虚用叢

見渡すかぎりうつろなくさむら

2022秋アニメ感想

 2022秋は録画予約数上限を超えるほどたくさんのアニメを観た。豊作すぎだった夏をさらに上回るようなクールを享受できて感謝している。

 「アニメを語るよりアニメを観よう」の精神で生きており、これまで感想をブログにすることは避けてきた。このたび方針を転換した契機となったのは旧作の視聴。Annictだと何を見たかは簡単に残せても、いつ見たかは「記録」という面倒な作業が必要になるうえに見返しもしづらい。また、初放送時にいちど見たっきりだった作品が数年越しに再放送される機会に恵まれて、当時の印象があまり当てにならないことを実感したこともあり、やはり自分のログがあると面白いかもねと考えを改めた。

 とはいえ文章化が視聴の負担になっては本末転倒なので、気負わずに簡単に書くことを心がけることにする。恣意性をあまり入れたくないということで、とりあえず表示は日本語の五十音順(≠執筆順)、旧作は新しい順。新作は23本(異世界おじさん含む)、旧作は13本、我ながら本当によく見た。

アキバ冥途戦争

 第1話のバイオレンスでグロい銃撃戦をコミカルでシュールに演出したところで、ほとんど視聴中止するところだった。ぎりぎりで踏みとどまったのは、デレマスで搾り取られたサイゲにケチつけたいという不純な動機だったが、第3話のゾーヤに笑わされ、以降はおもにコメディとして楽しめるようになっていった。後半は義理と人情の良い話にも感動するようになっている自分が、最初の最悪の惨劇の経験から狂気への順応をしていく和平なごみと重なるように感じられたのも視聴を助けたと思う。暴力の一方で萌えはどこにというのは変わらなかったけれども。己の道を貫いた人物たちの最期に黙禱。

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました

 あまり好まないゲーム世界転生もの。ただ、この作品はゲーム設定をうまく生かしていたというか、ゲームならではのキャラの派手さやくさいセリフ回しを凌駕する、転生者で一般人だったはずの主人公の劇作ばりの言動が見ていて爽快だった。それから話のテンポよすぎて本当に1クールだったのか疑う。メインストーリー3つぐらいあったよな。

うちの師匠はしっぽがない

 落語アニメというと昭和元禄落語心中。落語パートが(素人目には)とかく本格的で素晴らしかったそちらと比べると、かなりカジュアルな印象。同じCV石田彰の落語でも、こっちはアニメ声優っぽい。第7話のまめだの初舞台はそれが良い方にはまって面白かった。作中時代と現代とで描きわけたアイキャッチがしゃれていてすてき。

永久少年 Eternal Boys

 BSまだ9話しかきていないし2クールアニメだしで感想はお預けで。

陰の実力者になりたくて!

 1クールじゃないみたいで13話時点。キャラクターに感情移入して楽しむ人間としては、一向入れこめる人物が出てこなくて何を見どころにしてよいかわからない。バトルも絵はきれいだけど語りたくなる要素に欠けるのだよな。10代のころなら楽しめただろうか。

機動戦士ガンダム 水星の魔女

 11話時点。ガンダム逆シャアしか見ておらず、ロボ全般にあまり興味もないので、本作を毎週を嬉々として待つようになるとは予想しなかった。とはいえまだ1クールめ、大作ゆえの畳む難しさをはらむストーリーに入れこむのはほどほどに、引き続きキャラ萌えや華やかな画づくりを浅く摂取していこうと思う。

後宮の烏

 1話完結のエピソードが多くて物語全体の大きな山場みたいなものは感じにくいけれども、寿雪がしみじみといとおしくなる作品だった。先代烏妃が亡くなって以降夜明宮で独りだった寿雪、彼女を慕う者たちが現れ、初めは彼らを拒みながらも、徐々に心を開いていく。帝も懐が深くて余裕があり、距離の詰め方が絶妙でじつに男前。餌付けは基本。しかし、硬派な雰囲気を守るにしても、寿雪以外のキャラデザはもう少しわかりやすくしても良かったのでは。もし毎回同じ服着ていなかったら、だれが帝かも見分ける自信がない。

 出会いをとおしての寿雪の精神的な成長というか変化が最大の魅力というものの、第1話時点でもすでに思いやりがあって情け深い本当に良い子だよね。夜明宮でふたり、先代烏妃である麗娘がどれほどの慈愛を注いだことか、最終話での帝のことばが心に残る。

 もし2期が製作されるのだとしたら、衣斯哈の故郷、宵月との折衝、それらとクロスオーバーする烏妃の真実、回収されきらなかったこの辺の話がメインストーリーになるのかな。書いておかないとまちがいなく忘れる。

