CV. 内山昂輝)」で絶頂。

 

ポケットモンスター めざせポケモンマスター

 懐古厨に優しすぎる作品。アニポケは最新作まで見たり見なかったりと視聴歴にムラがあるが、初代無印に関しては小学生時代にCS放送で全話履修しており、とりわけそのころの雰囲気の強い本作には郷愁を覚えた。夢のようなスタッフクレジットで、お話もキャラクターもあのころの、まさにオレたちが見ていたアニポケが令和によみがえっていてすごい。ポケモンというと当然本家のゲームについてもスルーできず、その面でも劇伴には記憶を強く刺激された。OPもEDもありがとう。

第7話「ラプラスにのって♪」

 ベイリーフチコリータ)、ラプラスと、2大好きなサトシの手持ちが登場。ベイリーフにお触りするヌマクローさんはホウエンに帰ってどうぞ。

 ホエルコが天高く跳ねて再び穴に入り、進化していっそう抜け出せなくなるバカバカしさ。こんな話が2023年に見られてよいのだろうか。愛嬌を振りまくだけでいっさい仕事をしないピカカスといい、雑に扱われるロケット団といい、人力コイキングメカといい、この作品を見ていると自然とありがとうのことばが出てくる。なによりやはりカスミは至高のヒロインなのであった。

 

魔王学院の不適合者Ⅱ ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ part1

 あやトラと同じく第6話でストップ、夏から再度放送らしいので単話選出はお預け(サボり)。わたしの中では魔王様サイドの善性と強さを深く考えず安心しながら見る作品という位置付けなので、ぜひとも夏には順調に放送されてほしい。

 

もういっぽん!

 キャラデザで敬遠していたのだが、第1話を観て物語と映像の巧さに驚いた。最後にやっと海に行くところなんかも含めて、再始動の柔道部を軸に一貫してふつうの女子高校生たちを描いているところに好感が持てる。要所の柔道シーンの作画がほんとうに魅力的で、グリグリダイナミックに動くのももちろんそうだし、競技の特性か背中や後頭部で語るショットが印象的だった。でももうちょっと万人萌えするキャラデザなら……と考えた日は正直たくさんある。

第4話「3人いるから、大丈夫」

 選出理由はこれ。大型ルーキーにポジションを奪われる努力家の先輩ほど共感を呼ぶものはなくて、天音さんの方に肩入れしていたこれまで。永遠視点の回想を開始礼のタイミングで入れてくるとは。柔道着を着ると勇気が出る由来を語りつつ、永遠の心情にグイっと視聴者を引き寄せる。先輩を倒したばつの悪さだけ前話から引っぱっておいて、その先輩との大事な思い出を立て続けに後出しするの卑怯だよ。

 

UniteUp!

 アニメ筋が発達してきて男性アイドルものも抵抗なく見られるようになってきた。わりと王道に高校生アイドルのデビューを描いている印象で面白かった。OP映像しょぼいなと思っちゃったし、度重なる放送延期に表れているように大変な制作体制だったのだろう。しかし、ためた力を解放した最終回のライブは楽しめたかはさておきすごかった。CloverWorksがアイドルライブを一から十まで模写するとこんな感じになるんだなって。

第8話「外さないと」

 単話としての評価は別格に高い。第7話の五十鈴川きゅん回もかなり良かったのだけど、それ以上にこれは年間10選に確実に入れたい。カメラ越しの赤面大毅きゅん萌え。じゃなかった、飛行機に乗り遅れるアニメは名作。わたしも飛行機のチケット5回くらいしか買ったことないけど、2回乗り遅れたことがある(隙自語)完璧なスケジューリングをすると乗り遅れるように飛行機はできていますからね。

 さて、万里くんの高校生離れした英語力のなさはおいておいて、ことばも文化もわからない海外で独り僻遠の車道を歩き、たどり着いた砂浜で空腹に立ち尽くすというのはかなり寂しいものがある。そんな逆境を切り開くのが音楽、笑顔、アニメってあんた、百点満点だよ。いやー、アイドルアニメでこんなサイドストーリーが描けるんだ。

 ストリートミュージシャンのオッサンがまた良いキャラで、コミカルな言語不通コミュニケーションミスも王道。語気強めの"Smile!"からの正面のアップショットでにっこり歯を見せたシーンが心に残る。

 そして特殊EDもめちゃめちゃ良い!ちゃんと海外ロケ撮影回を生かしつつ、最後の最後に万里くんが自らオッサンとファンと撮った写真で締める。その笑顔にはサングラスもマスクもあるはずがない。EDも含め、単話としての脚本の完成度がほんとうに高いわ。プロダクション名の由来、万里くんのファンとの対面交流および写真撮影、仲間内での食事から孤独な空腹を挟み、ファンとの食事で結ぶ。描いているもの全部がつながるのが美しい。

 

REVENGER

 虚淵さん、じつはあんまり見てなくて(まどマギサイコパスもアルドノアも未履修)、ほぼ覚えてないけどコンレボが好きだったなあくらいのイメージ。夏のRWBYは退屈だったけど、これはとても面白かった。質アニメと見せかけてツッコまずにいられないギャグアニメ、でもやっぱりシリアスもやるよっていうわたし好みの絶妙なバランスだった。「金箔を用いて華麗に、そして無慈悲に標的を始末する、利便事屋のリーダー。」という意味不明な公式の碓水幽烟の紹介文が、本編を見ていっそう謎に包まれること間違いなし。OPの後奏でメインキャラが画面いっぱい回りながら奥に飲まれていくの好き。

第12話「The Sun Always Rises」

 大真面目に、この作品の最高なところが全部詰まった最終回だった。幽烟さん、あのちっちゃな砂子筒で刺したり砂子吹き付けたりしても攻撃できるんだ。けっしてトンチキを忘れないながらもバトルの作画は一級品。徹破先生が倒れながらも引き絞ったままの弓のアップショットをじっくり動かしながら、弦が弛緩する瞬間は引きのショットに移って画面の左端に低コントラスト、小SEで見切れて一瞬だけ、この一連がフラグになりつつネタバレにならない繊細な画づくり。かませのトリ頭っぽい博打キャラが計算高く勝るのも良い。そしてやっぱり幽烟さんの戦闘に理解が追い付かない。対トラ戦(対トラ戦???)の優雅な身のかわし、トラさんはお池にはまってピラニアに食べられる(ピラニア?????)、気づけばポカーンと口を半開きにした鳰たそと同じ顔で画面を見ている。

 Bパート、金属音の飛び交う刀剣同士の殺陣、王道とは良いものだ。それでも邪道を目一杯詰めこむことを忘れない。主人公の生い立ちや苦悩にるろ剣を重なる部分があったのだけど、まさかの縮地(名前そのまま)や流水の動きもやってくれる。

 そんなとんでも身体能力の雷蔵が霞んでしまいかねないほどに、やはり碓水幽烟という男はやってくれる。一通りサブウェポンを披露してからの必殺技、顔面に金箔をバーン!!!、背中にマリア様をドーン!!!!!!最高のアニメです。

 罪を犯した者には、その贖罪の意識とは無関係に報いを受けてほしい、その方がフィクションとして美しいという願望をわたしは持っていて、(ハエみたいなサイズのホタルを除いて)ラストにも大満足。雷蔵は絵を描くという新しい生き方を見つけたようでいて、その実罪の意識が薄れることはまったくなかった。許嫁の恨噛み小判がありながらそれとはあずかり知らない私怨によって絶命するのも、利便事屋とは別の原理による結末で美しい。雷蔵はその穏やかな表情に偽りなく、刺された時点で救われていたのだろう。けれども、幽烟に看取られるシーンを追加することで、視聴者も遺恨なくEDを迎えることができる。最終話だけでいえば今期一だったかもしれない。

 

老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます

 山野光波殿がメチャクチャやるアニメ。そうと理解してからは毎週日曜の朝が楽しみだった。OPもいいけど、ゆるいEDも好き。お金は大事と言いつつ、あんまり執心無さそうな感じが本編にぴったりだった。

第4話「雑貨屋ミツハ」

 荒唐無稽さを楽しめばいいんだと肩の力が抜けたのがこの話。異世界でお金を稼ぐのもその手段として都で雑貨屋を営むのもまあ許したとしても、ツッコミどころを数えたらきりがない。本作ではたびたび光波殿が課題をネット検索して打開を図ろうとするが、この作品そのものがまさに中学生がネット知識だけでお話を書きました!って感じなの、狙ってやっているならすごい。独善的ながら正義感が強い、計算高くもあれば想像力に欠けてもいる、お金にまっすぐなようでかなり回り道をしていると、山野光波殿というキャラクターの絶妙なバランス感覚も光っていた。

 

明日ちゃんのセーラー服(2022冬)

 BS朝日にて初視聴。噂には聞いていたがまさかここまですごいアニメだとは。BSを導入していなかった去年はたしか黒井津さんと地上波の放送時間が重なっていて、両方の第1話を観たうえで黒井津さんを優先し、かつ配信でわざわざ視聴することもないと判断したのだった。実際1年越しの第1話の印象も似たようなものだったと思う。作画はきれい、キャラデザは好みじゃない、主人公およびその一家には惹かれない、話は面白くない。

 そのうえで、これは確信をもって言える。1年前もそのまま第2話さえ再生していれば、目の色を変えて完走していただろうと。弱いと印象づいていたキャラとエピソードが、ひっくり返った。この作品では、明日ちゃんや木崎さんのようなカリスマより、古城さんや戸鹿野さんのようなふつうの女の子の方により魅力を感じた。これ、自分としてはけっこう珍しいのだよね。それが色濃い第9話なんてほんとうに好きで、ありふれた中学生のありふれた日常、そこに明日小路という光が差すことで、ほんの少しだけ特別な青春が生まれる。過去に見てきたどのアニメのショッピング回よりも良かった。

第6話「明日、お休みじゃないですか」

 と、前置いてなんなのだが、この回を差し置くことはできなかった。好みがどうとかそういう次元を超えているのだよね。アニメをとおして作品としても作中としても他のクラスメートとは1段特別な存在として描かれる木崎さん。「ずっと私のこと見てるでしょ」というセリフから瞬時にイントロ、シャボン玉を吹く木崎さんのカットへと切り替わることで、これがこのOPの完成形なのだといきなり思わされた。OPの背景に謎空間が一切ないのって珍しいと思うのだけど、そこにどこまでも美しい明日ちゃんワールドをありのままに描くぞっていう気概を感じる。ただ容姿が優れているとか才女とかいうだけでなく、だれしもなんとなく目が行ってしまうひと。メタ的には生徒たちはもれなくアニメ的美少女絵として描かれているはずなのに、作中目線ではこの子はふつうなのだろうとか、きっとこの子は美人扱いでこの子はカワイイ系とか、なぜか伝わる描き分けも絶妙だよね。