忍の一時

 見ている人をとんと見なかった。今期で1作だけ布教するとしたらこれかな。現代に陰で生きる忍者の抗争を描いたアニメで、忍術ではなくオーバーテクノロジーでドンパチやるさまはB級っぽさもありながら、その実キャラも筋も画づくりもかなり真面目。ラストバトルの近接戦は非常に熱いものがあった。しいていえば真面目すぎてもう少し遊びがあってもよかったかも。

 忍者っぽさが一番表れているのが、裏での根回しだったり味方まで騙しての一芝居だったりと戦略面なのが最高。主人公諸々に忍者としては直接戦闘や精神性に甘さを覚える部分もあったが、まだ子どもだし、現代っ子だし、忍者に生まれる理不尽さが物語の核のひとつであるし、全体的にキャラにも好感が持てる優等生アニメだった。

新米錬金術師の店舗経営

 女の子たちがキャッキャウフフするだけでなく、それなりに苦労して努力して、結果円満に終わるというのがやはり好き。かわいいだけじゃない強かなサラサは安心して見られる主人公で、適度に力を抜いた作画も好み。とくに続きが気になるわけでもないけれども、最新話が更新されたら速やかに楽に視聴開始できる優しいアニメ枠。

SPY×FAMILY 第2クール

 テニス回が出色。次点でデズモンドとの接触が緊張感あってよかった。ヨルやアーニャをメインにしたギャグ回は、それぞれの属性が話に不自然に都合よく使われているように見えてあまり笑えなかった。万能にもほどがあるロイドは気にならないのに不思議。そういう意味ではきっと自分はこの作品の半分も楽しめていない。

チェンソーマン

 未読のジャンプ原作が続く。こっちは第7話が一番好き。それなのに次話であっさりパイセンが退場して呆然とした。話進まねーと退屈する回と両極端なんだよ。

 バトルは出されている情報が少なくて何とも。でもこれは勝敗に理屈を求める悪癖で、デンジを中心とした狂気への恐怖と愉悦に素直になるべきなのかもしれない。すると対照的に、映画っぽい、実写っぽいらしい日常描写が癒しになる。

Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-

 今期は事前に本作およびそのメインキャラクターの1人である矢差暮礼にTwitterアイコンをささげた。自身の慧眼を誇りに思う。あっさりとしながら機微を逃さないキャラデザ、世界観を存分に表現する温かい背景美術、情緒豊かな劇伴もDIYパートの硬質なSEもすべてが素晴らしい。こういう作品のために、冒頭の「アニメを語るよりアニメを観よう」の精神がある。

転生したら剣でした

 同工異曲の異世界転生アニメで剣に転生でツカミはオーケー、あとは王道ストーリーを手堅い作画でやって、ちょっとのスパイス(カレー)を散らしておけば安心して楽しく再生できるというお手本のような令和アニメ。

ヒューマンバグ大学 -不死学部不幸学科-

 アニメとは何か考えさせられるような紙芝居作画をよそに、エピソードの面白さだけで最後まで見てしまった。YouTubeをだらだら見てしまうのってたぶんこんな感じなんだろうな。作画はこれ以上ない低予算そうなのに、キャストはなぞに豪華。CV斉藤壮馬がCV杉田智和とCV小倉唯を虐げるアニメって他にないだろ。

夫婦以上、恋人未満。

 LiyuuのOPが第2話までお預けされなければ、まちがいなく初回で切っていたアニメ。夫婦実習という独自の制度が鍵であるのに、その実施理由や採点基準が語られないばかりか、主人公のモノローグで「とんでもないカリキュラム」だと言わせるのフィクションとして最悪だろ。学校生徒以外の人物がほとんど登場しないのも世界観が幼い。

 星と詩織で揺れる次郎視点だとありふれた物語だけれども、星視点だとなかなか興味深い。あらゆる面で魅力的な天神と、これといった特長のない次郎とはまったく釣り合わない。それが理由はどうあれ同じ時間を長く共有し、性的な接触も経ることで恋心がすり替わってしまう。これが愚かな人間のラブの本質であり、容姿やスペック、人間性なんて所詮は飾りなんですよ。非婚化と少子化に困っている政府はいますぐ夫婦実習を義務化しろ。

不徳のギルド

 萌えあり、コメディあり、エロあり、恋愛あり、アクションあり、感動ストーリーあり、引出し多すぎかつそれぞれが高水準すぎの化け物アニメだった。キャストも初めて聞く人ばかりだったが、皆めちゃくちゃうまくて、最近の新人声優さんはすごい。当然全アニメオタクが履修したことだと思うが、配信視聴勢のためにCMのリンクを貼っておく。

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ブルーロック

 サッカーバトルアニメ。スポーツアニメもバトルアニメも好きなので、2クールと聞いてうれしい。ちょうどW杯があって思ったのだけど、スポーツにおいてはフィクションは現実の面白さには敵わない部分もあるから、こういうぶっ飛んだ設定はある意味正攻法だよね。

 チーム戦でもあり個人戦でもあるサッカーと同じく、登場人物の関係も仲間とライバル表裏一体、その危うさが見どころ。案外キャラの切り捨てはスローペースだし、話が進んでよりキャラ同士が近接するほど魅力は増してくると期待。

ぼっち・ざ・ろっく!

 第8話、とりわけライブシーンが圧巻だった。これだけでもうこの作品を見ていて良かったと思える。

 最初はキャラクターたちの人間像にはきららにしても現実感がなくてキツい、イタい印象だった。しかしむしろ実際は逆で、デフォルメが強烈なだけでアニメ的、物語的なうそやごまかしがない、(比率は別として)現実にいそうな感じがキツかったのではないかといまは思う。喜多郁代とか美少女じゃなかったら少し距離を置きたくなる言動ちょくちょくやるよね。

 円盤と同じで、好きだからという理由で曲を購入すると際限が無く、時間もお金も足りないので自重しているのだが、アルバムは買ってしまった。キーボード不在のバンドサウンドそんなに好きじゃないはずなのに。そのくらいアニメぢからが強かった。

虫かぶり姫

 イケメンがいっぱい出てくるアニメは嫌いじゃないし、殿下とエリィの甘々なやり取りも良い。ただ、エリィが落ちて以降のストーリーは何とも。『本を読んでいるだけに見える虫かぶり姫がじつは数々の有能な進言をする次期王妃にふさわしい令嬢で、しかし一向に自己評価は過小なまま』以上のものを見せてほしかった。

 ちなみにこの作品で一番美しい女性は上田麗奈嬢です。

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ヤマノススメ Next Summit

 わたしがニコニコで深夜アニメを見始めたのがたしか2014年の高3の夏で、第1期の一挙放送の後にちょうど第2期を追うことになった思い出深い作品の第4期。8年前と比べると人生観もアニメ観も様変わりしてしまったが、やはり良いアニメは良い。

4人はそれぞれウソをつく

 深夜アニメ見てるなあという気分にさせてくれる作品ながら、ちょっとテンプレを外すような意図も感じる。最終第11話のオチも含め、非日常からギャグ時空のお約束で日常に説明なく戻っていて良さそうなところを、あえて作中エピソードとして解決するのもこだわりか。ようわからんけどこの作品ならまあええかと納得していたED映像に、最期で経緯が与えられてハッとする感覚に、一視聴者として大佐の洗脳を俯瞰していた我々もまた洗脳されていたのだと思い知らされた(?)

 それからヒューマンバグもそうだったけど、最終話のOPにSE付けるのってよくある表現なのかな。冒頭の録画開始の音で覚えた違和感が、後に続く派手な効果音で確信に変わる体験は笑えた。

恋愛フロップス

 最高のアニメ。ヒロインが全員主人公との記憶を持っていることにより、どう転んでも実質”幼なじみが絶対に負けないラブコメ”なんだよな(おさまけは3話以降見てませんすみません)。下ネタは苦手なのだが、作風と描き方次第で笑えてしまうことにアニメという媒体の潜在能力を垣間見る。人類の集合知が導いた理想の女の子とそのラブラブコメコメがあれらなのだから納得するしかない。

 話数を重ねて参加者が増えて盛り上がってきたところで突如オフボーカルになるEDなど道中も大変楽しんだのだけど、ラストがまた至高。いちどの別れを経て、最期まで一緒にいるという答えにたどり着いた朝と愛のシーンは一生忘れない。それと今期は良いOPいっぱいあったけど、映像も含めてこの「Love? Reason why!!」が一番好きだった。

異世界おじさん(2022夏)

 コロナで再延期、最終話がいつになるかわからないので12話時点。異世界ファンタジーでは無詠唱魔法ばかり見るようになった印象だが、やっぱり詠唱して大技出すのもかっこいいよね。ヒロインたちの演技が良くて萌える。

シャインポスト(2022夏)