 そんな別格なふたりが惹かれ合うのはわかりきったうえで、どう距離を近づけていくのかを描くのが腕の見せ所なわけだけれども、これがほんとうによい。明日ちゃんが家への招待を一度失敗、諦めてから、場所を移して別の話題から偶然にそれが成就する。でも、これは明日ちゃんの魅力とそれに引き寄せられた木崎さんによる必然でもある。いつだって物語は出会いによって駆動する。かさねてすばらしいのは、この展開はきっと二度とないという点。木崎さんは自ら誘う体験によってはじめて「明日、お休みじゃないですか」の意味するものを知ったわけで、それが今後は明くる休日を聞かれた時点で誘われていると察する体になった。こうしてひとは大人になっていくのだなあ。約束は赤面して見つめあった瞬間にすでに成立していて、図書館フィールド魔法「お静かに」の詠唱後、指が絡まなかったり絡めとりにいったりただただ愛を確かめあうように「楽しみだわ///」と耳元でささやく木崎さんの耳が真っ赤でさあ!!!!!!(大声)

 わずか5分に満たないこのAパートが終わり、後半も最高の時間が続く。しかしすごい作画だ……。ルーブル美術館に飾ってあるらしい一枚絵もだけど、スポーツアニメ顔負けの迫力ある映像に感嘆する。キュートな一点物の洋服を脱ぎ捨てて駆けだすスクール水着、泳ぎに入ってからは超寄りの画が続いて、それらの繋ぎの臨場感よ。それから引っかかった大物と格闘するシーン、水面レベルからアオリで撮られる華奢な背中に、奥まで引きずり込まれるんじゃないかとドキドキした。

 

Sonny Boy(2021夏)

 年始のBS11での一挙放送にて初視聴。全話とおしてOP無しで主題歌をEDとして流したり、曲ごとにクレジットできるほど劇伴がごく一場面でしか流れなかったりする奇抜さ、それに見劣りしない本編の面白さ。

第7話「ロード・ブック」

 第6話での中学卒業および漂流世界からの脱出の失敗を経て、クラスメートたちはそれぞれ漂流世界での身の振り方を選択していくようになる第7話以降。悪く言えば一学級というごく狭い世界でのごっこ遊びのようだった漂流が、一気に社会に放り出されたようで、希望以上に不安が膨らむ。それでも脱出の未来を模索し、行き着いた世界のルールに独りで抗う長良の姿に、大いに成長を感じた。200年という歳月を重ねて諦念が腹の底に張り付いたように淡々と笑顔で話す二つ星との対比がまた美しい。ここで共感するのは、長良よりむしろ二つ星の方なんだよな。社会の役に立っているのか、あるいは社会そのものが虚像なのか、思考停止して労役をこなす。そこには漂流世界も現実世界も、200年も今日一日も関係ない。「大事なことだよ、くだらないことをどこまで信じられるかが大事なんだ。そうじゃなきゃ、わっちらには何もないんだから。それだけだよ。」

 

映画大好きポンポさん(2021春)

 これも年始のBS11での特番にて初視聴。長大な物語を90分というわずかな上映時間に切り詰めるという作中のストーリーが、作品のテーマとしても色濃く反映された傑作だった。

 ごく個人的な体験として、大学1回生で受けたある一般教養の記憶がよみがえった。名作実写映画をここのトランジションがどうのカメラワークがどうのと映画芸術ないし先生のうんちくを挟みながら鑑賞するものだった気がする。今度はこの作品を教材にしたらいいんじゃないかな。

 

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021春)

 水星の魔女が想定外に面白く、同じMBSの日5枠を引き継いで30分ずつ分割してTV放送されたこれも見た。映画公開前だったか、比較的最近にYouTubeで無料公開された逆シャアを見ていたこともあってか、ちゃんとはわからんけど面白くてすごかった(こなみ)。だれが善で悪でというわけでない戦争、登場人物の知性ある言い回しが、オトナのアニメって感じ。

 

魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~(2020夏)

 TLでの評判が良く、2期放送ということで履修する機会をうかがっていた作品。いまは亡きGYAO!で1月にやっていた無料一挙配信にて視聴。燃えと萌えとシュールギャグと人徳が高水準かつバランス良かった。思っていたよりずっとキャラが死なず、これは緊張感より安心感を持って見る作品なのだと理解した。

第2話「破滅の魔女」

 きりもみしながら吹っ飛んでいく城の絵面はたぶん死んでも忘れられない。このワンカットのみで選出に十分だった。

 

虚構推理(2020冬)

 秋のBS日テレでの再放送を録画だけしており、冬になってから消化した。2期の放送が控えていることを知りながら、多すぎる秋アニメの脇に積みっぱなしだった。視聴こそ遅れたものの、さすがの話題作でとても面白かった。推理モノの醍醐味である探偵役を通じた真実の解明を、丸々読者から取り上げてしまうという構造の転換よ。こういうのって初めからセオリーを分析してそれを壊す前提から話を考えないと創りえないと思うのだよね。良い意味でいかにも小説原作っぽいというか、作者はさぞミステリが好きなんだろうなと想像する。

 鬼頭さんって人気の割にパッとしない声の印象があったのだけど、演技派だね。長尺のセリフ回しがするりと入ってくるし、琴子の小柄でいて威厳を秘めている雰囲気が創出されていた。美少女もたれかかるタイトルロゴカットインOP好き。

第11話「最後の虚構」

 無難に鋼人七瀬の解決話をチョイス。4つの推理の中で最もありえないだろと突っこみたくなるものが最後に語られて信じられてしまうの、逆にらしい。あくまで視聴者としては冷静に、それらが虚構であることを知っているからこそ、この奇なる展開を否定しようがないのだ。面白がられる虚構を打ち崩すには、それ以上にウケる虚構をでっちあげるしかない。もはや未来を決定するためというより画的な華やかさを失わないために死に続ける九郎くん、ご愁傷様です。

 筋の通った説明というのは、幾通りも用意することが可能で、じつは筋が通ること自体は真相とは関係がない。真相を語るあるいは騙るために必要なのは証拠だが、亡霊が犯人という証拠の出しようがない真相によって作者は先手を打っている、これもうまい。同時にこの世界観は妖怪を使って証拠を偽造することも容易という脆弱性もはらんでいるが、それはきっと岩永琴子が秩序を守る者として許さないだろう。

 

アイドルマスター シンデレラガールズ 2nd SEASON(2015夏)

 BS11の再放送にて前期の大一期に引き続き再視聴。秋の感想でも書いたけど、デレステモバマスとゲーム面からそれなりにIPに浸かる経験をしたいまあらためて見て、こんなに良い作品だったかと驚いている。一番好きなアイドルアニメが更新される折はわたしの人生ではもう訪れないだろう。

第20話「Which way should I go to get to the castle?」

 クローネといいTPといい常務が有能すぎる。やっぱりシンデレラガールズはクールなんですわ。U149にも出張して第3芸能課をめちゃくちゃにしてほしい。

 「Trancing Pulse」をレッスン室で歌い始めたときの胸の高鳴り。懐古厨だと言われようが、あらためてこのころのデレマスは名曲ぞろいだわ。他でもないクローネへの参加を渋っていた凛が、体験によって心変わりするのが熱い。「新しいことを考えるのが苦手」と言う卯月はけっして変でも何でもなくて、未知とは考えるのではなく、他者との衝突によって感じるものなのだよね。現在で190人というアホみたいな数のオリジナルアイドルを好き勝手に組み合わせるソシャゲ原作のアニメとして、うまいこと物語にしたとわたしは思う。

 もうひとりのクローネ参加者となるアーニャの背中を押すきっかけとなったのが、CP内でユニットを組んでいた美波のことばというのも、NGとは対照的で面白い。プロデューサーが凛にクローネ参加を認めたのはレッスン室での凛の新しい笑顔が決め手だったのは違いないけれども、アーニャの挑戦を後押しする面談のシーンの挿入が、またその心境の一変と成長ぶりにワンクッション置くかたちになっていてうまい。私色ギフト回ほかとも迷ったけど、蒼さには勝てなかった。

 

六花の勇者(2015夏)

 BS松竹東急の再放送にて初視聴。パーティーを組んで魔神討伐するストーリーなのかと思っていたら肩透かしを食らったけれど、それはそれとしてとても面白かった。アクションシーンは七人七様な戦闘スタイルの描き分けで見応え十分。それから構図にキャラクターの心情や場の雰囲気が乗っているカットが多かった印象。

第8話「凡人と天才」

 アドレットとハンスの交戦シーンが圧巻だった。寄りと引き、アオリとフカン、動と静、肉弾戦と武器戦と舌戦。ハンスは天才のひとことで片付けては惜しい魅力的なキャラだったね。

 

ラブライブ! School idol project (第2期)(2014春)

冬の第1期に続き、BS日テレでの再放送にて初視聴。2期でも相変わらずこの絵面この展開スパスタで見たわ(視聴順が逆)と満面の笑みを浮かべる連続。一緒に過ごした時間が増えるにつれて、どんどんμ'sのみんなを好きになるね。唯一知っている曲だったスノハレの披露は、ここで来るのかと腕組みして見ていた。

第4話「宇宙No.1アイドル」

 メンバーのだれを抜きん出て好きになることがないというのがわたしの困りごとで、μ'sにおいても例外ではなかった。それはそれとして矢澤にこは好きだしこの話は最高に笑って泣いたね。デレマスと違ってこちらはグループありきのアイドルで、その要素をうまくアニメに落とし込んでいたように思う。冒頭の予選結果発表のシーン、花陽「みゅ~」からの全員「みゅ~」がギャグとして光るのも、雁首揃えてすぼめた口の形をやっている力が大きい。単独のアップより引きで複数が写るショットの方がうれしいアニメだ。唐突な3人の妹弟の登場による徳井青空劇場も見事な道化だったが、なにより個人回がグループの一員としての夢の発現に帰す構成が美しい。ソロMCからのソロEDはほんとうに感動ものだった。

 

思い出のマーニー(2014夏)

 1月の金ローにて初視聴。アニメがうますぎる。最近の(といってももう9年前なんだ)ジブリってこんなにすごいんだ。深夜アニメの食わず嫌いをやめるよう意識するようになり、逆張りであまり見てこなかったジブリ映画についてもTV放送があれば録画するようになった。入江の海水のリアルでいて幻想的な表現、それから本筋とは関係ない公園の園児集団の天衣無縫っぷりがとくに印象に残っている。

 

涼宮ハルヒの憂鬱 (2009年版)(2009春)

 BS日テレの再放送にて初視聴。名前は当然知っている古典、テレビ放送されるなら録画はしておくか程度の心持ちだったが、いざ見ると令和でも頂点を取れる面白さとキャラクターの強さ。やっぱり名作と評されるものは時代を超えて名作なんだなというのが最近の発見。独特というかこの時代の萌えアニメの特徴なのか、キャラごとの表情のパターンが絞られている印象を受けた。そういえばハルヒといえばこの目の形と口の形だよなみたいな。内面にしても表情にしても、記号的に個性的に尖らせるというのがトレンドだったのだろうか。2クール目の春が終わったらまた感想を書こうと思う。

第3話「涼宮ハルヒの憂鬱III」

 男女混合の部室で着替えに遭遇する萌えアニメしぐさ。ろくな予備知識なく見たので、続々と明かされる団員の正体に「そうなんだ!」と素直に驚いていた。長門、朝比奈さん、小泉の順に説明がよりわかりやすく、補強する構造になっていて、パターンに飽きずに見ていられる。これはたんに各のセリフ内容によるところだけでなく、長門でいえば本人のリアルタイムの早口セリフとはずれた文を画面に矢継ぎ早に挿入して情報過多に陥れる演出なども合わさって効いている。朝比奈さんの語りの裏では穏やかな音楽と景色、「禁則事項です」というえっちワードでデート気分が抜けないし、一転小泉パートでは徹底した対話形式でキョンが聞き手、質問役として機能している。あえて伝わらないコミュニケーションをするというのが、創作の世界では大事だと感じている。これはアカデミックの世界では厳禁とされるやり口で、曲がりなりにもそこで教育を受けたわたしにはなかなか難しい。ブログでも作為的に使い分けできるのが理想なのだけども。

 

ハウルの動く城(2004秋)

 1月の金ローにて初視聴。これももう18年以上前なのか。ストーリーやキャラクターにはあまり惹かれなかったが、音楽がとても良かった。いつかピアノで「人生のメリーゴーランド」を弾きたいなと思い、あるオタクの薦めていたこの楽譜を買った。おそらく練習は当分先になるが、付属CDの模範演奏が鑑賞物としてもすばらしい。

 

総括

 6月19日現在、最初の感想の公開から全部書き終えるまでに2ヶ月以上を要し、春アニメそのものがどうだったというより、その感想文からようやく解放されたという気持ちしかない。とりわけ年始に見た旧作の感想を先延ばししていたのが良くなかった。一方で、新しく試みた単話選出方式は、時間こそかかるが良い振り返りになったのではないかと思う。夏アニメではこの反省を生かし、すでにちらほらと出ているが、最終話を迎えた作品から順次てきぱきと感想を書いておきたい。

継続は怖い

 継続は難しい。インターネットの住人には長年何かを続けている人がたくさんいて、ずっとそうした人たちに憧れがある。個人サイト、アニメ実況、ゲーム、絵、音楽、学問、運動、何でもいい。アーカイブスが10年以上あるブログを見つければ、それだけで尊敬の念を抱くものだ。

 辞めてしまったことの方がずっと多い人生、この1年もいろいろと辞めた中で、いまとこの先何を継続しているかが大切だ。このブログもようやく1年になる。開始当初の月2本くらいという目標は早々に折れたものの、月1本は守って四季をめぐることができた。実のところ更新頻度自体はさほど重要ではなくて、継続のモチベーションとして月次ノルマはうまく機能したようだ。寂しいことに、楽しいとか好きとかいった気持ちには経年変化と波がつきもので、継続と相容れない。必要なのはシステムとしての習慣。どうもわたしの中の完璧主義者が不満を垂れてくるが、力の入っていない記事こそ、未来の情熱が逃げないようにしてくれるのだ。

 11月に届いた電子ピアノの練習記録をnoteでつけているのも、やはり三日坊主にならないためという思惑が大きい。サービスを利用してから知ったことだが、noteには前回の投稿から何日経過したか目に付くようにデザインされている。内なる声投稿頻度を決めるのはお前じゃないんだよを抑え込みつつ、毎週日曜に記録を上げると心に決めている。

 話が脱線するが、noteはブログとSNSの中間というか、長文、独語ベースのSNSといった使用感である。カスタマイズ性に乏しい統一的なプラットフォーム、良くも悪くも開放的で、赤の他人の記事がサジェストされ、サービス内で完結したフォロー機能もある。検索下位に埋もれるようなありふれた人間の日記やエッセイをとにかく数読んでもらう、あるいは読むなら優れたサービスに見える。あまり思い至らなかったのだが、たとえばTwitterならTwitterをするためだけにTwitterをしている人間が多い(わたしはインターネット人間を結ぶハブとしての、個人サイトでいうところのトップページとしての役割もTwitterに求めている)。そういった他のSNSで閉じたブログ記事をわざわざ共有するよりも、最初からSNS機能が付いたメディアプラットフォームに投稿する方が効率が良いだろう。

 さて、アニメとTwitterは、辞めたり再開したりを経てのこの1年だが、この先はどうなるか。前期から感想をブログに簡単にまとめるように決めたものの、今期の冬アニメが終わり始めたこの頃、正直気が重いです。アニメやオタク趣味のツイートに限らず、フォロワーの生存には救われている(Mina de Ganbarone)。

 そもそも、なぜわたしは継続を特別視するのだろうか。それが困難で珍しいからというだけではないだろう。継続と少し異なる概念に、経験がある。人間は過去の生の延長によって形作られているという主張は、あくまで部分的に正しいと思っている。なぜなら現在のすべては過去から生まれるが、過去のすべてが現在に重要なわけではないためだ。たとえば、だれかと懇意になったきっかけが1年前の会食だったとして、そのときの料理は他のものでよかったのかもしれない。反対に、会食相手とは以降一切の縁がなく、一方で料理店の方を気に入って通いつめるようになるケースだってあるだろう。あくまで偶発的に、部分的に現在のわたしに引き継がれるもの、それが経験である。

 わたしはかなり自己肯定感が強い方の人間だと思っているのだが、一方で昔の自分ができたことやした仕事にはあまり興味がないというか、どこか他人のことのように感じる気質がある。まだ20代で老化などと口走るのは安易とはいえ、精神力や体力も含めて学生時代はもっとこんなことやあんなことができたよなと思うものは多々ある。いまは違いかつ再び努力するつもりもないなら、それに執着しても滑稽なだけではないか。昔取った杵柄、マッスルメモリー、経験がブランクを経て身を助けることもある。だから過去を捨てるわけではない。ただ執着はしない。

 不確実性をはらむ単なる経験に対して、現在、未来と直結するのが継続だ。いまできること、将来できるようになること、それらに思いを馳せるのが、人生のささやかな楽しみである。それらはまもなく過去の、興味のない対象となってしまうものであると同時に、日々その先が更新され続けるものでもある。

 ここまで、いかにも能力主義のようだが、わたしにとってかならずしも成長や出来の良さは重要でない。何も為さないには長すぎる人生、何かを成すには短すぎる人生、ならば何も成せなくとも何か為すしかない。このブログのタイトルを決めるとき、チェーンの古本屋に並ぶカラフルな実用書棚を見て、何かの役に立つことを目的としない、自己満足な文章の集まりの場にしたいと思ったのだった。漢字三文字で堅苦しい、自分のお気楽なパーソナリティーとかけ離れていると感じもするが、いまでもそれなりに気に入っている。HNのi-i-i-i-iに対して、o-o-oなのも良いよね(自画自賛)。

 親や学校から離れることでようやく、すべてをがんばる必要はない、それと同時に何をがんばるかは自分で決める必要があると気づいた。継続というと、強制力のある労働に懸けるのもひとつだが、変化の激しい時代で需要に応じて柔軟にアップデートしながら身を入れるのはやはり気が進まない。ほんの1年前までは、AIに奪われないクリエイティブで高度な仕事をしましょうと言われていた気がする。昨今そう聞いたとしてほとんど懐疑的である。労役せずに食える世になるならそれに越したことはないが、そうでないならしかたなく日銭だけは稼ごう。AIが曲を書いて機械音声のみで収録をする世界で、わたしのピアノは稚拙に響くだろう。しかし、指先から伝わる鍵盤の感触と耳へ流れ込む音色との合致による快感は、わたしが弾くことによってしか満足されないものだ。

 また来年、この文章を読むのが怖い。そうしてこの恐怖は継続を辞めるまで永遠に続く。

う○この重さを計る

 多かれ少なかれ、ひとはだれしも自分の中に誇らしく思う部分を持っているでしょう。いまのわたしにとって、そのひとつが毎朝規則正しく排便があること、およびその量の多さです。これは職業がら便秘に悩む高齢者と大量に接していることとも無関係ではありませんが、なにより排便の快楽はいちアニマルとしての根源的なものです。便座の上で浮かべた恍惚の表情は、立ち上がって振り返った瞬間に微笑みへと豹変します。食べるという生態は、通じるという真に生産的な所為によって完成するのです。ここに、生みの苦しみなる精神錯乱は在りません。

 ……とまあ、簡潔に書き直せばわたしは自分のう○こに誇りを持っているのですが、毎日便器を覗いていると疑問も生じてきました。これは本当に多いのか?と。身も心もすっきりするべく、実際に質量の計測を行うことにしました。

 「排便量 日本人」で検索すると、一般的には 100 g だとか 200 g だとか出てきます。が、あくまで通説としてであって、実測の結果があまりヒットしないのですよね。考えられる原因としては、そもそも排便質量の定量という発想に研究者でもなければなじみがないことでしょう。排泄行為における秘匿性の高さ、排泄物の携帯性の悪さも、計測を困難にします。国や地域レベルで大規模に(無作為に)調査することは不可能に近いでしょう。

 しかしながら、学術的な意義はともかく個人として計量することは、思い至りさえすれば存外簡単なことに気づきました。用意したのは家庭用のはかり、百均の樹脂製の手桶だけです(図 1 )。はかりは ±2 、3 g 程度の精度があれば十二分で、大手の通販サイトで 1000 円前後のデジタルスケールが容易に見つかるでしょう。

図 1  はかりと手桶

 手順としては、清潔のために手桶にトイレットペーパーを数枚張っておき、片手を肛門横に構えて便座のやや前の方に座り、手桶で便をキャッチするだけです。わたしはアパートの洋式便器で行いましたが、手桶の大きさが適当であれば和式でも同様に実施できるでしょう。計量したあとは紙ごとトイレに流し、必要に応じて手桶とはかりを洗浄、これで片付けも終わりです。衛生的には便計量専用のはかりと手桶を用意するのが無難でしょう。便性状が水様・泥状で飛び散る、あるいは便秘ぎみの硬様でいきむのが辛いというひとには多少手間かもしれません。

 さて、 2023 年 2 月 12 日から 25 日までの 14 日間、継続して筆者( 26 歳、男性)自身の便の質量を計測しました(図 2 )。最大値は 512.5 g 、最小値は 307.0 g 、平均値は 419.8 g でした。これは、先の通説と比較して有意に多く、誇りを裏付ける結果となりました。 1 日の排便回数は期間中いずれも 1 回で、すべて朝食後の便意に伴って発生しました。

図 2   2 週間の排便量の推移

 期間中のすべての便について、性状は半練り状もしくはバナナ状、ブリストルスケールでいう 4 の普通便に相当しました。また、便に含まれるひじきの残滓と排便前のひじきの摂取タイミングから、便における食物残滓構成は主に前々日の昼食から前日の朝食、すなわち経口摂取から排泄までの時間は 24 から 48 時間程度であったとわかりました。これも正常な排泄時間といえます。

 こうして、現代人としてはわたしは驚異的な排便量であることが定量的に示されました。ネットには途上国や戦前の日本でも 400 g ほどの排便をしているとあり、世界でも戦っていける我がう○こにいっそう自信を深めることとなりました。でも、

オレはこのくそブログを読んでいるお前とも闘いたい…

挑戦を待っています。

 ちなみに、排便量は食物繊維摂取量と関係があるとかないとか。すくなくとも生活習慣病の予防との関連は広く支持されているようで、厚労省は成人男性の目標量を 1 日当たり 21 g 以上としています(日本人の食事摂取基準 - 厚生労働省)。計測期間中のわたしの典型的な 1 日の食事における食物繊維総量は 69 g でした(図 3 )。ただし、日本食品標準成分表(食品成分データベース)にないみかんの皮やコーヒー粉等で、実際の摂取量はこれより多いと考えられます。はい、わたしはカレーに何でも突っ込むあほうです。