 BS12の再放送にて初見視聴。夏は裏番組のアニメ(何だったかは覚えていない)との競合に敗れ、かといってわざわざ配信で見るほどでもなさそうかなと思ってスルーしていた。キラキラした存在であるべきの(二次元における)アイドルが、自信なく虚勢を張り、かつそれがマネージャーの特殊能力によって身も蓋もなく視聴者に暴かれるという設定は新鮮で興味深かった。ストーリーとは別に、メタ的には完成品として描かれるはずのステージが露骨にくそみそで提供されるなど、王道を外す作品づくりが見ていて楽しみだった。

 ただ、エピソード、キャラ、曲のいずれもこれというのが個人的には無かった。くそみそなダンスを披露した理王が第6話どう挽回するのかと期待していたら、何の伏線もなかった歌唱力て。頑張ってもうまくならなかったダンスは、その後とくにフォローなく合わせられるようになっているし。まあこの手の作品は多少のシナリオのガバがどうでもよくなるくらいでかい加点があればそれで花丸になるのだが、わたしには直撃しなかったというだけ。

D4DJ First Mix(2020秋)

 BS日テレの再放送にて初見視聴。かつてデレステリズムゲームパートに飽きて、気分転換と練習にこれのスマホゲームであるグルミクを触ったことがあるのだが、やはりアニメでも曲が良い。物語の進行とともにハピアラのボーカルがりんくだけから徐々に増えていくのも、ゲームのアレンジと違っていて好き。DJという題材のとっつきにくさと、ゲームの古臭いイラストで、ブシロ信者以外の流入をだいぶ逃している気がする。3DCG感を隠さないアニメのアレルギーもなくなってきたが、2期ではせめて観客の表現はもっと工夫してほしい。

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020夏)

 ytv金曜ロードショーにて初視聴。TVアニメ視聴時もそうだったのだが、ストーリーとしては中核であるはずの戦争パート、少佐関連が好きになれない。罪人には救われずに終わってほしいし、ヴァイオレットちゃんの最萌ポイントは自動手記人形としてのポンコツっぷりと成長にある。少佐とはあのまま一生再開しないでほしかった。

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。(2020冬)

 BS11の再放送にて初見視聴。個人的アニメブームが去ったあとの作品で、当時はまんま小日向美穂の容姿の主人公のB級アニメみたいな偏見を持っていた。ところがじつに面白くて、視聴して良かった。(これは異世界転生ではないが、)よくある異世界転生ものにおいては、前世の知識を生かして異世界人と差別化することでうまいこといくのがセオリーだと認識している。この作品は真逆で、主人公の楓がまったくのゲーム素人で無知であることが他プレイヤーとの差別化であり、しかもそれがあまりに素っ頓狂かつ奏功するのが奇妙。メイプルの奇行にいちいち驚き呆れる匿名掲示板や運営をくどいと思わせず、ちゃんと視聴者の感想に寄り添えるものと感じさせるネタの強さが、この作品のなによりのユニーク装備。

響け!ユーフォニアム(2015春)
響け!ユーフォニアム2(2016秋)
劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019春)

 テレビアニメはそれぞれ初回放送時以来の再視聴。ABEMAで無料放送に気づいてつい全部見てしまった。劇場版はBS12日曜アニメ劇場にて今夏以来の2回め。パーフェクトアニメーション。突出しているところが多すぎてとても語りきれない(感想放棄)。

 10代のころのわたしにとって、好きというのは男女によらずほとんど憧れに近い感情だったと思う。たとえばそれはクラピカであったり桂ヒナギクであったりしたのだが、この高坂麗奈という女もまさしくそのひとりであった。歳を取り、足るを知り、平穏な現状に満足しているいまのわたしは、好きという情熱も過去に置き去ってしまったが、それでも彼女を見ると、少し思い出すのだ。特別になりたい。

プラスティック・メモリーズ(2015春)

 BS松竹東急の再放送にて初見視聴。良キャラデザと良OPEDに惹かれて視聴開始。くるくる回るアイラ良すぎる。一方であまりに杜撰な設定が最後までのどに引っかかったまま、泣きアニメっぽい顔をしてその実全然泣けないという。ギフティアが発展途上の技術にしても、人格だけ先に尽きる寿命を境に突然超人的なパワーで暴れだすって、初めから最大出力抑えとけよとか、取り押さえるシステムがハードにしろソフトにしろ整備されてなさすぎとか、そもそも寿命が使用状況によらず生産時点で確定するのは無理があるだろとか、もうちょっと練ってほしかった。あとはギフティアも含めて登場人物がだれもかれも精神的に未熟、法と倫理もアンドロイド共生の社会としてはお粗末な印象を受けた。第一ターミナルサービスの面々はいつも局内の人間関係の話ばかりしており、経費削減を命じられるのも至極当然である。最終話の劇伴を止めての観覧車のシーンなんて、本当によく描けていると思うだけにもどかしい。