図 3  筆者の 1 日の食事

hibihinichi.hatenablog.com

 こうしてこの折にちゃんと計算してみると、繊維だけでなくアスリートみたいなタンパク質の量にも驚きました。今回たまたま安かった大量のじゃがいもが別の野菜に置換したり果物に季節ムラがあったり魚がたまに入ったりする程度のバリエーションはありますが、普段から基本的に大豆の水煮とオートミールとカレーライスと目玉焼きとひじきと果物ばかり食っています。

 ほかに快便にダイレクトに効いていると感じるのは、胃結腸反射です。夕食を早めに済ませてよく眠り、起床後は水をコップ 2 杯飲んで、朝食をゆっくりたっぷり取る。すると、しぜんに心地良い便意を催します。食事内容にかんしては自らの異端さを自覚しており、真似してお腹を壊すひとがいても責任は取りませんが、胃結腸反射の方は信じてください。

 以上、自己満足 9 割の記事でした。残りの 1 割は読者の快便ライフを願っての想いによるものです。便通の追究は、筋トレやサウナに続く新しい習慣になり得ると思うのですよね。センシティブな写真を上げる必要もない、数字で称え合うストイックな勝負、う○こ質量バトル、やろうぜ。

2023/2/15

 習慣というほどのものでもないアニメのウェブラジオを聴きながら、親指部分に穴の空いた靴下を手縫いで補修している。人生で初めて足を通した五本指靴下、いつ買ったのだったかと家計簿を開くと去年の9月16日。5ヶ月というと、恋人との交際期間としても短い方ではなかろうか。3足セットで1100円を2セットの6足。リンクス梅田のゼビオで見つけたスポーティーなタイプで、たしか「従来品の3倍の耐久力!」といった文句が並んでいたと思う。実際、値段の割にしっかりとした生地で、初めての五本指に満足げだった。以降、6足でローテーションしている靴下の、何度目かわからない補修である。

 我ながら物持ちが良い方で、親元を離れてからもろくに衣料品を買った記憶がない。それはファッションどころか身だしなみに不精なだけだと指摘されればしかりだが、靴下も例に漏れず、半分が中学生のころから履いているような年季ものだった。それが働き始めてよく歩くようになったからか、頻繁に穴が空くようになった。ついでに、これまでいかに歩かなかったかも知った。ゴムの伸びきった骨董品をわざわざ手直しする道理もなく、10年の歳月をかけてようやく履きつぶすことになったわけだが、その限界が来たのが5ヶ月前ということになる。労働先の後期高齢者の足の指の多様で豪快な変形っぷりは転倒やむなしと納得させる造形で、四半世紀続けてきた先丸から五本指へとスタイルチェンジする勇気を与えてくれた。後日、南ことりちゃんが「五本指ソックス 気持ち良い」と作詞していた。そのとおりだ、と思った。

 されど、穴は空いた。6足もれなく空いた。ゴムの引き締まった、従来品の3倍の耐久力の、洗濯ネットに入れて洗っていた、履くと気持ち良い五本指靴下の親指部分に、つつましく空いた。捨てた靴下より歴史のある裁縫セットの埃を払い、穴を埋めた。爪が長いせいかもしれないと、ネットに書いてあった。爪を短く切った。

 埋めた穴の隣に、また空いた。もっと周囲まで補強しておくべきなのかもしれない。簡単だった補修も、穴が広がってくると、見た目の変化以上に手間が増えた。教養番組で深爪への警告を聞いた。大学の一般教養のサッカーで出血した日の前日も、爪を切っていたことを思い出した。

 アイロンを買おうか迷っている。接着芯という熱でくっつく布があるらしい。これなら針無しで手早く補修ができる。しかし、削ろうとせん手縫いの時間が惜しくもあるような気もする。アニメのウェブラジオというのは少し退屈で、こうした無駄な時間がありでもしないと流せない。針の往復は手と目を縛り、残された耳に冗長な話が流れ込む。穴が塞がるよりさきに、音楽が止んだ。

ラブライブ!スーパースター!! Liella! 3rd LoveLive! Tour ~WE WILL!!~<大阪公演>

 1月21日、22日の2日間、ラブライブ!スーパースター!! Liella! 3rd LoveLive! Tour ~WE WILL!!~の大阪公演に参加してきました。半年ぶりの大阪城ホール、2度目の現地の感想をレポートします。今回もアップまで1週間かかってしまった。

hibihinichi.hatenablog.com

ステージと座席

 多少うろついた半年前に対して、今回は一切の観光やコラボグッズ購入なしで現地に直行しました。寒いし地元でいつでも行けるしね。食事も家で食べてから行って帰りも直帰、その点ではイベントに参加した感はないかも。

 さて、両日とも10分前くらいのギリギリの入場。反省はあとでまとめて書きますが、とくに初日はバタバタでした。バックで流れる2ndの大トリを飾ったユニゾンに郷愁を覚えます。

全然撮る余裕なくて写真これしかなかった。

 ステージはメインとセンター、それに今回はトロッコがけっこうな曲でありました。その分かセンターステージはあまり使われなかった印象。2ndよりメインステージが1ブロック分ほど手前に来ていて、席数が絞られている印象です。チケット争奪戦にならないのは助かるけれども、好きな作品だけに寂しいね。曲とライブパフォーマンスは最高なので、アニメ3期はもっとがんばってファンを獲得してほしい。

ステージと座席(座席表 | 大阪城ホールより借用、一部改変)。

 座席は前回と同じく両日スタンドでした。方角も似たようなもの。前回と異なるのはトロッコでキャストが近くまで来ることです。ただ、そのトロッコの東西方向の通路がスタンドに近すぎるのですよね。スタンド席の傾斜の延長線上より手前側を通過するせいで、Day1は一番近くに来たタイミングで前列の席の陰になってキャストがまったく見えませんでした。これは明確な不満点ですね。アンケートでも伝えました。

 一方のDay2の席はステージ正面のブロックで、手前の機材スペースのおかげで通路が近すぎず、ばっちりトロッコが見えました。キャストと目が合いまくりの手振りまくりで最高でした。前方かつ隣が階段の端席で、アリーナ席含めても上位10%に入るような良席だったのではないかと思います。それはそれとして一度はアリーナ席を体験してみたい。座席の違いによる体験の違いへの期待も込めて両日買っている側面もありますからね。

 センターステージの柄は朱とクリーム2色の大きめの乱形石張りで、「WE WILL!!」のステージがモチーフですかね。CDジャケットだったり公演タイトルロゴだったり、ペール調の平面充填が「WE WILL!!」のデザインの特徴のひとつのようですね。

 メインステージは大きく3段構成。手前の下段、それが数段の階段で狭い中段と接続され、中段に備えてある左右可動の階段でさらに上段に接続します。バックのメインモニターはひとつの巨大な光る額に収まっているような見た目。建物感のあった2ndのセットとは対照的。角にふくらみのある柔らかい線の外形といい内部を走る脈といい、マルガレーテの蝶がモチーフでしょうか。可動式の階段もイルミネーションのように光るし、上段の壁面もモニターになっているし、全体にピカピカしたステージ。もっとも、ライブステージとは概して全体にピカピカしているものでしょう。

セットリスト*1

オープニング

 メインテーマとともに、モニターには宇宙を流れる一筋の星が映し出されます。メンバーの一枚絵が順にカットイン、かのんに始まり9人目に夏美、いよいよ開幕です。

M01 WE WILL!!

 順当なトップバッター。アニメと同じ衣装に身を包んだキャスト9人がメインステージに集結。MCでのんちゃんも言っていましたが、リリイベにテレビ出演にと、1期曲も含めて最もたくさんのステージを観た曲かもしれません。サビ前でクルっと回って手を突き上げながらピョンっと小ジャンプを入れるのが好きすぎる。

M02 スター宣言

 リリイベで大きく評価の上がった曲。イントロにてライブスタートのシャウトで大阪と間違えて「ほっかぃ…」と言いかける伊達さゆりさんありがとうございます。メインモニターにはカメラ映像の周囲にアメコミ風のビビッドな吹き出しのビジュアルで雰囲気を盛り立てます。やっぱり皆で合わせるクラップは楽しい。

MC①

 コーレスわからなくて声豚ぢからの不足を感じます。ネタバレ自衛もあるけど、他のアニメ視聴で忙しくてラジオや生放送の履修をサボっていました。Day2、ステージが鉄板に見えてきたからの雁首揃えてたこ焼きなりきりからのなこちゃんによるひっくり返しは面白すぎてずるい。

M03 Welcome to 僕らのセカイ

 放送当時、アニメ1発目の挿入歌としては弱いなと思っていましたが、聴けば聴くほど先輩が挑戦を後押しする歌詞に愛着がわいてきた曲。初日は1サビ前で上手から顔を出したのんちゃんをあっさり見逃しました。ラストに舞台照明がイエローに変わり、1期生がのんちゃんに手を差し伸べる演出がにくい。

M04 Butterfly Wing

 ほっこりしたところで唐突な謎インスト。赤青黄と目まぐるしく変化する照明にパニックです。まさかこのタイミングで新曲?あるいは履修に抜けがあったのか?混乱している間に曲が終わって拍手が起こります。しばらくしてアニメ映像の開始とともにウィーン・マルガレーテ役の結那さんがメインステージ上段に立っているのを見て、ようやく腑に落ちました。ゲスト出演のことすっかり忘れていました。

 代々木スクールアイドルフェスでのLiella!の追体験をしたくて、マルガレーテの曲はあえて聴かないでおいたのですが、歌はうまいしダンスは優美だし顔は良いしで、そら勝ちますわ。

 イメージカラーはCDジャケットのような淡い青をイメージしていたのですが、恋のサファイアブルーでブレードを振っている観客がほとんどでした。サニパのゲスト出演の際もおそらくそうだったろうけど、別のメンバーカラーで代用するのが標準にならざるをえない状況には釈然としない。ゲストとはいえこのツアーではマルガレーテも全出演するのだから、公式ブレードに追加するなりケミカルライト配布するなりしてほしい。

幕間① アニメ映像

 着席給水タイム。第3話の敗北を受けてのLiella!の面々。この辺りでかなり愚直にアニメ2期をなぞるのだと察しがつき、自ずとセトリの全貌も見えてきました。

M05 Go!! リスタート

 ということでこの曲も当然の流れ。アニメどおり6人でメインステージから花道を駆け、初めてセンターステージにやってきました。それにしても衣装がかわいい。イメージカラーを交換した髪飾りひとつで印象が変わるものです。正面にDay1はペイちゃん、Day2はのんちゃん、手をいっぱい振ってもらったぜ。Twitterではキャストに認知されないよう努める硬派アカウントでやらせてもらっているのでふぁぼりつは控えたのですが、ブログに貼るのはいいですか?(いいよ)やったー!

幕間② アニメ映像

 リエラのうたイラストの遊園地で遊ぶ無声アニメ。ゴーカートが恋とメイだったり、迷路が可可千砂都四季チビだったり、まさかの新規映像でびっくり。集合写真で2列目センターに陣取るチビ許せん。ラストで空に上がる緑と青の風船はすみ恋匂わせか?

M06(Day1) パレードはいつも

 ここからはリエラのうたが続きます。衣装は年越しのCDTVライブライブで着ていたものですね。リエラのうた用だったんだ。

 Day1とDay2とで異なる選曲だったので、まとめて順番に書きます。まずはDay1、やぶくまによる「パレードはいつも」です。トロッコがフル活用。右と左に分かれ、1番の間にメインステージ側からゆっくりと機材スペースの方まで来て合流、入れ替わります。初めはくまちゃんが舞台向かって左で近い方でした。先に書いたように、肝心のブロック正面に来た時に前の席で全然見えない問題が深刻。それはさておき、観客がブレードの色をそれぞれのキャストに合わせて、これがまたきれいでした。花道を境に紅白で真っ二つに分かれ、本当にパレードのよう。ラストはセンターステージでまた合流。

 振りは上半身だけの簡素なもので、ダンスより歌唱とファンサービスに重心が置かれています。リエラのうたはツアーが終われば披露する機会も激減するだろうし、うまいトロッコの使い方だと感心しました。Liella!のリアルイベントは前々から過密すぎて、キャストの体調が真剣に心配だよ。

M07(Day1) 迷宮讃歌

 これ、アニメもだけど曲がとにかく好きなんですよね。絶対にやってほしかった一曲。メリハリのあるリズムとメロディー、迷路のモチーフから逸脱することなくメッセージを伝える歯切れのよい歌詞。恋の歌声はさすがですが、夏美もやるねえとなった曲でもあります。いろいろな楽しませ方を提供してくれるので忘れがちですが、大好きな曲を爆音で聴くのがライブの醍醐味ですからね。今度はトロッコ不使用で、メインステージオンリー。1番をステージの両端で分かれて踊っていたのが迷宮っぽくてグッド。

M08(Day1) Dreamer Coaster

 こっちはまたトロッコの出番。センターに戻るタイミングが早くて、その分トロッコのスピードも速めでした。今まで考えたことがなかったのですが、トロッコの周囲ってスタッフがぞろぞろいるのですね。モニターや記録用の映像を撮影する人もいれば、そもそもトロッコを押し引きして動かす人がいないと動かないんだ。

M6(Day2) プライム・アドベンチャー

 かわってDay2、やぶくまえもトリオによるステージ。幕間明けから紅白に灯る会場のブレードに、まさか連日で同じ曲をやるのかと疑ったものの杞憂でした。膝を高く上げて闊歩したくなるようなビートがよいですね。

M07(Day2) エンドレスサーキット

 トロッコがフル稼働。正面スタンドブロック前方席の恩恵にあずかります。1番の尺をじっくりと使って下手側からにじり寄ってくるりーちゃん。26年に一度の最接近イベントです。幾千の光が揺れる宇宙の中で、そのとき彼女はわたしだけを見ていました。振動バイブレーションは静かに頂点に達しました。

M08(Day2) 駆けるメリーゴーランド

 直前の印象が強烈で正直あまり覚えていません。じゃんけんで負けて悔しがるLiyuu、『スピンして』の歌詞を飛ばすLiyuu、キャストで一番好きなのはペイトンのはずだが、おかしいな…。

 画としてはあまり思い出せないのですが、音としての記憶はたしかにあって、要所で下を歌うなこちゃんのハモリがきれいでした。CDのソロより今回のツインボーカルの方がずっとよいかもしれない。

幕間③ アニメ映像

 妙に落ち着いた心境で迎えた第4話から第6話のダイジェスト。科学室で溶け合うふたり、必然巻き起こる拍手。個人的には第6話の夏美が1年生組に発破をかけるシーンも2期屈指の名場面だと思うのですが、静寂の中ひとりで手を叩く勇気はありませんでした。

M09 ビタミンSUMMER!

 専用衣装に着替えて、MCぶりに9人がメインステージに集結。アップで見られるアニメでの各キャラの個性的な振付が印象的でしたが、ライブにて引きで見るのも楽しいですね。フィーバー一辺倒でなく、曲中に盛り上がりの波が仕組まれているのも重要に思います。流行りのことばで言うところのチルアウトタイムでしょうか。そして決めるところはしっかり決める。クラップ煽りもそうだし、サビのヘブン三連星での両手ブラブラ、1番だけじゃなく全部でやってくれるのがうれしい。

M10 POP TALKING

 マゼンタの舞台照明に照らされて、ドム、ドム、ドムと地鳴りするビート、何だこの曲は思うのも束の間、CDの編曲に戻り、耳になじんだ軽快な歌い出しが聞こえてきました。キャストは4つのトロッコに分かれ、メインステージから離れていきます。直接のファンサももちろん欠かさないのですが、リエラのうたと違って同じトロッコに2人ないし3人で乗っていて、それぞれでずっといちゃいちゃしています。さゆなこ、のんえもなぎ、やぶくま、りーペイの組み合わせだったかな。アップのモニターも見たいし、目が足りない。崩してラップを歌うペイちゃんがかっこよかった。どんなジャンルも歌いこなす歌姫ですが、日経エンタテインメント!の取材でもライブで楽しみな楽曲として挙げていたし、本人の好みが出ていますね。

M11 ユートピアマジック

 トロッコそのままの流れで次の曲へ。相変わらずどいつもこいつも終始いちゃいちゃしてやがります。本当にありがとうございます。自撮り棒を使った演出には、2ndの「水色のSunday」を思い出しました。それにしても、こういうシンプルなポップミュージックがツボで、聴いていてじつに心地が良い。難度の高いダンスも魅力的な一方で、こうしてサビで一緒に大きく手をワイパーさせるのも代えがたい楽しさであります。前曲とは反対に正面スタンド側からメインステージに戻る導線で、1サビのペイちゃんのハイトーンが間近で聴けたのも役得でした。

M12 Chance Day, Chance Way!

 挿入歌なのにアニメ幕間入れないんだ。衣装もビタサマのものが続投。CDTVで専用衣装じゃなかったので察してはいましたが、未作成っぽいですね。素人目にもあまりに歌うことを考慮していない振付でキャストの負担も大きそうだし、特段の人気もなさそうだしで今後のライブではレアになりそう。ただ、個人的にはアニメ8話のこの曲までの流れはけっこう評価しています。シリーズに1曲くらいはこの手の奇抜さがあってもよい。大阪の高校生がその夏に地車だんじりモチーフのダンスで大会を優勝したニュースがあったことも、現実とのシンクロを見て興奮に作用しました。

 心配していたパフォーマンスですが、音響もあってか歌唱はとても良かった。1番は中央モニターとの連動もしやすいメインステージで踊って、それから花道、センターステージと縦の動きを入れるフォーメーションも、会場の制約の中で原作再現をしていて満足。あとはアニメみたくアオリで観られたら最高なのですがね。一生に一度はセンターステージ真正面のアリーナ席で、なこちゃんの飛び上がりからの見得切りを拝んでみたい。

MC②

 センターステージでのMC。ローアングル眼福。曲が続いたところでキャストも観客も一息つきます。ただ、両日とも周囲のオタクはここ含め全MCで立ちっぱなしで強かった。幕間が多いのもありますかね。

M13 揺らぐわ

 イントロから真っ赤に染まる会場で、初めてこの曲がメイセンターだと認識しました。アニメのメイはかっこよくよりかわいく描かれている印象で、やはり新鮮。そもそも今回の披露までちゃんと聴いていなかったと実感しました。1期生のパートが極端に少なく、挑戦を前向きにとらえるLiella!の他の多くの曲の中にあって異色な歌詞。今回のセトリでは後半の1発目として、ライブ全体をぐっと引き締めるポジションであったように振り返ります。

 振付も動静にキレがあってかっこいい。絞って落とした照明が強く、テクスチャよりシルエットが際立ちます。1サビでひとり中央に立つやぶちゃん、間奏でドミノ倒しの要領で順にしゃがんでいき最後に残るやぶちゃん、センターステージをうまく使っていました。

M14 色づいて透明

 この曲は視聴動画で聴いたときからよい曲だなと思っていました。前曲とは対照的に1期生のみで歌われる1番。サビのスタートまでにメインステージへの移動が終わり、下段の1期生と上段の2期生とで分かれました。これもまた水色の照明がきれいで、1サビの間暗めの上段でダンスにのみ集中する2期生がビシッとそろって美しい。フレーズごと弱拍の柔らかい歌い出しから休符に向けて力強く締める歌唱がCD以上にハマっている素晴らしいパフォーマンスでした。

幕間④ アニメ映像

 第10話ダイジェスト。「UR 葉月恋」と9話のかのすみクゥすみは犠牲になったのだ…。

M15 エーデルシュタイン

 アニメの空気感そのまま。要所で低音が前に出たり、青の照明が豹変して黄色に輝いたりと、重厚さを増すパートはあるのだけど、根底に走るのは冷たい静かさなのですよね。ブレードも持ってはいるけれど、振れずに地蔵と化します。

M16 Sing!Shine!Smile!

 大会の再現としてか、前曲に同じく終始メインステージ上段でのパフォーマンスでした。もちろん専用衣装、2ndでは5人分だったものが、同じ城ホールで新たに9人分でお披露目。マルガレーテとは対照的に温もりにあふれたステージで、なんて楽しい気持ちになるのでしょう。先の「Butterfly Wing」の感想と真逆のことを言うようですが、これはLiella!が勝ちますわ。アニメ2期における大きな不満点のひとつが第10話の東京大会中のライブ以外のシーンの拙さだったのですが、リアルライブによって因縁を断ち切れたような気がします。ただ、アニメと今回とで決定的に異なるのが、マルガレーテがゲストであるという点で、打ち負かす必要のある敵として直前にあのパフォーマンスを披露されて、Liella!はどこまで伸び伸びとやれるか疑わしい。だからこそ、せめて舞台袖にてかのん以外の気持ちが切り替わる過程はもっと丁寧に描くべきだったと思う。曲やライブの良し悪しではなく、物語としてのアニメの表現力に欠陥があった。

M17 名前呼びあうように

 曲の前にざわつきが挿入されます。大会の結果発表の暗示でしょうか。さながらこの曲はアニメでは描かれなかった勝者によるアンコール曲のようです。ただただコーラスに聞き惚れる。階段に座って歌うのも非常に絵になりますね。最後は全員が寄り添って歌い終わりのくまちゃんに視線を誘導、深い余韻に包まれました。

M18 私のSymphony

 セトリの流れそのままに、オーケストラアレンジを9人で。1期第11話のかのんソロでやったピアノアレンジとはまた別、2ndでは2番から原曲アレンジに戻りましたが、今回は徹底していました。パン、パパンという手拍子も、手を交差させてからのジャンプも、ラララに合わせて大きく振られる両手も、今回ばかりは幻。スローテンポなバラードといっても、サビの盛り上がりはすさまじく、まさしく絶唱。変幻自在、曲もそうだし、歌いこなすLiella!の底が知れない。

幕間⑤ アニメ映像

 第11話、第12話ダイジェスト。シーンを厳選して上映するとふつうに名作感があるな。放送当時は話はどこに向かっているのかとおいてきぼりだった。

M19 未来の音が聴こえる

 ついに来ました、この曲を観るために参加したといっても過言ではない。ラブライブ!決勝の「未来の音が聴こえる」のステージが圧巻だったからこそ第2期を最終的には良いアニメだったと思えたので。アイドルアニメはつまるところライブ良ければすべて良しですからね。