アイドルマスター シンデレラガールズ(2015冬)

 BS11の再放送にて視聴。(2期とごっちゃになっている部分もおそらくあるが、)当時は陰湿な展開を多用するアニメという印象が強かったのだけど、このたびあらためて見るとじつに良いアニメだね。なにより作画が素晴らしい。とりわけえげつなかったのがPR動画撮影回の第4話で、巧みな動と静で各キャラクターから生命力と個性があふれ出てきている、まさしく変態作画。それから、200人近いアイドルから淘汰されてきたキャラの強さだよな。第8話、2代目シンデレラガールたる神崎蘭子。好きとか性癖とかとはべつにああいう本物を見ると、安易にガールズ4選などと畏れ多くてつぶやけない。

 個人的な話をすると、わたしは2期放送の2年後に、アニメとはまったく関係ないきっかけでデレステモバマスシンデレラガールズのソシャゲに手を染めることになる。こうして本格的に作品全体への理解や愛情が深まったからこその、今回の評価ともいえる。いきすぎたスタンドプレーにも寛容になれるし、歌唱曲をアレンジした劇伴がかかるたびに興奮する。体系化する土台ができているために、より多くの情報を消化できる。わたしはアニメ以外のポップカルチャーをろくに知らないのだけど、この点で原作履修済勢にはとても敵わないなと思うわけである。

ラブライブ! School idol project(2013冬)

 スパスタにはまり、BS日テレでの再放送の好機に初代を履修。順番が逆なのだが、このシーンこの展開スパスタで見たわというのが矢継ぎ早に流れて最高だった。やっぱり王道スポ根ものが大好物なんだよな。昔は苦手だったはずのキャラデザがいまはふつうにかわいく思えて、わたしも歳を取った。挿入歌と3DCGには多少時代を感じるけれども、来期続けて放送してくれる2期も大変楽しみ。

コードギアス 反逆のルルーシュ R2(2008春)

 昨秋の第1期に続き、MBSの再放送にて初見視聴。初放送時はまだ小学生で、名作と知ったのもわりと最近。1期の「血染め の ユフィ」で迎えた最高に面白アニメなピークから、キャラもストーリーもすっかり狂ってしまって、ついていけないというのがずっと抱えていた正直な感想だった。それでも物語の締めについては難しいところをきれいに着地した感があり、一アニメファンとして完走できて良かった。なお、これは1期からだが、再放送にあたって新OPEDを流すのは良いし曲に罪もないが、映像が手抜きにもほどがある。熱意も金もないなら余計な改変はしないでほしい。

COWBOY BEBOP 天国の扉(2001夏)

 BS12日曜アニメ劇場にて初視聴。TVアニメそのままの圧巻の作画と音楽、世界観。視聴後は理屈抜きに多幸感に包まれる。

時空の旅人 Time Stranger(1986秋)

 こちらも日曜アニメ劇場にて初視聴。古いアニメを見ると、昔のアニメーターのすごさを思い知る。ラグビーシーンの迫力よ。ストーリーはSFとしてはあんまり。

総括

 あらゆるジャンルが充実の大豊作クールだった。この瞬間にアニメを見ていて本当に良かった。

 初めてだったブログでの感想、とにもかくにも書ききったことには大きな価値がある。でもやっぱり難しいね。良かったところをもっと書きたかったのに全然書けない。ひとつは形式の問題で、1クール見終わってからまとめてとなると、どうしても具体性に欠ける印象論や全体のシナリオの整合性にばかり話がいってしまう。平凡なストーリーをいかようにも面白くできてしまうのがアニメという創作なのに。

 単話をピックアップして感想を語るという文化を知った。そこでわたしも来期の視聴目標として、作品ごとに単話間で勝負をさせながら観たい。勝ち残った回は録画に残しておき、クール終了後の感想執筆時にあらためて視聴する。これなら録画容量を圧迫せず、要する時間も比較的少なく済みながら、本質により迫った視聴体験ができるのではないか。

 今期の大豊作の代償として、2周目がまったくできていない。個人差と作品差はあるだろうが、1周目はストーリーの理解に容量を割きがちで、それが2周目3周目と繰り返すうちに作画だったり音楽だったりにより注意を向けられるようになる。勝敗は印象で構わない。一方で最終的な言語化は論理的に行うのが理想。

 先輩アニメジャンキーの皆さんの感想も少しずつですが楽しく拝見しています。まだの方もぜひ。来年もよろしくお願いします。では、この辺で。