 原作衣装バッチリ、そして髪下ろしなこ!美しい…。Day2の帰りの電車にて、バラードではブレードを振らないと語るオタクの声が聞こえたのですが、同意しません。いや、「エーデルシュタイン」では固まってしまったのですが、すくなくともこの曲は違います。アレンジがリッチで、主旋律だけでなく鳴っている楽器に合わせていくらでも体が動いてしまう。聴きこむほどに、エモーショナルなだけでない、ノれる曲として作られていると感じます。

 この曲のもうひとつ外せない魅力、フォーメーションとカメラのスケール感ですが、さすがにこれはアニメのうそもあって完全再現は難しかったですね。開始の立ち位置はメイン下段と階段を含めた中段。アニメでも随一愛着のあるカット、Aメロで1拍ずつ優雅に腕を上下させるなぎちゃんが見られただけでも感慨深い。1番の進行とともに下段まで降りてきます。穴が開くほど見て分析したとおりに、時空を超えてキャストが動いているのを目の当たりにする愉悦。人間を辞めたかのんたちはセンターステージにワープしていましたが、本公演ではメインステージに留まったまま整列、1番を終えます。このときの並び、まだラスサビじゃないからなぎちゃんセンターの方が良いと妄想していましたが、アニメどおり伊達ちゃんでしたね。

「未来の音が聴こえる」のステージに頭をやられて作ったフォーメーション遷移図。

 2番ではサビでステージ幅いっぱいに広がるのが印象的。この辺ももしリアルステージの制約が取っ払えたらより平面的、立体的に広がる様子も見てみたい。そして再び舞台中央に集まって、スーパースターをかたどって締め。万感。

MC③

 5人だった2ndから半年を経て舞い戻った大阪城ホール、「いまさらだけど9人になってよかった?」と尋ねるりーちゃんは罪な女ですよ。自分たちの拍手で泣き崩れるキャストを見られるなんて、ファン冥利に尽きます。

M20 追いかける夢の先で

 いよいよトリ、直前のMCで皆知っている曲だと言われるまで、この曲がまだだったことを忘れていました。一人ひとりの細かい振付や表情が愛らしいから、これもいつかもっと近くで見たいね。曲後の話になりますが、初日では最後に掃けたなこちゃんの後ろ姿、サラサラのロングヘアがたまらなかった。

 暗転まもなくアンコールの拍手。2ndでもそうだったけど早いし速いって。もうちょっと落ち着きましょうよ。

幕間⑥ 第2期キャストインタビュー

 2期生次いで1期生とキャスト個別のインタビュー映像が映し出されます。見たことあるやつかな?「世界一、いや宇宙一のスクールアイドルにしたい」と堂々と語るくまちゃん、やっぱり2期生の中でも肝の座り方が違いますね。それからファンミの舞台裏、テレビアニメ2期第1話を見守る2期生、2期OPEDリリイベ、そうして今回のツアー。ラブライブ!シリーズを追うのはスパスタが初めてなのですが、あらためて進級および新入生の途中加入というのは特別なことなのだなと。

EN01 水しぶきのサイン

 そういえばまだだった曲その2。結女のスカートにTシャツ、その上にメンバーカラーの透けたシャツを被ったラフな格好で再登壇。最初はただ明るい青春の曲かと思いきや、刹那的な高校生、友情、若さといったものへの感傷が、等身大かつ詩的なことばで見事に表現された歌詞。青春時代の希望や情熱に焦点を当てたEDと相補的で、これらの2曲でラブライブ!スーパースター!!という作品を紹介できてしまう。1期EDのカップリング「この街でいまキミと」とリンクするのもまたたまらない。ベタだけど落ちサビで夕焼けに滲む会場が良いんですわ。海水をパシャパシャとかけてくるのんちゃんかわいい。

EN02(Day1) Shooting Voice!!

 1期曲キターーーーー!!!!!メインステージで9人で踊っています。2番からはトロッコへ。

 最後のMCでペイちゃんが、大阪公演はツアーの最西端、もっと西にも行きたかったが難しく、一連のツアーに来られない遠くのファンにも届くように想いを込めてこの曲を歌ったと語っていて、無限に頷いていました。わたしは2ndの大阪公演でこの曲をトップに持ってきたセトリを高く評価していて(オタクはどんなセトリでも高く評価しがちという論調はある)、あのときはライブビューイングや配信で参加している遠隔地のファンにも届かせる歌として、これほどの適任はいないと確信したことを思い出しました。

EN02(Day2) 1.2.3!

 2日目はきっと違う曲をやってくれるだろうと期待、シンプルなギターイントロに周囲から歓声が漏れ聞こえ、つられてテンションは最高潮。照明がオレンジだったこともあって、じつは開始3秒くらい「この街でいまキミと」だと勘違いしていたのは内緒(事前予想にて観たい曲No.1でした)。

 ただ、願望が外れたこととは別に本当に楽しかった。キャスト9名は早々に4組に分かれてトロッコへ。どの席からも近くにキャストがいるから、会場全体でライブを作っている感じが本公演の中で最強でした。2ndではセンターステージでさゆペイなぎの3人のみでの披露でこれはこれで良かったのですが、同じ『ワン・ツー・スリー!』からの『ジャンプ!』でこんなにも違うのかと。帰りの電車でただただ楽しかったなと余韻に浸れたのは、おそらくこの曲の存在が大きかったのだと思います。

EN03 Day1

 こっちのイントロは勘違いしようがない、リエライブの王です。前曲の間にトロッコで正面スタンドに集合しており、キャストをじっくりと間近で拝めました。9人に増えたことにより2期生に譲るパートもできたのですが、やっぱりペイトンの存在感よ。ライブに参加すると絶対ファンになる。

MC④

 新喜劇の「邪魔するでー」のネタで結那さんが登壇。1日目は「大阪城、人の多さ過剰」とダジャレ、2日目はくいだおれ太郎のものまね、どれも自信満々といった様子。結那さんのことまだほとんど存じ上げないのですが、もしかして面白い人ですか?マルガレーテや楽曲について真面目なコメントもしていたような気がしますが忘れました。そして嵐のように去っていく。

 Day2、なこちゃんへの尊敬の念を告白したあとに赤面して顔を隠すくまちゃん、まさかの第4話の四季の再現!ひととおり話し終わって会場の皆で大トリに備えて伸びをしようというなこちゃんの呼びかけのくだり、くまちゃんが後ろまで目いっぱい上体をそらして「あ、自分が見える!」とこぼす振り幅ずるすぎる。

EN04 TO BE CONTINUED

 ヘイ!ヘイ!ヘイ!と開幕から飛ばしていきます。立ち上がるスモーク、かき鳴らされるギター、打ち鳴らされるドラム、「ユニゾン」とは正反対のエンディングだ。『五線譜に線を足したら まだ知らないメロディが煌めいた』って1期と2期を結ぶ大切な歌詞で、あんなくだけた振付をしちゃっていいんですか。センターステージまで駆けてきてピアノのパントマイムをするおどけた顔のなぎやぶが脳裏に自動再生される呪いにかかってしまった。サビの斉唱で皆で大きく手を振るの、何曲で使われて何回やろうと心底楽しい。

おわりに

 とにかくフィナーレまで楽しいライブでした。なにかと初参加の2nd大阪と並べて語ってしまうのですが、あのときが楽しさとともに夢から醒めてしまうような喪失感があったのとは対照的だったように思います。同じライブを再び体験することは叶わないけれども、Liella!はいつも新しい始まりを歩いていて、次のライブでもきっと未知の素晴らしい景色を見せてくれる、そんな信頼を覚えたからかもしれません。

 現地参加にあたっての個人的な反省も多くありました。備忘録、戒めとして残しておきます。第一に物販の会場受取の事前予約が遅れてブレードを買い損ねたこと。2ndでは当日もふつうに売っていたしまさか予約時点で売り切れるとは思っていませんでした。当日販売で買う手もありましたが、外も財布も寒いし引きこもり最高人間なので早く出歩きたくなかった。結果的に今後人数が再び増えても使えるキンブレで十分だなと考えを改められたのは怪我の功名でしたが。

 反省その2。家に長く居たいにしても出発が遅すぎました。特に初日、ヨドバシで予約していたキンブレを受け取ったは良いものの、着席したのは10分前。買ったキンブレはスマホからBluetoothで任意のカラーリングが設定できるものです。パッケージの底に入っているストラップにも気づかないまま、有志がネットに上げているLiella!カラーのQRコードを読み取ろうとしてからはじめて、ウェブページ上のQRコードをキンブレのアプリで読み取る手段を用意していないことに気が回りました。せめてもう5分早く来ていれば、せめて電車内で設定を始めていれば、隣のオタクに協力を仰ぐこともできたろうに。

 色数も色合いも色の点灯順も合っていないブレードは最悪でした(自業自得)。曲中に変えたいと思うことも少なくないし、MCでは色の変更機会がたくさんあります。そのたびに15色の中からやみくもにボタンをかちかちしてそれっぽい色を探さなくてはいけません。色を決めてもデフォルトカラーはそれっぽいというだけで、違いに浮いていないか、変更に手間取って悪目立ちしていないかと没入感が削がれること間違いなしです。

 反省その3。ライブは楽しくて素晴らしいということとは別に、楽しむのは自分であるということ。自分自身が楽しむ準備ができていないと、同じ体験をしても受け取れる魅力は半減してしまうよという戒め。先の失態にも表れていますが、2nd参加前の頭がそのことでいっぱいだった自分と比べると、正直どこまで情熱があったかなと思います。これがまだ3rdツアー初回の宮城だったらけっこう違っていたかもしれませんがね。アニメ放送終了からいくらか日も浅いですし、ネタバレを気にせずキャストのSNSやラジオもチェックして一緒に気持ちを高めていけたでしょうし。他のアニメとかピアノとか、以前より趣味が充実してしまっているのも少なからずあります。わたしにはラブライブ!を人生にする覚悟はない……。

 さて、今後のLiella!について、もしアコースティックライブをまたやってくれるなら、今度こそは参加したいなあ。前回開催時は通常のアイドルライブも未参加の状態であり、初参加がいきなり変化球はないと見送りました。でも今回の公演でやっぱりLiella!はバラードが良いと痛感しました。わたしがバラード大好きマンということを差し引いても、2期になって素敵な曲が増えたし、新たに4人が加わってコーラスの魅力を獲得したと思います。最優秀曲をあえて挙げるなら「名前呼びあうように」でした。あとはシンプルに生音の力は代えがたいなと。そういう意味ではチケ代上がっても良いから2nd大阪の生バンドをデフォルトにしてほしいくらい。

 声出しがまた日常に戻っていくかもしれない情勢ではありますが、これの合う合わないは参加してみないとわかりませんね。3月発売の2ndアルバムを引っ提げてのライブはやるのかな。個人としてよりグループとして好きだから、2人以上での新曲が1曲のみというのは残念。グループ名義のアルバムとしての完成度やまとまりはこの際気にしない。2期生のソロはバランス的にも欲しかったし、参加メンバーを絞った曲でキャストの負担を減らすのも歓迎だけど、デュエットとかトリオとか2期生4人とか、未開拓地がたくさんあるのに。もちろんアルバム発売自体は歓迎ですし、ライブもやるなら参加しますけどね。

www.lovelive-anime.jp

 それでは、この辺りでレポートを閉じたいと思います。素晴らしいライブを届けてくれたキャストとスタッフに感謝。また会う日を楽しみにしています。

2022秋アニメ感想

 2022秋は録画予約数上限を超えるほどたくさんのアニメを観た。豊作すぎだった夏をさらに上回るようなクールを享受できて感謝している。

 「アニメを語るよりアニメを観よう」の精神で生きており、これまで感想をブログにすることは避けてきた。このたび方針を転換した契機となったのは旧作の視聴。Annictだと何を見たかは簡単に残せても、いつ見たかは「記録」という面倒な作業が必要になるうえに見返しもしづらい。また、初放送時にいちど見たっきりだった作品が数年越しに再放送される機会に恵まれて、当時の印象があまり当てにならないことを実感したこともあり、やはり自分のログがあると面白いかもねと考えを改めた。

 とはいえ文章化が視聴の負担になっては本末転倒なので、気負わずに簡単に書くことを心がけることにする。恣意性をあまり入れたくないということで、とりあえず表示は日本語の五十音順(≠執筆順)、旧作は新しい順。新作は23本(異世界おじさん含む)、旧作は13本、我ながら本当によく見た。

アキバ冥途戦争

 第1話のバイオレンスでグロい銃撃戦をコミカルでシュールに演出したところで、ほとんど視聴中止するところだった。ぎりぎりで踏みとどまったのは、デレマスで搾り取られたサイゲにケチつけたいという不純な動機だったが、第3話のゾーヤに笑わされ、以降はおもにコメディとして楽しめるようになっていった。後半は義理と人情の良い話にも感動するようになっている自分が、最初の最悪の惨劇の経験から狂気への順応をしていく和平なごみと重なるように感じられたのも視聴を助けたと思う。暴力の一方で萌えはどこにというのは変わらなかったけれども。己の道を貫いた人物たちの最期に黙禱。

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました

 あまり好まないゲーム世界転生もの。ただ、この作品はゲーム設定をうまく生かしていたというか、ゲームならではのキャラの派手さやくさいセリフ回しを凌駕する、転生者で一般人だったはずの主人公の劇作ばりの言動が見ていて爽快だった。それから話のテンポよすぎて本当に1クールだったのか疑う。メインストーリー3つぐらいあったよな。

うちの師匠はしっぽがない

 落語アニメというと昭和元禄落語心中。落語パートが(素人目には)とかく本格的で素晴らしかったそちらと比べると、かなりカジュアルな印象。同じCV石田彰の落語でも、こっちはアニメ声優っぽい。第7話のまめだの初舞台はそれが良い方にはまって面白かった。作中時代と現代とで描きわけたアイキャッチがしゃれていてすてき。

永久少年 Eternal Boys

 BSまだ9話しかきていないし2クールアニメだしで感想はお預けで。

陰の実力者になりたくて!

 1クールじゃないみたいで13話時点。キャラクターに感情移入して楽しむ人間としては、一向入れこめる人物が出てこなくて何を見どころにしてよいかわからない。バトルも絵はきれいだけど語りたくなる要素に欠けるのだよな。10代のころなら楽しめただろうか。

機動戦士ガンダム 水星の魔女

 11話時点。ガンダム逆シャアしか見ておらず、ロボ全般にあまり興味もないので、本作を毎週を嬉々として待つようになるとは予想しなかった。とはいえまだ1クールめ、大作ゆえの畳む難しさをはらむストーリーに入れこむのはほどほどに、引き続きキャラ萌えや華やかな画づくりを浅く摂取していこうと思う。

後宮の烏

 1話完結のエピソードが多くて物語全体の大きな山場みたいなものは感じにくいけれども、寿雪がしみじみといとおしくなる作品だった。先代烏妃が亡くなって以降夜明宮で独りだった寿雪、彼女を慕う者たちが現れ、初めは彼らを拒みながらも、徐々に心を開いていく。帝も懐が深くて余裕があり、距離の詰め方が絶妙でじつに男前。餌付けは基本。しかし、硬派な雰囲気を守るにしても、寿雪以外のキャラデザはもう少しわかりやすくしても良かったのでは。もし毎回同じ服着ていなかったら、だれが帝かも見分ける自信がない。

 出会いをとおしての寿雪の精神的な成長というか変化が最大の魅力というものの、第1話時点でもすでに思いやりがあって情け深い本当に良い子だよね。夜明宮でふたり、先代烏妃である麗娘がどれほどの慈愛を注いだことか、最終話での帝のことばが心に残る。

 もし2期が製作されるのだとしたら、衣斯哈の故郷、宵月との折衝、それらとクロスオーバーする烏妃の真実、回収されきらなかったこの辺の話がメインストーリーになるのかな。書いておかないとまちがいなく忘れる。

忍の一時

 見ている人をとんと見なかった。今期で1作だけ布教するとしたらこれかな。現代に陰で生きる忍者の抗争を描いたアニメで、忍術ではなくオーバーテクノロジーでドンパチやるさまはB級っぽさもありながら、その実キャラも筋も画づくりもかなり真面目。ラストバトルの近接戦は非常に熱いものがあった。しいていえば真面目すぎてもう少し遊びがあってもよかったかも。

 忍者っぽさが一番表れているのが、裏での根回しだったり味方まで騙しての一芝居だったりと戦略面なのが最高。主人公諸々に忍者としては直接戦闘や精神性に甘さを覚える部分もあったが、まだ子どもだし、現代っ子だし、忍者に生まれる理不尽さが物語の核のひとつであるし、全体的にキャラにも好感が持てる優等生アニメだった。

新米錬金術師の店舗経営

 女の子たちがキャッキャウフフするだけでなく、それなりに苦労して努力して、結果円満に終わるというのがやはり好き。かわいいだけじゃない強かなサラサは安心して見られる主人公で、適度に力を抜いた作画も好み。とくに続きが気になるわけでもないけれども、最新話が更新されたら速やかに楽に視聴開始できる優しいアニメ枠。

SPY×FAMILY 第2クール

 テニス回が出色。次点でデズモンドとの接触が緊張感あってよかった。ヨルやアーニャをメインにしたギャグ回は、それぞれの属性が話に不自然に都合よく使われているように見えてあまり笑えなかった。万能にもほどがあるロイドは気にならないのに不思議。そういう意味ではきっと自分はこの作品の半分も楽しめていない。

チェンソーマン

 未読のジャンプ原作が続く。こっちは第7話が一番好き。それなのに次話であっさりパイセンが退場して呆然とした。話進まねーと退屈する回と両極端なんだよ。

 バトルは出されている情報が少なくて何とも。でもこれは勝敗に理屈を求める悪癖で、デンジを中心とした狂気への恐怖と愉悦に素直になるべきなのかもしれない。すると対照的に、映画っぽい、実写っぽいらしい日常描写が癒しになる。

Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-

 今期は事前に本作およびそのメインキャラクターの1人である矢差暮礼にTwitterアイコンをささげた。自身の慧眼を誇りに思う。あっさりとしながら機微を逃さないキャラデザ、世界観を存分に表現する温かい背景美術、情緒豊かな劇伴もDIYパートの硬質なSEもすべてが素晴らしい。こういう作品のために、冒頭の「アニメを語るよりアニメを観よう」の精神がある。

転生したら剣でした

 同工異曲の異世界転生アニメで剣に転生でツカミはオーケー、あとは王道ストーリーを手堅い作画でやって、ちょっとのスパイス(カレー)を散らしておけば安心して楽しく再生できるというお手本のような令和アニメ。

ヒューマンバグ大学 -不死学部不幸学科-

 アニメとは何か考えさせられるような紙芝居作画をよそに、エピソードの面白さだけで最後まで見てしまった。YouTubeをだらだら見てしまうのってたぶんこんな感じなんだろうな。作画はこれ以上ない低予算そうなのに、キャストはなぞに豪華。CV斉藤壮馬がCV杉田智和とCV小倉唯を虐げるアニメって他にないだろ。

夫婦以上、恋人未満。

 LiyuuのOPが第2話までお預けされなければ、まちがいなく初回で切っていたアニメ。夫婦実習という独自の制度が鍵であるのに、その実施理由や採点基準が語られないばかりか、主人公のモノローグで「とんでもないカリキュラム」だと言わせるのフィクションとして最悪だろ。学校生徒以外の人物がほとんど登場しないのも世界観が幼い。

 星と詩織で揺れる次郎視点だとありふれた物語だけれども、星視点だとなかなか興味深い。あらゆる面で魅力的な天神と、これといった特長のない次郎とはまったく釣り合わない。それが理由はどうあれ同じ時間を長く共有し、性的な接触も経ることで恋心がすり替わってしまう。これが愚かな人間のラブの本質であり、容姿やスペック、人間性なんて所詮は飾りなんですよ。非婚化と少子化に困っている政府はいますぐ夫婦実習を義務化しろ。

不徳のギルド

 萌えあり、コメディあり、エロあり、恋愛あり、アクションあり、感動ストーリーあり、引出し多すぎかつそれぞれが高水準すぎの化け物アニメだった。キャストも初めて聞く人ばかりだったが、皆めちゃくちゃうまくて、最近の新人声優さんはすごい。当然全アニメオタクが履修したことだと思うが、配信視聴勢のためにCMのリンクを貼っておく。

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ブルーロック

 サッカーバトルアニメ。スポーツアニメもバトルアニメも好きなので、2クールと聞いてうれしい。ちょうどW杯があって思ったのだけど、スポーツにおいてはフィクションは現実の面白さには敵わない部分もあるから、こういうぶっ飛んだ設定はある意味正攻法だよね。

 チーム戦でもあり個人戦でもあるサッカーと同じく、登場人物の関係も仲間とライバル表裏一体、その危うさが見どころ。案外キャラの切り捨てはスローペースだし、話が進んでよりキャラ同士が近接するほど魅力は増してくると期待。

ぼっち・ざ・ろっく!

 第8話、とりわけライブシーンが圧巻だった。これだけでもうこの作品を見ていて良かったと思える。

 最初はキャラクターたちの人間像にはきららにしても現実感がなくてキツい、イタい印象だった。しかしむしろ実際は逆で、デフォルメが強烈なだけでアニメ的、物語的なうそやごまかしがない、(比率は別として)現実にいそうな感じがキツかったのではないかといまは思う。喜多郁代とか美少女じゃなかったら少し距離を置きたくなる言動ちょくちょくやるよね。

 円盤と同じで、好きだからという理由で曲を購入すると際限が無く、時間もお金も足りないので自重しているのだが、アルバムは買ってしまった。キーボード不在のバンドサウンドそんなに好きじゃないはずなのに。そのくらいアニメぢからが強かった。

虫かぶり姫

 イケメンがいっぱい出てくるアニメは嫌いじゃないし、殿下とエリィの甘々なやり取りも良い。ただ、エリィが落ちて以降のストーリーは何とも。『本を読んでいるだけに見える虫かぶり姫がじつは数々の有能な進言をする次期王妃にふさわしい令嬢で、しかし一向に自己評価は過小なまま』以上のものを見せてほしかった。

 ちなみにこの作品で一番美しい女性は上田麗奈嬢です。

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ヤマノススメ Next Summit

 わたしがニコニコで深夜アニメを見始めたのがたしか2014年の高3の夏で、第1期の一挙放送の後にちょうど第2期を追うことになった思い出深い作品の第4期。8年前と比べると人生観もアニメ観も様変わりしてしまったが、やはり良いアニメは良い。

4人はそれぞれウソをつく

 深夜アニメ見てるなあという気分にさせてくれる作品ながら、ちょっとテンプレを外すような意図も感じる。最終第11話のオチも含め、非日常からギャグ時空のお約束で日常に説明なく戻っていて良さそうなところを、あえて作中エピソードとして解決するのもこだわりか。ようわからんけどこの作品ならまあええかと納得していたED映像に、最期で経緯が与えられてハッとする感覚に、一視聴者として大佐の洗脳を俯瞰していた我々もまた洗脳されていたのだと思い知らされた(?)

 それからヒューマンバグもそうだったけど、最終話のOPにSE付けるのってよくある表現なのかな。冒頭の録画開始の音で覚えた違和感が、後に続く派手な効果音で確信に変わる体験は笑えた。

恋愛フロップス

 最高のアニメ。ヒロインが全員主人公との記憶を持っていることにより、どう転んでも実質”幼なじみが絶対に負けないラブコメ”なんだよな(おさまけは3話以降見てませんすみません)。下ネタは苦手なのだが、作風と描き方次第で笑えてしまうことにアニメという媒体の潜在能力を垣間見る。人類の集合知が導いた理想の女の子とそのラブラブコメコメがあれらなのだから納得するしかない。

 話数を重ねて参加者が増えて盛り上がってきたところで突如オフボーカルになるEDなど道中も大変楽しんだのだけど、ラストがまた至高。いちどの別れを経て、最期まで一緒にいるという答えにたどり着いた朝と愛のシーンは一生忘れない。それと今期は良いOPいっぱいあったけど、映像も含めてこの「Love? Reason why!!」が一番好きだった。

異世界おじさん(2022夏)

 コロナで再延期、最終話がいつになるかわからないので12話時点。異世界ファンタジーでは無詠唱魔法ばかり見るようになった印象だが、やっぱり詠唱して大技出すのもかっこいいよね。ヒロインたちの演技が良くて萌える。

シャインポスト(2022夏)

 BS12の再放送にて初見視聴。夏は裏番組のアニメ(何だったかは覚えていない)との競合に敗れ、かといってわざわざ配信で見るほどでもなさそうかなと思ってスルーしていた。キラキラした存在であるべきの(二次元における)アイドルが、自信なく虚勢を張り、かつそれがマネージャーの特殊能力によって身も蓋もなく視聴者に暴かれるという設定は新鮮で興味深かった。ストーリーとは別に、メタ的には完成品として描かれるはずのステージが露骨にくそみそで提供されるなど、王道を外す作品づくりが見ていて楽しみだった。

 ただ、エピソード、キャラ、曲のいずれもこれというのが個人的には無かった。くそみそなダンスを披露した理王が第6話どう挽回するのかと期待していたら、何の伏線もなかった歌唱力て。頑張ってもうまくならなかったダンスは、その後とくにフォローなく合わせられるようになっているし。まあこの手の作品は多少のシナリオのガバがどうでもよくなるくらいでかい加点があればそれで花丸になるのだが、わたしには直撃しなかったというだけ。

D4DJ First Mix(2020秋)

 BS日テレの再放送にて初見視聴。かつてデレステリズムゲームパートに飽きて、気分転換と練習にこれのスマホゲームであるグルミクを触ったことがあるのだが、やはりアニメでも曲が良い。物語の進行とともにハピアラのボーカルがりんくだけから徐々に増えていくのも、ゲームのアレンジと違っていて好き。DJという題材のとっつきにくさと、ゲームの古臭いイラストで、ブシロ信者以外の流入をだいぶ逃している気がする。3DCG感を隠さないアニメのアレルギーもなくなってきたが、2期ではせめて観客の表現はもっと工夫してほしい。

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020夏)

 ytv金曜ロードショーにて初視聴。TVアニメ視聴時もそうだったのだが、ストーリーとしては中核であるはずの戦争パート、少佐関連が好きになれない。罪人には救われずに終わってほしいし、ヴァイオレットちゃんの最萌ポイントは自動手記人形としてのポンコツっぷりと成長にある。少佐とはあのまま一生再開しないでほしかった。

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。(2020冬)

 BS11の再放送にて初見視聴。個人的アニメブームが去ったあとの作品で、当時はまんま小日向美穂の容姿の主人公のB級アニメみたいな偏見を持っていた。ところがじつに面白くて、視聴して良かった。(これは異世界転生ではないが、)よくある異世界転生ものにおいては、前世の知識を生かして異世界人と差別化することでうまいこといくのがセオリーだと認識している。この作品は真逆で、主人公の楓がまったくのゲーム素人で無知であることが他プレイヤーとの差別化であり、しかもそれがあまりに素っ頓狂かつ奏功するのが奇妙。メイプルの奇行にいちいち驚き呆れる匿名掲示板や運営をくどいと思わせず、ちゃんと視聴者の感想に寄り添えるものと感じさせるネタの強さが、この作品のなによりのユニーク装備。

響け!ユーフォニアム(2015春)
響け!ユーフォニアム2(2016秋)
劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019春)

 テレビアニメはそれぞれ初回放送時以来の再視聴。ABEMAで無料放送に気づいてつい全部見てしまった。劇場版はBS12日曜アニメ劇場にて今夏以来の2回め。パーフェクトアニメーション。突出しているところが多すぎてとても語りきれない(感想放棄)。

 10代のころのわたしにとって、好きというのは男女によらずほとんど憧れに近い感情だったと思う。たとえばそれはクラピカであったり桂ヒナギクであったりしたのだが、この高坂麗奈という女もまさしくそのひとりであった。歳を取り、足るを知り、平穏な現状に満足しているいまのわたしは、好きという情熱も過去に置き去ってしまったが、それでも彼女を見ると、少し思い出すのだ。特別になりたい。

プラスティック・メモリーズ(2015春)

 BS松竹東急の再放送にて初見視聴。良キャラデザと良OPEDに惹かれて視聴開始。くるくる回るアイラ良すぎる。一方であまりに杜撰な設定が最後までのどに引っかかったまま、泣きアニメっぽい顔をしてその実全然泣けないという。ギフティアが発展途上の技術にしても、人格だけ先に尽きる寿命を境に突然超人的なパワーで暴れだすって、初めから最大出力抑えとけよとか、取り押さえるシステムがハードにしろソフトにしろ整備されてなさすぎとか、そもそも寿命が使用状況によらず生産時点で確定するのは無理があるだろとか、もうちょっと練ってほしかった。あとはギフティアも含めて登場人物がだれもかれも精神的に未熟、法と倫理もアンドロイド共生の社会としてはお粗末な印象を受けた。第一ターミナルサービスの面々はいつも局内の人間関係の話ばかりしており、経費削減を命じられるのも至極当然である。最終話の劇伴を止めての観覧車のシーンなんて、本当によく描けていると思うだけにもどかしい。

アイドルマスター シンデレラガールズ(2015冬)

 BS11の再放送にて視聴。(2期とごっちゃになっている部分もおそらくあるが、)当時は陰湿な展開を多用するアニメという印象が強かったのだけど、このたびあらためて見るとじつに良いアニメだね。なにより作画が素晴らしい。とりわけえげつなかったのがPR動画撮影回の第4話で、巧みな動と静で各キャラクターから生命力と個性があふれ出てきている、まさしく変態作画。それから、200人近いアイドルから淘汰されてきたキャラの強さだよな。第8話、2代目シンデレラガールたる神崎蘭子。好きとか性癖とかとはべつにああいう本物を見ると、安易にガールズ4選などと畏れ多くてつぶやけない。

 個人的な話をすると、わたしは2期放送の2年後に、アニメとはまったく関係ないきっかけでデレステモバマスシンデレラガールズのソシャゲに手を染めることになる。こうして本格的に作品全体への理解や愛情が深まったからこその、今回の評価ともいえる。いきすぎたスタンドプレーにも寛容になれるし、歌唱曲をアレンジした劇伴がかかるたびに興奮する。体系化する土台ができているために、より多くの情報を消化できる。わたしはアニメ以外のポップカルチャーをろくに知らないのだけど、この点で原作履修済勢にはとても敵わないなと思うわけである。

ラブライブ! School idol project(2013冬)

 スパスタにはまり、BS日テレでの再放送の好機に初代を履修。順番が逆なのだが、このシーンこの展開スパスタで見たわというのが矢継ぎ早に流れて最高だった。やっぱり王道スポ根ものが大好物なんだよな。昔は苦手だったはずのキャラデザがいまはふつうにかわいく思えて、わたしも歳を取った。挿入歌と3DCGには多少時代を感じるけれども、来期続けて放送してくれる2期も大変楽しみ。

コードギアス 反逆のルルーシュ R2(2008春)

 昨秋の第1期に続き、MBSの再放送にて初見視聴。初放送時はまだ小学生で、名作と知ったのもわりと最近。1期の「血染め の ユフィ」で迎えた最高に面白アニメなピークから、キャラもストーリーもすっかり狂ってしまって、ついていけないというのがずっと抱えていた正直な感想だった。それでも物語の締めについては難しいところをきれいに着地した感があり、一アニメファンとして完走できて良かった。なお、これは1期からだが、再放送にあたって新OPEDを流すのは良いし曲に罪もないが、映像が手抜きにもほどがある。熱意も金もないなら余計な改変はしないでほしい。

COWBOY BEBOP 天国の扉(2001夏)

 BS12日曜アニメ劇場にて初視聴。TVアニメそのままの圧巻の作画と音楽、世界観。視聴後は理屈抜きに多幸感に包まれる。

時空の旅人 Time Stranger(1986秋)

 こちらも日曜アニメ劇場にて初視聴。古いアニメを見ると、昔のアニメーターのすごさを思い知る。ラグビーシーンの迫力よ。ストーリーはSFとしてはあんまり。

総括

 あらゆるジャンルが充実の大豊作クールだった。この瞬間にアニメを見ていて本当に良かった。

 初めてだったブログでの感想、とにもかくにも書ききったことには大きな価値がある。でもやっぱり難しいね。良かったところをもっと書きたかったのに全然書けない。ひとつは形式の問題で、1クール見終わってからまとめてとなると、どうしても具体性に欠ける印象論や全体のシナリオの整合性にばかり話がいってしまう。平凡なストーリーをいかようにも面白くできてしまうのがアニメという創作なのに。

 単話をピックアップして感想を語るという文化を知った。そこでわたしも来期の視聴目標として、作品ごとに単話間で勝負をさせながら観たい。勝ち残った回は録画に残しておき、クール終了後の感想執筆時にあらためて視聴する。これなら録画容量を圧迫せず、要する時間も比較的少なく済みながら、本質により迫った視聴体験ができるのではないか。

 今期の大豊作の代償として、2周目がまったくできていない。個人差と作品差はあるだろうが、1周目はストーリーの理解に容量を割きがちで、それが2周目3周目と繰り返すうちに作画だったり音楽だったりにより注意を向けられるようになる。勝敗は印象で構わない。一方で最終的な言語化は論理的に行うのが理想。

 先輩アニメジャンキーの皆さんの感想も少しずつですが楽しく拝見しています。まだの方もぜひ。来年もよろしくお願いします。では、この辺で。